戸建住宅や事務所の廊下に、常に「1.2m以上」という最低幅が定められているわけではありません。まず建築基準法施行令第117条の適用範囲を確認し、そのうえで第119条の用途・床面積に該当する場合に、廊下幅1.2mまたは1.6mが必要になります。
こんにちは、Yamakenです。
住宅の廊下は幅75cm程度でもよいのか、事務所なら必ず1.2m必要なのか。このあたりは、条文を一つだけ読むと分かりにくいところです。実務では、「令第117条で対象を絞る」→「令第119条で必要幅を確認する」という二段階で考えると整理しやすくなります。
先に答え
廊下幅は「令第117条→第119条」の順で確認
最初から「片側廊下1.2m、両側廊下1.6m」と当てはめるのではありません。まず、その建築物または階に、廊下・避難階段・出入口に関する一連の規定が適用されるかを確認します。
建築物・階が、この節の適用範囲に入るかを確認
その廊下の用途・居室面積・配置から必要幅を確認
STEP 1:令第117条の適用範囲
次のいずれかに該当する建築物または階が対象です。
- 法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までの用途に供する特殊建築物
- 階数が3以上の建築物
- 令第116条の2第1項第一号の採光上の無窓居室を有する階
- 延べ面積が1,000㎡を超える建築物
ここでいう採光上の無窓居室とは、令第20条により計算した採光に有効な開口部の面積が、居室床面積の1/20以上確保されていない居室です。単に「窓が一枚もない室」という意味ではありません。
STEP 2:令第119条の廊下に該当するか
令第117条の対象になっただけで、すべての廊下に1.2m以上が必要になるわけではありません。戸建住宅や事務所で確認するのは、主に次の区分です。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 居室床面積 | その階の居室床面積の合計が200㎡を超える場合。地階は100㎡を超える場合 |
| 3室以下の専用廊下 | 3室以下の居室だけに専用する廊下は除外 |
| 両側に居室がある廊下 | 1.6m以上 |
| その他の廊下 | 1.2m以上 |
学校の児童・生徒用廊下は、両側に居室がある場合2.3m、その他1.8mです。「両側廊下は1.8m」と一律に覚えるのは誤りで、戸建住宅・事務所に関係する区分では1.6mとなります。
学校・病院・共同住宅を含めて令第119条の全体像を確認したい方は、建築基準法における廊下幅の基準もあわせてご覧ください。
戸建住宅の廊下幅はどう判断する?
一般的な2階建て戸建住宅で、採光上の無窓居室がなく、延べ面積も1,000㎡以下であれば、そもそも令第117条の適用範囲に入りません。この場合、令第119条による廊下の最低幅はありません。
3階建て住宅は令第117条の対象ですが、さらに、その階の居室床面積の合計が200㎡を超えるか、廊下が3室以下の専用廊下ではないかを確認します。3階建てであることだけを理由に、すべての廊下が1.2m以上になるわけではありません。
一般的な910mmモジュールでは、仕上げ後の有効幅が750〜780mm程度になることがあります。法令上任意でも、家具の搬入、介助、将来の手すり、避難時のすれ違いまで考えると、必要な場所に余裕を持たせる設計が大切です。廊下を広げるだけでなく、そもそも廊下を短くする間取りも有効です。
事務所の廊下幅はどう判断する?
事務所は、用途名だけで法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までの特殊建築物になるわけではありません。そのため、まずは階数3以上、採光上の無窓居室を有する階、延べ面積1,000㎡超のいずれかに該当するかを確認します。
そのうえで、対象階の居室床面積の合計が200㎡超(地階は100㎡超)で、3室以下の専用廊下に該当しなければ、両側居室の廊下は1.6m以上、その他の廊下は1.2m以上です。
採光上の無窓居室がなければ、令第117条の対象外。用途が事務所というだけでは1.2m以上になりません。
令第117条の対象。ただし、各階の居室合計が200㎡以下なら、この面積要件から令第119条の幅は生じません。
令第117条の対象。3階の廊下が3室以下の専用でなければ、配置に応じて1.2mまたは1.6m以上を確保します。
図面で見落としやすいポイント
- 判定単位は「階」:延べ面積ではなく、対象階の居室床面積を集計する場面があります。
- 居室と廊下を分ける:床面積の合計に廊下そのものを加える規定ではありません。
- 両側居室かを平面図で確認:廊下の全区間を一括判断せず、居室の出入口と配置を確認します。
- 仕上げ後の有効幅を確認:柱型、仕上げ、設備、手すりなどで実際の通行幅を狭めないようにします。
- 他法令・条例も別に確認:バリアフリー関係規定や自治体条例が適用される計画では、より広い幅が必要になる場合があります。
まとめ
- 戸建住宅・事務所の廊下に、一律の最低幅があるわけではありません。
- 令第117条の適用範囲を確認した後、令第119条の用途・居室面積・廊下配置を確認します。
- 該当する場合、両側に居室がある廊下は1.6m以上、その他は1.2m以上です。
- 法令上任意でも、住宅の使いやすさや避難動線を踏まえた幅の設定が大切です。
参考:e-Gov「建築基準法施行令」(第116条の2、第117条、第119条)










