建築面積・床面積・延べ面積とは(建築基準法における定義)

今回は、建築基準法において初歩中の初歩である『建築面積』『床面積』『延べ面積』について解説します。

この3つの用語ですが、建築面積は除くとして、床面積と延べ面積の違いを正しく使えていない方が多いのではないでしょうか。案外、「どっちがどういう意味だろ?」みたいな感じになったりします・・・

そこで今回は、この3つについて建築基準法における定義を説明していきます。
ご訪問して頂いたユーザーの皆様、改めて確認してみましょう!!

建築面積とは

建築面積は、令第2条第一項第二号に規定されています。

(建築基準法施行令第2条第一項第二号)
建築物(地階で地盤面上1m以下にある部分を除く。以下この号において同じ。)の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離1m以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離1m後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積による。ただし、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離1m以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない。

つまり、外壁や柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積が建築面積となります。
基本的な考え方としては、真上から建築物を見下ろした際に、建築物が敷地を覆っている部分の面積のことです。簡単に考えるとイメージしやすいかもしれません!

ただしいくつか例外があります。
地階で1m以下にある部分は建築面積に算入しない
軒、庇、はね出し縁等で外壁等の中心線から1m以上突き出たものがある場合は、軒等の先端から水平距離で1m後退した線が「水平投影面積」を算定する際の線となる
H5建告1437号に該当する部分については、端から水平距離で1m以内の部分は算入しない。

③H5建告1437号の詳細(以下の全てに該当する部分)
・外壁を有しない部分が連続して4m以上
・柱の間隔が2m以上
・天井の高さが2.1m以上
・地階を除く階数が1

なお、建築面積の算定の際には、軒や庇の部分が物を置いたりするような『いわゆる屋内的用途』に供していたとしても、軒等の先端から水平距離で1m後退した線までは建築面積に算入しません。
屋内的用途において面積算入する場合は、床面積だけと覚えておきましょう。

その他、建築面積の算定時は、床面積のように屋内的用途に供するといえるかどうかグレーな部分について、グレーゾーンだから安全側でみて面積算入しようという考えは限りなく無いに等しいです。

では、次に床面積について

床面積とは

建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積をいいいます。

外壁等の中心線で囲まれた部分の面積のことです。
なお、算定にあたっては、国から通達が発出されており、『床面積の算定方法について(昭和61年4月30日住指発第150号)』がとても参考になります。
というか、どこの自治体もこの技術的助言をもとに床面積算定を確認していると言った方がいいです。

参考的な扱いというか、マニュアルに近い気がしします。

延べ面積とは

前述の床面積の合計をいいます。
延べ面積という用語が記載されている代表的な規定は法第52条の容積率です。
それから、令第2条第1項第四号ですね。他にも延べ面積という用語は法律の中で出てきますよ。

ただし、容積率算定においては、一定の建築物の部分については床面積から算入しないこととされております。法第52条第3項の文中に規定されている内容以外で算入しない部分は次の部分です。

(令第2条第1項第4号の抜粋)
イ 
自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分(第3項第1号及び第137条の8において「自動車車庫等部分」という。)
ロ 専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分(第3項第2号及び第137条の8において「備蓄倉庫部分」という。)
ハ 蓄電池(床に据え付けるものに限る。)を設ける部分(第3項第3号及び第137条の8において「蓄電池設置部分」という。)
ニ 自家発電設備を設ける部分(第3項第4号及び第137条の8において「自家発電設備設置部分」という。)
ホ 貯水槽を設ける部分(第3項第5号及び第137条の8において「貯水槽設置部分」という。)
容積率いっぱいに計画したい場合は、容積率の算定から除くこの部分の規定がとても重要です。
法第52条が容積率算定の考え方が示された規定ですので、しっかりと読みましょう!
そういう私もあんまり読んでいません・・・笑
(あくまでも容積率を最大限に使って建築したい場合です!)

まとめ

今回は、建築面積、床面積、延べ面積について解説しました!!
初歩的ですが、とても大切な規定ですので、時間ができたら法令を読んでおくことがおすすめです。
特に建蔽率や容積率の算定は複雑かつ難解な部分がありますので、少しでも慣れておくことで、シビアな設計を求められるケースに遭遇した際に適切に対処できるようになると思われます。

今回も、最後まで読んで頂きありがとうございました٩( ‘ω’ )و






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など