屋内的用途とは?ピロティ・ポーチ・庇の床面積算定

2026年7月28日更新:建設省住指発第115号と令和5年の技術的助言を再確認し、屋内的用途の判断、庇下の荷捌き部分、容積率算定上の特例を整理しました。

こんにちは。Yamakenです。

ピロティ、ポーチ、深い庇など、壁で完全に囲まれていない部分でも、使い方によっては床面積に算入します。その判断の中心になるのが「屋内的用途」です。

結論:居住、執務、作業、集会、娯楽、物品の保管・格納などに使う部分は、外気に開放されていても床面積に算入するのが基本です。一方、十分に外気に開放され、屋内的用途に使わないピロティ等は算入しません。


そもそも床面積とは?

建築基準法施行令第2条第1項第3号では、床面積を「建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積」と定めています。

壁で囲まれた室は、この定義に沿って壁や柱等の中心線で算定できます。一方、ピロティ、ポーチ、庇下のように壁等の区画が明確でない部分は、どこまでを床面積とするかが形状だけでは決まりません。そこで、住指発第115号により、外気への開放性と屋内的用途の有無を踏まえる算定方法が示されています。

屋内的用途とは?

屋内的用途と床面積算定の考え方

昭和61年4月30日付け建設省住指発第115号では、ピロティやポーチ等で壁・扉・柱等を有しない場合、次のような用途に供するかどうかで床面積への算入を判断するとしています。

  • 居住
  • 執務
  • 作業
  • 集会・娯楽
  • 物品の保管・格納
  • その他これらに類する屋内的な使い方

名称が「庇」「ポーチ」「ピロティ」であることだけでは決まりません。平面図上の名称、実際の用途、物品や設備の配置、外気への開放性を合わせて判断します。

ピロティ・ポーチ等の床面積

部分床面積の基本的な扱い
ピロティ十分に外気に開放され、かつ屋内的用途に供しない部分は算入しない
ポーチ原則として算入しない。ただし、屋内的用途に供する部分は算入する
公共用歩廊・傘型等ピロティに準じる
吹きさらしの廊下有効開放部分の高さが1.1m以上、かつ天井高さの1/2以上なら、幅2mまで算入しない
バルコニー・ベランダ吹きさらしの廊下に準じる
建設省住指発第115号に基づく概要

「三面開放なら必ず不算入」という全国一律の基準ではありません。十分な外気開放と、屋内的用途に供しないことの両方を確認します。

深い庇は、2mを超えると必ず床面積になる?

軒の深い庇下の床面積算定

住指発第115号の「幅2mまで不算入」は、一定の開放条件を満たす吹きさらしの廊下と、それに準じるバルコニー・ベランダについて明記された基準です。一方、実務では、軒下・庇下にもこの2mの考え方を準用し、奥行きが2mを超える部分は、物品の保管や作業など屋内的用途に供する可能性があるものとして床面積に算入する運用が通例です。

ただし、これは庇の出だけで機械的に決まる全国一律の条文ではありません。形態、屋内との区画、閉鎖設備の有無、用途を踏まえるため、特定行政庁の運用によって取扱いが異なる場合があります。奥行きが2mを超え、屋内的用途に供する可能性がある形態なら、原則として2mを超える部分を算入する計画が実務上は安全です。

庇の出が2m未満でも屋内的用途に供する場合の床面積算入例
庇の出が2m未満でも、屋内的用途に供する部分は床面積に算入する

反対に、庇の出が2m未満でも、作業、飲食、物品の陳列・保管、常設家具の設置など、屋内と同様に使う部分は床面積に算入します。2mは「屋内的用途に供してよい範囲」を示すものではありません。

特定行政庁の運用例

特定行政庁掲載資料・箇所公表されている考え方
京都市「京都市建築法令実務ハンドブック」基準総則・総3-13「軒下」(総-31)屋内と壁等で明確に区画され、シャッター等の閉鎖設備がなく、屋内的用途に供されない軒下は、幅2mまで床面積に算入しない
千葉県千葉県都市部長通達「建築面積・床面積の算定基準」(昭和61年12月11日 建第195号)。船橋市「消防用設備等に関する審査基準」第3・別添資料、第3-9〜10に掲載通常の出入りに必要な大きさを超え、屋内的用途を目的としているとみられるポーチ等は、その部分を床面積に算入する

このように、2mを屋外性の一つの目安として軒下等へ準用する運用は複数ありますが、ポーチの通行専用部分などは別の整理がされることがあります。

工場・倉庫の荷捌き庇|令和5年の扱い

工場・倉庫の荷捌き庇の例

令和5年3月24日付け国住街第249号は、工場・倉庫の軒等の下で、貨物の積卸しのためにトラック等が停留・駐車する部分について、駐車施設として扱い、法第52条第1項の容積率算定の基礎となる延べ面積の算定では、床面積に算入しない取扱いを示しています。

ここは区別が必要です。この技術的助言は、確認申請書の各階床面積を一律にゼロにするものではなく、容積率算定用の延べ面積に関する取扱いです。また、対象は工場・倉庫の軒下で、貨物の積卸しのためにトラック等が停留・駐車する部分です。

同じ庇下でも、常設の作業場や物品保管場所として使う部分まで一律に除外できるわけではありません。床面積、容積率算定用の延べ面積、建築面積を分けて図面と面積表へ記載します。

物流倉庫等の庇に関する建築面積の緩和は「令和5年施行の建築面積算定の見直し」も参考にしてください。

太陽光発電設備の架台下

平成23年3月25日付け国住指第4936号では、土地に自立して設置する太陽光発電設備のうち、メンテナンスを除いて架台下へ人が立ち入らず、架台下を屋内的用途に供しないものは、建築物に該当しないとしています。

反対に、架台下を居住、執務、作業、集会、娯楽、物品の保管・格納などに使う場合は、この取扱いの対象外です。設備の名称ではなく、架台下の利用実態を確認します。

カーポートは床面積に算入する

カーポートは自動車の格納・駐車という屋内的用途に供するため、原則として床面積に算入します。ただし、容積率算定上は、自動車車庫等について法令上の不算入措置があります。床面積そのものと容積率算定用の延べ面積を混同しないことが重要です。

詳しくは「カーポートの建築確認申請と面積算定」をご覧ください。

判断するときの確認順序

  1. 屋根・庇、柱、壁、手すりなどの形状を確認
  2. 外気にどの程度有効に開放されているか確認
  3. 居住・執務・作業・保管・格納等の用途があるか確認
  4. 屋内的用途に供する具体的な範囲を図面に明示
  5. 床面積、容積率算定用の延べ面積、建築面積を分けて算定

参考資料

都市と建築基準法(YamakenBlog)では、建築確認で迷いやすい面積算定を、根拠資料とともに整理しています。


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ABOUT US
cat_yamaken
YamaKen都市と建築が好きな人
【資格】一級建築士、建築主事、宅建士、省エネ適合性判定員など /【実績・現在】元役人:土木行政・建築行政・都市計画行政・公共交通行政・まちづくりなどを10年以上経験 / 都市づくりコンサル、建築設計、執筆、エンジニア/