カーポートは、柱と屋根だけの簡単な製品に見えますが、建築基準法上は原則として「建築物」です。そのため、設置場所や規模によっては工事前の建築確認申請が必要になります。
この記事では、確認申請の要否だけではなく、確認申請が不要な場合にも必要となる法適合チェック、無資格者による自力設計が難しい理由、専門業者へ相談するときの確認事項まで解説します。
先に実務上の結論を述べると、商品を決めてから法令を確認するのでは遅いです。見積り・現地調査の段階で、建築確認申請の要否と法令確認の担当者を決めておくことが重要です。
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カーポートを建築するメリット
カーポートの設置には大きく3つのメリットがあります。
- 車の保護
- 建築物の外観の向上
- 付加価値の向上
このセクションでは、❶車の保護、❷建築物の外観の向上、❸付加価値の向上の3つの主要なメリットについて説明します。
車の保護
カーポートは、雨や雪、紫外線、黄砂、花粉などから車を守ることが可能です。
特に紫外線は、塗装や樹脂部品の劣化要因になります。カーポートで直射日光や雨を受ける時間を減らすことは、日常の洗車・清掃負担を抑える点でも有効です。
また、雨や雪から車を保護することで、サビの発生を抑制することで車の寿命を延ばすことも可能です。
ちなみにですが最も車保護に最適な方法はカーポートではないです・・・。
最も良い方法は、建物内に車庫を設置するビルトインガレージです。ビルトインガレージは、住宅の設計段階から考慮する必要があるのでデザインの自由度が高い設計事務所への依頼がおすすめです。
ビルトインガレージは、カーポートよりも建築費が増加しますが、その分、カーポートよりも車を守る効果が大きく、外構面でも美しく、降雨時には乗車時に濡れないなどのメリットがあります。
外観の向上
カーポートは建物と外構を含めて外観を向上させる効果もあります。
特にデザイン性の高いカーポートに限っては建築美を見せることができます。
また、カーポートがあることで、建築物との統一感のある外観を実現できます。住宅の外観が美しく整っていると住みやすい環境をつくることにもつながります。
付加価値の向上
カーポートは、建物価値を向上させる効果もあります。
カーポートが設置されている建物は駐車スペースが確保されていることと、車を保護することができることから住宅の購入希望者にとって魅力的な要素になります。
また、ソーラーカーポートであれば、駐車スペースの屋根を発電にも利用できます。ただし、通常のカーポートより荷重・電気設備・申請関係の検討事項が増えるため、意匠・構造・設備をまとめて相談できる体制が必要です。
太陽光発電設備を載せる場合も、先に商品だけを決めず、建設地の積雪・風圧条件と確認申請への対応範囲を見積り時に確認してください。
特に、市街地では駐車場が不足していることが多いため、カーポートのある住宅はカーポートが無い住宅に比べて高い評価を受けることが一般的となります。
逆に適切に管理されていなかったり、建築確認申請が必要なケースなのに確認申請を行っていない場合には評価が下がりますので、次項の内容(確認申請の要否)の確認は必須です。
これらの3つメリットを考慮すると、カーポートの設置は住宅の価値を向上させる投資としても効果的であると言えるというのが私の考えです。
次のセクションでは、カーポート建築を依頼する際のポイントについて詳しく解説します。
カーポートの建築確認申請とは?
通常、カーポートの床面積の規模はおよそ10〜20㎡前後かと思いますので、この床面積を前提として解説していきます。
建築確認申請は、カーポートの建築に際して建築基準関係法令に適合しているかどうかを確認するために行われる法定手続きとなります。
専門的には建築基準法第6条第1項に基づき行われるもので、建築主が建築主事or指定確認検査機関(民間の審査機関)に対して申請するものです。
この申請を行い、建築基準のルールに適合していることが確認できると、建築主事or指定確認検査機関から建築主に対して『確認済証』が交付されます。
確認済証は、申請図書に記載された計画が建築基準関係規定に適合していることを審査した結果として交付されます。確認済証だけで将来の安全が保証されるものではなく、確認後も申請図書どおりに施工し、必要な完了検査を受けることが重要です。
建築確認申請の要否
建築確認申請の要否は「10㎡」だけでは判断できません。最初に、新築か増築か、防火地域・準防火地域か、建築確認の対象区域かを確認します。
既存住宅と同じ敷地に後からカーポートを設置する場合は、別棟であっても一般に「増築」として扱います。防火地域・準防火地域外で、増築部分の床面積が10㎡以内であれば、建築基準法第6条第2項の確認申請不要の扱いを検討できます。
一方、空き地にカーポートだけを設置する場合は「新築」です。都市計画区域・準都市計画区域などの建築確認対象区域では、小規模なカーポートでも原則として確認申請が必要になります。
| 確認項目 | 実務上の考え方 |
|---|---|
| 既存建物と同一敷地 | 別棟のカーポートでも、原則として増築として検討 |
| 増築部分が10㎡以内 | 防火地域・準防火地域外であれば確認申請不要の特例を検討 |
| 防火地域・準防火地域 | 10㎡以内の増築でも確認申請が必要 |
| 空き地に単独設置 | 新築として建築確認対象区域かを確認 |
| 都市計画区域外 | 準都市計画区域、準景観地区、知事指定区域などにも該当しないか確認 |
市街化調整区域では、建築確認とは別に都市計画法上の手続きが問題になる場合もあります。判断に迷う場合は、建設地を所管する特定行政庁または建築士に確認してください。
補足:防火地域・準防火地域を調べる方法
防火地域及び準防火地域は市街地で用途地域が指定されている地域(主に商業地域や近隣商業地域)に必ず指定され、住居系とされる準住居地域や第二種住居地域などでも準防火地域が指定されることがあります。
基本的には、駅前や建築密度が高い地域、幹線道路沿いに指定されています。
調べ方としては、自治体の都市計画課やまちづくり課で確認することができます。詳細はこちらの記事の用途地域の調べ方と同じですので、良かったらご覧ください。
また、防火地域や準防火地域にどのような規制なのか、カーポートはどのような規制を受けるのか詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
*不燃造のカーポートの場合には、屋根の材料を飛び火認定(DR認定)を受けた材料とする必要があり、メーカーによって対応が異なります。
さらに詳しく
補足:カーポートの床面積の算定方法
床面積は次の考え方が一般的です。
一般的としたのは、自治体(特定行政庁)によって考え方が若干異なるためです。
特に床面積に関しては、屋内的用途との捉え方の違いによって算定方法が異なるため注意が必要となります。
自治体(特定行政庁)によっては、算定方法を公表しているところもあれば公表していないところもあるので、下図の考え方でカーポートの床面積が10㎡前後となる場合には役所に確認することをお勧めします。

補足:建築確認申請不要でも法適合は必要
よくある勘違いとして、建築確認申請不要=建築基準法への適合不要と捉えるのは危険です。
建築確認申請が不要であっても、その他の規定、建蔽率や容積率、外壁後退、高さ制限などの他のルールに適合しているかどうかのチェックが必要となります。
これらのチェックは専門性が高いため、一般の建築主が自己判断するのではなく、建築士または建築士と連携できる施工事業者への依頼をおすすめします。
確認申請が不要な工事では、工事前に審査機関が計画を確認する機会がありません。だからこそ、設計者・施工者が何を根拠に法適合を確認したのか、図面や資料を残しておくことが重要です。
確認申請をしない場合の法的リスク
確認申請をしないで建築すると、工事中に確認看板が掲示されていないため近隣住民から通報を受けたり、行政の違反建築パトロールによって判明することがあります。
無確認建築が判明すると、まず行政による事情聴取や現地確認が行われ、工事停止や是正について指導を受ける可能性があります。違反内容や危険性に応じて、建築基準法第9条に基づく工事停止、使用制限、除却などの命令に進む場合もあります。
「後から申請すれば必ず残せる」とは限りません。敷地条件や構造が法令に適合しなければ、移設・改修または撤去が必要になります。
行政実務を経験した立場から言えば、無確認で着工してから相談する方が、工事前に相談するより選択肢が大きく減ります。申請費用を避けたつもりが、解体・再施工や売却時の調査で、さらに費用がかかることもあります。
「小さなカーポートだから口頭注意で済む」と考えない方がよいです。行政対応は、違反の内容、危険性、是正への対応状況などを踏まえて進みます。
罰則も用意されています。
建築基準法第99条では、同法第6条第1項に違反した場合、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になり得ることが定められています。無確認以外の法令違反や、是正命令への違反についても別の罰則が問題になる場合があります。
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是正指導や命令を放置し、悪質性が高いと判断されれば、刑事告発に至る可能性もあります。
さらに、強風や積雪による倒壊・飛散で第三者に損害を与えれば、建築基準法上の問題とは別に、損害賠償などの責任も問題になります。工事前の法令確認は、建築主自身を守るためにも必要です。
買い手が見つからない可能性も
本来、建築確認申請が必要なのに申請をせずに建築した場合、将来的に売却する必要がある場合には、そのリスクを明示する必要があります。
例えば、自身が不動産を購入する身となった場合、本来、建築確認が必要な建物なのに確認済証も検査済証もないとすれば、どうでしょうか?
何かあった場合にすぐに撤去できるように不動産価格全体から撤去費用を差し引くか、撤去を条件として購入としたいですよね。
将来、何があるか分からないですし、売却する必要性が生じたときに売りやすくするためにも法適合は必須です。
カーポート建築を依頼する際のポイント
価格と商品の種類だけで施工業者を決めたくなる気持ちは分かります。ですが、カーポートは外構商品であると同時に建築物です。商品を安く施工できることと、建築基準法へ適合するように計画できることは別の能力です。
特に注意したいのが、「確認申請は建築主自身で行ってください」とだけ案内されるケースです。申請者が建築主であることと、設計・図書作成・法令確認を誰が担うかは別の話です。
私であれば、契約前に次の5点を質問します。
- 建築確認申請の要否を、誰がどの段階で確認するのか
- 確認申請が必要な場合、建築士・申請代理者を手配できるのか
- 建蔽率、外壁後退、防火規制、高さ制限などを誰が確認するのか
- 建設地の基準風速・垂直積雪量に適合する商品を選定するのか
- 申請費、設計・監理費、完了検査、追加工事を見積書で区分するのか
「建築士がいる」という一言だけで安心するのではなく、その建築士が今回の設計・工事監理に関与するのかまで確認するのがポイントです。確認申請が不要な工事でも、建蔽率、外壁後退、防火規制、構造安全性などへの適合は必要です。
地元に相談できる建築士や、法令確認まで一体で対応できる外構事業者がいれば、その方に依頼するのが分かりやすいと思います。
とはいえ、「近くにどのような事業者がいるか分からない」「法令の話をする前に、まず現地を見てほしい」という方も多いはずです。
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現地調査の段階で法令対応の範囲も確認
ガーデンプラスは、全国でカーポートを含む外構工事の現地調査・見積りを受け付けています。公式サイトでもカーポートの建蔽率や建築確認申請に関する注意点を案内しています。
ただし、確認申請への対応可否や費用は、地域・敷地・商品・施工店によって変わります。申込み時の相談欄へ、「建築確認申請の要否と、必要な場合の対応範囲も確認したい」と書いておくと話が早いです。
申込みによって直ちに契約となるものではありません。法令確認や申請対応の範囲を確認したうえで比較・検討してください。
カーポートの建築確認申請手続き
カーポートの建築確認申請は、事業者によって対応方法や費用が異なります。
また、既存建築物を建築した際の建築確認申請図書が残っているかどうか、検査済証の交付があるかどうかによってもその費用は変化します。
事業者を選択する場合には、建築確認申請に必要な書類の作成や手続きを業者がサポートしてくれるかどうか、また、申請にかかる費用がどれくらいかかるのかを確認することが大事です。
確認したいのは、工事会社、建築士、申請代理者の役割分担です。建築士事務所が設計・工事監理を受託する場合は、契約前の重要事項説明や書面交付の対象になります。
確認申請には、審査機関へ支払う確認申請・完了検査手数料のほか、設計、工事監理、申請図書作成、申請代理などの費用がかかります。審査手数料は自治体・指定確認検査機関や申請時期によって変わるため、最新の料金表で確認してください。
見積書では、カーポート本体・施工費だけでなく、設計・工事監理・申請・完了検査まで含むのかを確認します。後から「申請は別料金・別手配」と判明すると、商品や配置の見直しが必要になることもあります。
既製品はメーカーの構造資料を利用できる場合がありますが、それだけで申請が完了するわけではありません。配置図、面積・高さの算定、敷地や既存建物の情報、地域条件との照合など、建設地ごとの設計作業が残ります。
補足:積雪・強風・太陽光も見積り前に伝える
お節介かもしれませんが、行政職員として東日本大震災や台風災害に対応した経験から一つお伝えします。カーポートは、平常時の使いやすさだけではなく、建設地の積雪・強風条件まで考えて商品を選んでください。
将来、太陽光パネルを載せたい場合も最初に伝えます。後載せすると、製品が想定していない荷重や接合方法になる可能性があるためです。建設地、駐車台数、積雪、太陽光の予定をまとめて相談する方が、商品を選び直すリスクを減らせます。
補足:非建築士(自分)が確認申請を行うことはできるの?
結論から述べると、建築士法上、一定規模以下であれば非建築士が設計・工事監理する余地はあります。一般的な鉄骨・アルミ製カーポートでは、原則として2階以下・延べ面積30㎡以下・高さ16m以下が一つの目安です。
ただ、「法律上できる」と「現実に適切な設計図書を作成できる」は別です。カーポートの確認申請では、少なくとも次の情報を整合させる必要があります。
- 敷地、道路、既存住宅、カーポートの位置関係
- 建築面積・床面積、建蔽率・容積率
- 用途地域、防火地域、外壁後退、高さ制限など
- 基礎、柱、はり、接合部、屋根の構造資料
- 基準風速、積雪量、地盤条件とメーカー適用範囲
2025年4月以降は、従来「4号建築物」と呼ばれていた区分が見直されています。非建築士が設計する場合は、建築士が設計した小規模建築物に認められる審査省略を前提にできません。メーカー資料がそろっていても、敷地ごとの配置図や法令・構造条件の照合は自分で行う必要があります。
メーカーが構造図・基礎図・計算資料を公開している製品は、申請図書を整えるうえで有用です。しかし、その資料は製品単体の条件を示すものです。建設地の風・雪・地盤条件や、敷地全体の法適合まで自動的に確認してくれるわけではありません。
このため、初めて確認申請を行う一般の建築主が、商品選定・設計・申請・施工確認まで単独で行うのは、私は現実的にはかなり難しいと思います。
以下の書籍は制度や図面を理解する参考にはなりますが、個別敷地の設計や法適合確認の代わりにはなりません。実際に設置する場合は、建築士または建築士と連携できる施工事業者への依頼をおすすめします。
まとめ
ということで以上となります。
カーポートを適法に設置するため、契約前に確認したい内容をまとめます。
- 新築・増築のどちらに該当するか
- 建築確認申請が必要か、誰が確認したか
- 建築士・施工業者・申請代理者の担当範囲
- 建蔽率、防火、外壁後退、風・雪への適合
- 設計・申請・検査を含む総額
今回、カーポートの建築確認申請、確認申請をしない場合のリスク、専門業者を選ぶときのチェックポイントを説明しました。
大切なのは「10㎡以下だから大丈夫」と自己判断せず、建設地と計画内容をもとに確認することです。申請不要であっても、その他の建築基準関係規定には適合させる必要があります。
そして、業者選びでは「確認申請に対応できますか」だけでなく、誰が法令を確認し、誰が設計・申請・工事監理を担うのかまで確認してください。
現地を見てもらってから判断したい場合は、無料の現地調査・見積りを利用し、相談欄に法令確認の希望も記載しておくとよいと思います。
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住所、希望する駐車台数、既存住宅の有無に加え、「確認申請の要否と対応範囲も確認したい」と伝えてください。


















