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【元建築行政職員が解説】カーポート建築確認申請をしないとどうなる?

この記事では、カーポート(車庫)の建築確認申請について解説しています。あわせて確認申請をしない場合の罰則・行政処分についても解説しています。

加えて、カーポート建築を検討している方へ、信頼できる業者の選び方やカーポートのメリットもご紹介します。

はじめに自己紹介です。

YamakenBlogは、建築基準法や都市計画法、宅建業法など、まちづくりに関連する難解な法律を、元建築行政職員の私がシンプルでわかりやすく解説しています。

このブログは、建築・不動産業界のプロから、家づくりを計画中の方、店舗立地を検討している方まで、誰でも役立つ情報が満載です!

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カーポートを建築するメリット

カーポートの設置には大きく3つのメリットがあります。

カーポートのメリット
  • 車の保護
  • 建築物の外観の向上
  • 付加価値の向上

このセクションでは、❶車の保護、❷建築物の外観の向上、❸付加価値の向上の3つの主要なメリットについて説明します。

車の保護

カーポートは、雨や雪、紫外線、黄砂、花粉などから車を守ることが可能です。

特に最も車への影響が大きい紫外線です。紫外線により車の塗装が劣化する速度が著しく上昇します。一般的に言われていることとしては、カーポートに駐車している車は、直射日光にさらされている車と比較して、塗装の劣化が約50%遅くなると言われています。

また、雨や雪から車を保護することで、サビの発生を抑制することで車の寿命を延ばすことも可能です。

ちなみにですが最も車保護に最適な方法はカーポートではないです・・・。
最も良い方法は、建物内に車庫を設置するビルトインガレージです。ビルトインガレージは、住宅の設計段階から考慮する必要があるのでデザインの自由度が高い設計事務所への依頼がおすすめです。

ビルトインガレージは、カーポートよりも建築費が増加しますが、その分、カーポートよりも車を守る効果が大きく、外構面でも美しく、降雨時には乗車時に濡れないなどのメリットがあります。

外観の向上

カーポートは建物と外構を含めて外観を向上させる効果もあります。

特にデザイン性の高いカーポートに限っては建築美を見せることができます。

また、カーポートがあることで、建築物との統一感のある外観を実現できます。住宅の外観が美しく整っていると住みやすい環境をつくることにもつながります。

付加価値の向上

カーポートは、建物価値を向上させる効果もあります。

カーポートが設置されている建物は駐車スペースが確保されていることと、車を保護することができることから住宅の購入希望者にとって魅力的な要素になります。

また、カーポートに太陽光発電設備が設置されている場合にも付加価値が高いです。特に最近では災害が激甚化しており、大規模災害によって長期間にわたり停電する可能性がありますので、太陽光や蓄電池は必須です。

なお、カーポートに太陽光を設置する場合には専門業者への依頼が必須ですのでこちらにソーラーカーポートのリンク先を貼っておきますので、参考にしてみてください。


特に、市街地では駐車場が不足していることが多いため、カーポートのある住宅はカーポートが無い住宅に比べて高い評価を受けることが一般的となります。

逆に適切に管理されていなかったり、建築確認申請が必要なケースなのに確認申請を行っていない場合には評価が下がりますので、次項の内容(確認申請の要否)の確認は必須です。

これらの3つメリットを考慮すると、カーポートの設置は住宅の価値を向上させる投資としても効果的であると言えるというのが私の考えです。

次のセクションでは、カーポート建築を依頼する際のポイントについて詳しく解説します。

カーポートの建築確認申請とは?

通常、カーポートの床面積の規模はおよそ10〜20㎡前後かと思いますので、この床面積を前提として解説していきます。

建築確認申請は、カーポートの建築に際して建築基準関係法令に適合しているかどうかを確認するために行われる法定手続きとなります。

専門的には建築基準法第6条第1項に基づき行われるもので、建築主が建築主事or指定確認検査機関(民間の審査機関)に対して申請するものです。

この申請を行い、建築基準のルールに適合していることが確認できると、建築主事or指定確認検査機関から建築主に対して『確認済証』が交付されます。

これにより、カーポートが地震や火災、暴風等に対して安全(最低基準)であることが保証されます。

建築確認申請の要否

建築確認申請が必要かどうかは、10㎡(3坪)がポイントとなります。

一般的には、新築以外であれば床面積として10㎡以内の増築であれば建築確認申請は不要となりますが、建築する都市計画の地域や自治体(特定行政庁)によって異なります。

簡単にまとめると次のようになります。次の❶〜❸の全てに該当すると建築確認申請は不要です。

確認申請が不要となるカーポートの設置条件(次のいずれにも該当)
  1. 床面積10㎡以下
    (注)都市計画区域外の場合は10㎡超でも確認申請不要
  2. 防火地域又は準防火地域以外
    (注)当該地域の場合は必ず確認申請が必要です。
    (注)市街化調整区域の場合には都市計画法に基づく許可が必要です。手続きについては、必ず建築士または行政書士等の法手続きの専門家に依頼が必要です。
  3. 増築
    (注)敷地内別棟増築(下図参照)についても建築確認申請が必要となる自治体(特定行政庁)もありますので、必ず確認が必要です。

次のまとめは「確認申請が不要となるカーポートの設置条件」ですが、逆に確認申請が必要となる条件は、❶〜❸のいずれかに該当する場合には、必ず確認申請が必要となります。

確認申請が必要となるカーポートのケース(次のいずれかに該当)
  1. 床面積10㎡超
    (注)都市計画区域外の場合は10㎡超でも確認申請不要
  2. 防火地域または準防火地域内
  3. 新築

※建築士や宅建士等で専門知識がないと建築確認申請が必要かどうかの判断が難しい場合がありますので、自治体(特定行政庁)の建築指導部局や建築士等に相談するのが必要です。

建築確認申請が不要なケース
確認申請が必要となるケース

補足:防火地域・準防火地域を調べる方法

防火地域及び準防火地域は市街地で用途地域が指定されている地域(主に商業地域や近隣商業地域)に必ず指定され、住居系とされる準住居地域や第二種住居地域などでも準防火地域が指定されることがあります。

基本的には、駅前や建築密度が高い地域、幹線道路沿いに指定されています。

調べ方としては、自治体の都市計画課やまちづくり課で確認することができます。詳細はこちらの記事の用途地域の調べ方と同じですので、良かったらご覧ください。

また、防火地域や準防火地域にどのような規制なのか、カーポートはどのような規制を受けるのか詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
*不燃造のカーポートの場合には、屋根の材料を飛び火認定(DR認定)を受けた材料とする必要があり、メーカーによって対応が異なります。

さらに詳しく

補足:カーポートの床面積の算定方法

床面積は次の考え方が一般的です。

一般的としたのは、自治体(特定行政庁)によって考え方が若干異なるためです。

特に床面積に関しては、屋内的用途との捉え方の違いによって算定方法が異なるため注意が必要となります。

自治体(特定行政庁)によっては、算定方法を公表しているところもあれば公表していないところもあるので、下図の考え方でカーポートの床面積が10㎡前後となる場合には役所に確認することをお勧めします。

カーポートの床面積算定方法

補足:建築確認申請不要でも法適合は必要

よくある勘違いとして、建築確認申請不要=建築基準法への適合不要 と捉えてしまうは危険です。

建築確認申請が不要であっても、その他の規定、建蔽率や容積率、外壁後退、高さ制限などの他のルールに適合しているかどうかのチェックが必要となります。

このチェックは専門性が非常に高いですので建築士への依頼が必須です。

逆に確認申請が必要となれば建築基準への適合性がチェックされますが、確認申請が不要な規模のカーポートでは公的な機関による審査が不要のため、法律に適合しているかどうかを証明することができないのが難点でもあります。

確認申請をしない場合の法的リスク

確認申請をしないで建築すると、工事中に確認看板が掲示されていないため近隣住民から通報を受けたり、行政の違反建築パトロールによって判明することがあります。

違反していることがバレると、工事中であればまずは工事を一旦停止です。または工事完了していれば使用禁止です。まずは出頭するよう指導を受けます。

その上、基本的な指導は解体です。

経験上「それはやりすぎ!」という方を何人も見てきていましたが、法治国家の維持のため法の執行機関である行政が行う手段としては合理的な判断となります。適法に建築している人が損する社会になってしまうことを防ぐ役割もあります。

他サイトで「次から気をつけてくださいくらいの口頭注意で済みます」と言っているのを見かけますが、行政経験がない方が書いていますのでご注意ください。

罰則も用意されています。

建築確認申請を行わないと1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処される可能性があります。また、無申請以外にも構造やその他のルールに適合していなければそれに関しても罰則を受ける可能性があります。

さらに詳しく

行政指導に従わずに悪質性が高ければ刑事告発されます。

さらにカーポートの無確認建築によって被害が発生すれば被害者によって告訴される可能性もありますし、最近では第三者による告発の可能性も十分に考えられるので、前科になりたくない方は建築基準法令遵守が必要です。

買い手が見つからない可能性も

本来、建築確認申請が必要なのに申請をせずに建築した場合、将来的に売却する必要がある場合には、そのリスクを明示する必要があります。

例えば、自身が不動産を購入する身となった場合、本来、建築確認が必要な建物なのに確認済証も検査済証もないとすれば、どうでしょうか?

何かあった場合にすぐに撤去できるように不動産価格全体から撤去費用を差し引くか、撤去を条件として購入としたいですよね。

将来、何があるか分からないですし、売却する必要性が生じたときに売りやすくするためにも法適合は必須です。

カーポート建築を依頼する際のポイント

カーポートの建築を検討している方にとっては、法知識を持ち、かつ法令遵守を徹底した信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。

カーポートを設置する場合、通常はホームセンターや外構工事専門店などを選択することになると思います。

そうしたことを踏まえて、以下の点に注意して業者選びを行うことが重要かと思います。

  1. 口コミや評判をチェック
  2. 建築士資格や業務実績を確認
  3. 対応やサポート体制を確認
  4. 建築確認申請への対応の有無を確認

建築士が在籍していたり建築士の協力としている事業者であれば仮に確認申請が必要な規模となっても手続き上問題となる可能性はないですし、確認申請が不要であってもその他の法適合チェックを行いますので建築主が不安になることは少ないと思います。

地元に相談できる建築士がいればそうした方に相談するのが良いです。

とはいえ、多くは、費用の観点からハウスメーカーではなく、住宅工事の完了後、外構工事は別途依頼するかと思います。

できる限り費用を抑えたいと考えているのであれは、建築に関して知識のある外構工事の専門店等に依頼するのが良いと思います。

とはいっても、それはどこ!?となりますよね。わたしも建築主の立場になって、ネット上で様々な事業者のホームページを確認してもなかなか見つけることができなかったのが実態です・・・

多くは、「建築確認申請はお客様自身で行っていただきます」という記述‥。このため、違法なカーポートが後を経たないのだと思います。

ということで、このブログの運営を担っている弊社でも無料相談を受け付けております。まずは建築確認申請が必要かどうかがの判断が必要ですので、お問い合わせフォームから以下の4つの事項を記入して送付して頂ければできる限りお答えいたします。

  1. 建築する場所(住所:地名地番まで)
  2. カーポートの製品名
  3. 既存建築物の有無(例:住宅あり、住宅なし)
  4. 相談したい内容(箇条書き)

カーポートの建築確認申請手続き

カーポートの建築確認申請は、事業者によって対応方法や費用が異なります。

また、既存建築物を建築した際の建築確認申請図書が残っているかどうか、検査済証の交付があるかどうかによってもその費用は変化します。

事業者を選択する場合には、建築確認申請に必要な書類の作成や手続きを業者がサポートしてくれるかどうか、また、申請にかかる費用がどれくらいかかるのかを確認することが大事です。

信頼できる事業者であれば、適切な手続きをサポートする体制や透明性のある費用体系を提示することが一般的(建築士法では契約前に重要事項説明が行われます)です。

なお、建築確認申請手数料については、例えば、横浜市の例で見ると、30㎡以下のため確認申請手数料は10,000円、完了検査手数料は16,000円となり、合計で26,000円の費用が発生します。

これに設計及び監理費用、確認申請手続き代理費用が生じ、合計で数十万円の費用がかかります。+工事費+材料費です。

なお、既存のカーポートを設置する場合には、設計等に必要な図書の8割以上はメーカーが用意した図書を使うことができるため、実際に作成するのは、配置図や申請書程度になることから設計に関しては数万円の費用で収まる可能性もあります。

補足:カーポート確認申請を委託する前に読んでください。

この記事を読まれているということは、カーポートの設置やその規模に悩まれている方かと思います。

お節介からもしれないですが、行政職員として東日本大震災や台風19号等の甚大な災害に対応した経験からアドバイスさせてください。

ソーラーカーポートの設置を検討してみてください。というのは、次の2つの理由です。

  • EVカーまたは蓄電池の併設により災害時にも最低限の生活が可能
    震災時は仙台市に居住しており3日以上の停電を経験して言えることとして、電力供給がストップすると、携帯使用不可・冷蔵庫の中身が腐る・食事を作れない・お風呂に入れないなどと言った最低限の生活を送ることができなくなります。
    この時のストレスによって同僚には精神的におかしくなった方が多数いました。今は蓄電池やEVカー技術が発展していますので活用しない手はないです。
  • 車庫自体は何の価値も生み出さない。
    車庫自体は自家用車の劣化を防ぐ役割はありますが、人が利用する住宅と異なりメリットが極端に小さいです。ですので、屋根を上手に利用します。特に低層住宅地では日照が確保されている地域なので屋根を有効利用しない手はないです。

ソーラーカーポートを設置する場合には、通常、確認申請が必要な規模になるケース(2台設置以上)が多いかと思います。

その場合でも建築確認申請に対応する専門事業者に依頼することができれば法不適合となることはありませんので、手続きや後々のことを考慮して選択してみてください。

私が調べた限り某大手のホームセンターでは「お客様自身で確認申請手続きを行って頂きます」という記載が9割以上の中、1社のみ建築確認対応可という記載がありましたのでそちらの事業者へのリンク先を貼っておきますので参考にしてみてください。
*全国規模の事業者さんでかつメールにて無料相談可能です。

補足:非建築士(自分)が確認申請を行うことはできるの?

結論から述べると法律上は可能です。

木造は床面積100㎡以下、木造以外(カーポートの既製品)は床面積30㎡以下であれば、建築士の資格がなくても自分の建物であれば建築確認申請することが可能です。

ただし、建築士が設計しない(申請書に建築士の名前を記載しない)場合には、通常の小規模建築物(4号特例)の申請図書の他に構造図や構造計算書の添付が必要となります。このことが非建築士による申請を難しくしている要因の一つです。

とはいえですが、一部のカーポートメーカーである三協立山アルミさんでは、国土交通省告示に適合しているかどうかを審査できるよう構造図や構造計算書等をダウンロードできるようになっています。

こうした既存の技術資料を使うことで、図書作成の一部を省略化することが可能です。

ただし、配置図や申請書の作成は専門知識やCADが使えないと作成するのが難しいので、方法としては、以下のような専門図書を購入して勉強するか、又は、配置図や申請書等のみ作成支援を建築士に依頼することが考えられます。

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ちなみに、ホームセンターのサイトなどを見ると、『建築確認申請は建築主(カーポートの所有者)の役割で、意匠・設備などの図面や構造図面、建築計画概要書などの書類を作成して提出しなければなりません。』と書かれており、確認申請代行を行っていないようですので注意が必要です。

なお、私がネットで調べた限りですと外構工事が専門で全国規模クラスの「ガーデンプラス」さんのブログにて建築確認申請手続きに対応した際の記事が残っておりました。

ガーデンプラスさんですと全国対応でカーポートから物置、ウッドデッキ等で対応しています。見積もり・現地調査を無料で対応されていますので建築確認申請に悩まれている方は相談してみてください。

まとめ

ということで以上となります。

改めて建築確認申請が不要な条件をまとめます。

カーポートの建築確認申請が不要な条件
  1. 床面積10㎡以下
    (注)都市計画区域外の場合は10㎡超でも確認申請が不要
  2. 防火地域又は準防火地域以外
    (注)当該地域の場合は必ず確認申請が必要。
    (注)市街化調整区域の場合には都市計画法に基づく許可が必要な場合があり。
  3. 増築
    (注)敷地内別棟増築については建築確認申請が必要となる自治体(特定行政庁)もありますので、必ず行政への確認が必要です。

今回、こちらの記事では、カーポートの建築確認申請について解説し、確認申請しないとどうなるのか(無確認の場合はどう処分されるのか)を説明しました。

また、カーポートの建築を検討している方向けに、信頼できる業者選びのポイントやカーポートのメリットも紹介しました。

カーポートの建築確認申請は、確認申請が必要な規模の場合には適切な手続きを行うことで、法的なリスクを回避し、将来的な問題を未然に防ぐことができます。

カーポートは、車の保護や外観の向上、付加価値の向上など、様々なメリットがあります。

適切な手続きを行い信頼できる業者を選ぶことで、カーポートの建築を成功させることができるはずです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】一級建築士、一級建築基準適合判定資格者(建築主事)、宅建士など 【実績・現在】元国と地方自治の役人:建築行政・都市計画行政・公共交通行政・まちづくりなどを10年以上経験 / 現在は、地元でまちづくり会社を運営し、都市に関わるコンサルタントや住宅設計、執筆活動を行っています。