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【特定行政庁とは?】建築主事と指定確認検査機関の違いを分かりやすく説明

この記事では、特定行政庁の役割や、建築主事・指定確認検査機関との違いを分かりやすく説明します。

特定行政庁という言葉は、一般的にはあまり聞き慣れないため、建築主事や指定確認検査機関とどのように違うのか疑問に思っている方も多いでしょう。

私自身、特定行政庁経験があるため、「特定行政庁」と主事や指定確認検査機関との違いについての質問を受けることがあります。今回は、この特定行政庁について、気軽に読める情報として分かりやすく説明します。雑学として楽しんでいただければ嬉しいです。

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特定行政庁とは?・建築主事と指定確認検査機関との違い

特定行政庁とは、建築主事を置く区域の自治体の長(都道府県知事又は市町村の長)のことです。

なお、建築主事を置かない市町村の区域については、都道府県知事が特定行政庁となります。
*建築主事を置く市町村とは、基本的には人口25万人以上の市と考えてもらえばOKです。
補足記事建築主事一覧表

[建築基準法第2条第35号]
特定行政庁 建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事をいう。ただし、第97条の2第1項又は第97条の3第1項の規定により建築主事を置く市町村の区域内の政令で定める建築物については、都道府県知事とする。
*第97条の2第1項:市町村の建築主事の特例(上記第1項市町村の長以外)
*第97条の3第1項:特別区の特例

特定行政庁のポイントは、自治体の長であることです。

それに対して、建築主事は行政職員が任命されます。
また、業務内容についても建築主事は確認行為、特定行政庁は許可行為が基本です。

これに対して指定確認検査機関とは、建築主事が行っている建築確認や中間検査、完了検査などの業務を行う民間(株式会社等)の機関のことをいいます。

指定確認検査機関は、国交省または都道府県知事が指定します。

基本的には建築主事が行う業務を行っていますが、建築主事との違いは、建築主事は当該自治体のエリアのみ確認申請を受け付けですが、指定確認検査機関の場合には複数の市町村・都道府県のエリアにまたがって申請を受けつけることが可能です(確認検査機関の業務エリアは検査機関によって異なります。)。

建築主事【行政】
自治体の職員(建築基準適合判定資格者を有する者)
確認検査機関【民間】
企業・団体(建築基準適合判定資格者が審査等を行う)
*建築主事とほぼ同じ業務内容を担う
*国交省または都道府県知事が指定
特定行政庁【行政】
建築主事を置く市町村の長or都道府県知事
(注)限定行政庁(4号物件のみ審査市町村or特別区)
  政令で担うことができない建物は都道府県知事
建築主事・指定確認検査機関・特定行政庁の違い

建築基準法第6条第1項第4号(小規模な建築物)の建築物のみ建築確認等を行う建築主事を置く「限定特定行政庁(法第97条の2)」や東京都特別区の限定特定行政庁(法第97条の3)の区域においては、同号の小規模建築物は限定特定行政庁、それ以外(建築基準法第6条第1項第一号〜第三号)については、都道府県知事が「特定行政庁」となるため、”建築物の種類によって特定行政庁”が異なる場合もあります。*特別区は床面積1万㎡超が都が特定行政庁

「特定行政庁」については、誰が?何者なのか?といった視点よりも、どのような事務を担当しているのかが重要です。次項では、特定行政庁が行う主な事務について解説します。

特定行政庁が行う主な事務

特定行政庁が行う事務は次のようにまとめられます。ただし、ここでは全ての事務を記載していないので注意してください。

内容法令
建築基準法第22条区域
被災市街地の建築制限区域の指定
法第22条、法第84条
位置指定道路
みなし道路(2項・3項道路)の指定
法第42条第1項第5号
法第42条第2項・第3項
壁面線の指定法第46条
接道義務の例外許可
道路内建築制限の例外許可
法第43条
法第44条
用途地域内における例外許可法第48条
容積率、建蔽率、絶対高さ及び日影制限の例外許可
*上記のほか、緩和規定の例外が定められているので注意
法第52条
法第53条
法第55条
法第56条
総合設計許可
一団地認定
連担建築物設計認定
法第59条の2
法第86条
仮設建築物の許可法第85条
建築物の是正措置命令
仮命令
緊急措置命令
行政代執行
保安条危険な建築物等に対する措置
定期調査報告
法第9条
法第10条
法第12条
特定行政庁が行う主な業務(*建築基準法における特定行政庁業務内容の全てを記載していないため注意)

建築基準法における許認可の権限は特定行政庁が担います。これは建築確認審査や完了検査を行う建築主事とは異なります。

建築基準法及び都市計画法に基づく建築物の制限や、建築物の例外的な許可などについては、「特定行政庁」が必ず関与します。

一方で、建築主事が行う建築確認は、特定行政庁による許可後に実施される事務です。
例えば、仮設建築物のような建築しても良いかどうの判断(許可行為)は事前に特定行政庁が行い、その後、建築主事の建築確認済証の交付を受けることとなります。

このように建築主事と特定行政庁の役割は明確に区別されます。

また、許認可に関しては、建築確認の覊束行為と異なり特定行政庁(自治体)の裁量による部分が多少大きいです。これは地域ごとに異なる都市計画・まちづくりや、地域の建築慣習によってルール異なるため日本国内で統一した基準が設けられないことによります。

一部の特定行政庁では明確な基準を公表していますが、柔軟な運用を行うため、基準を公開していない行政庁も存在します。

関連記事:こちらの記事もどうぞ(指定確認検査との関係性)

関連記事:特定行政庁の業務の例

関連記事:特定行政庁の業務の例

補足:建築主事との違いについて

建築主事を置く市町村=特定行政庁(業務が限定的な行政庁を含む)となるため、建築主事を置いているかどうかを確認することで、その市町村が特定行政庁であるかどうかを確認することが可能です。詳細はこちらの記事に書いておりますので良かったらご覧ください。

補足記事建築主事に役割について学ぶことができる記事です。

建築主事は、特定行政庁が行う許認可事務には関与せず、あくまで建築物が法令に適合しているかを確認する役割のみです(+中間検査や完了検査)。そのため、建築主事と特定行政庁は、それぞれ異なる役割を担っており、適切なチェック体制が整っていると言えます。

本記事のまとめ

特定行政庁は、建築主事を置く自治体の長です。建築基準法において重要な許認可を行う役割を担っており、建築主事や指定確認検査機関とは異なる業務を行っています。

また、特定行政庁は都道府県や市区町村の長であるのに対して、建築主事は行政組織内部の一人に過ぎません。このあたりも両者の違いの部分となります。加えて、指定確認検査機関は、建築主事の民間企業バージョンであり特定行政庁の業務は担うことができないです。

余計なお世話かもですが、建築に携わる方は、建築設計プロセスの中で関わってくる特定行政庁と建築主事の役割の違いを理解しておくことが求められます。

また、許認可に関しては、各自治体の基準や方針を把握することが重要です。これによりスムーズな建築設計につながります。

実際の実務は、建築指導課や開発建築指導課、まちづくり課といった建築職がいるセクションにおいて処理していますので、建築主事がいるセクションと特定行政庁は同じ課で運用していることが多いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

関連記事:建築主事一覧表から特定行政庁一覧を確認することが可能です。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など