【建築主事を置く市町村一覧】建築主事を必ず設置しなければならない市とそれ以外の市町村について詳細を解説

結論:建築主事を必ず置くのは、建築基準法第4条第1項の政令指定市と都道府県です。それ以外の市町村も建築主事・建築副主事を置けますが、法第4条による設置か、第97条の2による限定的な設置かで担当できる建築物と処分が違います。確認申請の提出先を調べるときは、人口や市名だけで決めず、計画地、用途・階数・面積、申請する処分の三つを窓口へ伝えてください。

こんにちは!YamakenBlogへようこそ。建築主事の一覧を調べる場面は、単に「確認申請をどこへ出すか」だけではありません。道路種別、43条の認定・許可、用途地域上の例外許可、違反是正など、誰が行政判断をするのかを見極める入口になります。ところが、2025年4月1日から建築副主事の制度が始まり、以前の「4号建築物だけを扱う市」という覚え方では追えなくなりました。


建築主事・建築副主事を置く自治体の区分

  • 法第4条第1項の市:政令で指定する人口25万以上の市で、建築主事の設置が義務です。
  • 法第4条第2項の市町村:都道府県知事との協議を経て、任意に建築主事を置きます。建築主事は一級建築基準適合判定資格者登録を受けた職員から命じられます。
  • 法第4条第5項の都道府県:第1項・第2項の建築主事設置市町村の区域外と、第97条の2設置市町村で市町村側が扱わない事務を担当します。
  • 建築副主事:法第4条第7項により任意に置かれ、大規模建築物以外の確認等事務を担当します。二級建築基準適合判定資格者登録を受けた職員から命じられます。
  • 法第97条の2による市町村:政令で定める範囲に限って建築主事・建築副主事を置きます。市町村と都道府県の双方が関わるため、建物規模や処分によって担当が分かれます。

法第4条の建築主事と、法第97条の2の特例で置かれる建築主事等を、同じ権限の窓口として扱わないことが大切です。また、指定確認検査機関は確認・検査を行えますが、自治体の特定行政庁が行う道路指定、許可、違反是正まで引き受けるわけではありません。

必ず建築主事を置く政令指定市

法第4条第1項の政令指定市は次のとおりです。人口が25万人を超えたら自動的に加わるのではなく、政令で指定されて初めて設置義務が生じます。

  • 北海道・東北:札幌、函館、旭川、青森、盛岡、仙台、秋田、福島、郡山、いわき
  • 関東:水戸、宇都宮、前橋、高崎、川越、川口、所沢、越谷、さいたま、千葉、市川、船橋、松戸、柏、市原、八王子、町田、府中、横浜、川崎、横須賀、平塚、藤沢、相模原
  • 北陸・甲信越:新潟、長岡、富山、金沢、福井、長野
  • 東海:岐阜、静岡、浜松、名古屋、豊橋、岡崎、一宮、春日井、豊田、津、四日市
  • 近畿:大津、京都、大阪、堺、豊中、吹田、高槻、枚方、茨木、八尾、東大阪、神戸、姫路、尼崎、明石、西宮、加古川、奈良、和歌山
  • 中国・四国:岡山、倉敷、広島、福山、下関、徳島、高松、松山、高知
  • 九州・沖縄:北九州、福岡、久留米、長崎、佐世保、熊本、大分、宮崎、鹿児島、那覇

ここに掲げたのは、法第4条第1項により建築主事の設置が義務づけられる市です。これとは別に、任意設置の市町村と法第97条の2による限定特定行政庁が全国にあります。全国建築審査会協議会の集計では、2026年4月1日現在、都道府県を含む特定行政庁は440です。地図にすると区域は分かりやすいのですが、同じ市でも建物規模や許可の種類によって市と県へ担当が分かれるため、色分けだけで申請先を決めるのは危険です。

実務では「確認申請先」と「行政判断の窓口」を分ける

ここは、確認申請を民間機関へ提出する案件ほど意識しておきたいところです。指定確認検査機関は、提出された計画が建築基準関係規定へ適合するかを確認・検査します。一方で、法第42条の道路種別・位置指定、法第43条第2項の認定・許可、法第48条ただし書の用途許可、法第86条の一団地認定、違反是正などは、権限を持つ特定行政庁が判断します。確認済証を交付する窓口と、前提となる行政判断を行う窓口は同じとは限りません。

調べたいこと主な相談先先にそろえる情報
確認申請・中間検査・完了検査建築主事・建築副主事または指定確認検査機関用途、構造、階数、面積、工事種別、計画地
道路種別・位置指定・接道認定・許可特定行政庁の道路調査・建築指導担当地番、公図、道路台帳、現況幅員、接道長さ
用途地域の例外許可・認定特定行政庁の建築許可担当用途、規模、配置、周辺状況、運営内容
都市計画法の開発許可開発許可権者の開発指導担当区域区分、造成内容、敷地面積、予定建築物
違反是正・既存建築物の行政記録特定行政庁の監察・指導担当確認済証等、現況図、改修履歴、相談事項
部署名は自治体ごとに異なります。大切なのは「何を判断してもらうのか」を分けることです。
  1. 都市計画情報、住居表示、地名地番から計画地を特定する
  2. 用途、構造、階数、延べ面積を整理し、法第6条第1項の号区分を確認する
  3. 市町村が法第4条設置か第97条の2設置か、建築副主事を置くかを確認する
  4. 確認申請を行政へ出すか指定確認検査機関へ出すか決める
  5. 道路、許可、認定、開発許可など、確認審査の前提となる行政判断を論点別に洗い出す
  6. 各窓口との回答日・担当部署・判断条件を協議記録へ残し、確認申請図書へ反映する

例えば、法第97条の2による市が一定規模までの確認を担当し、それを超える建築物や知事許可を県が担当する地域があります。このとき、小規模建築物の確認申請を市へ出せても、前面道路の扱いや用途許可まで必ず市が判断するとは限りません。反対に、確認申請を民間機関へ出しても、道路判定を民間機関だけで確定できるわけではありません。

最初の照会では「木造2階・延べ150㎡の新築です」だけで終わらせず、「地番」「確認申請先を探しているのか」「法42条道路の種別を確定したいのか」「43条第2項の認定・許可の要否まで相談したいのか」を伝えます。電話回答だけで計画を固定せず、必要に応じて公図、配置図、現況写真を添えた事前相談票を提出し、誰がどの条件で判断したかを残しておくと、申請段階の手戻りを減らせます。

一次資料:e-Gov 建築基準法第4条法第4条第1項の指定市を定める政令同法第97条の2施行令第148条国土交通省・建築確認検査対象等の見直し

確認対象の号区分は、当サイトの建築基準法第6条第1項の簡易判定ツールでも整理できます。条文を横断して調べる場合は条文ナビもご利用ください。


お役に立てたらシェアしていただけますと嬉しいです!
ABOUT US
cat_yamaken
YamaKen都市と建築が好きな人
【資格】一級建築士、建築主事、宅建士、省エネ適合性判定員など /【実績・現在】元役人:土木行政・建築行政・都市計画行政・公共交通行政・まちづくりなどを10年以上経験 / 都市づくりコンサル、建築設計、執筆、エンジニア/