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アルミニウム構造が四号特例の対象となっている理由などを解説

カーポートの多くは「アルミニウム合金造」ですよね。

特に、一戸建ての住宅の場合には、敷地内に増築するケースが多いです。この記事では、アルミニウム合金造について建築基準法で定められている基準をわかりやすく解説しています。

こんにちは!!建築士のやまけんです!

建築や都市計画に関する情報を発信しているブロガーです。やまけんって何者なのって思った方はプロフィールをご覧ください。




アルミニウム合金造は「確認の特例」の対象

アルミニウム合金造のカーポートであれば、一般的に計画する床面積としては20から30㎡程度ですよね。

その場合、建築基準法第6条第1項の規定では、「四号建築物」に該当します。

では、その理由を説明します。

確認の特例が使える理由

「確認の特例」は、建築基準法第6条の4に規定されています。

[建築基準法第6条の4]
第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替又は第三号に掲げる建築物の建築に対する第6条及び第6条の2の規定の適用については、第6条第1項中「政令で定めるものをいう。以下同じ」とあるのは、「政令で定めるものをいい、建築基準法令の規定のうち政令で定める規定を除く。以下この条及び次条において同じ」とする。
一 (略)
二 (略)
三 第6条第1項第四号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの
2 前項の規定により読み替えて適用される第6条第1項に規定する政令のうち建築基準法令の規定を定めるものにおいては、建築士の技術水準、建築物の敷地、構造及び用途その他の事情を勘案して、建築士及び建築物の区分に応じ、建築主事の審査を要しないこととしても建築物の安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められる規定を定めるものとする。

建築基準法第6条の4第1項三号に規定されており、”法第6条第1項第四号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの”となっています。

そのため、カーポートは四号建築物であることが大半ですから、この特例に該当することになります。

ですが、構造に関しては別です。

では、次に政令を確認します。

政令は、建築基準法施行令第10条第四号に規定されています。

なお、今回は、構造に関する部分がポイントとなるので、その部分のみ抜粋します。その他の特例について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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[建築基準法施行令第10条第四号]
法第6条の4第1項第三号に掲げる建築物のうち前号の一戸建ての住宅以外の建築物 次に定める規定
イ 法第20条(第1項第四号イに係る部分に限る。)、法第21条、法第28条第1項及び第2項、法第29条、法第30条、法第31条第1項、法第三32条、法第33条並びに法第37条の規定
ロ 次章(第20条の3、第1節の3、第32条及び第35条を除く。)、第3章(第8節を除き、第80条の2にあつては国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。)、第119条、第5章の4(第129条の2の5第1項第六号及び第七号並びに第2節を除く。)及び第144条の3の規定
ハ (略)

重要となるポイントは、建築基準法施行令第10条第四号ロになります。施行令第3章とは、”構造強度”を定めている規定で、”国土交通大臣が定めた”という部分がポイントです。

「限る。」とありますよね・・・ 構造強度に関しては、国土交通大臣が定めた基準に該当していないと「確認の特例」を受けることができません。

国土交通大臣が定めた基準とは、平成19年8月22日国土交通省告示第1119号(建築基準法施行令第10条第三号ロ及び第四号ロの国土交通大臣の指定する基準を定める件)」です。

ちょっとタイトルが長いですが、この告示に特例を受けることができる告示が4つ規定されていますが、この3つとは次のものです。

1 昭和58年建設省告示第1320号第1から12・・・プレストレストコンクリート造
2 平成13年国土交通省告示第1026号第1から8・・・壁式鉄筋コンクリート造
3 平成13年国土交通省告示第1540号第1から8・・・枠組壁工法・木質プレハブ工法
4 平成14年国土交通省告示第140号第1から8・・・アルミニウム合金造

では、肝心のカーポートですが、カーポートは、平成14年国土交通省告示第410号(アルミニウム合金造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件)に規定されています。

そのため、「確認の特例」を受けることができます。

確認の特例については、令和3年6月30日に追加されています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。▷▷アルミニウム構造が”4号特例の対象に追加”+”構造計算不要の規模が緩和”

アルミニウム構造基準

アルミニウム合金造の建築物は、延べ面積を200㎡以下としなければならないとされています。ただし、構造計算によって安全性が確かめられた場合には200㎡を超えることができます。

告示では、

  • 第1が適用の範囲(原則として、延べ面積は200㎡以下)
  • 第2が材料(厚さ1㎜以上の合金材)
  • 第3が圧縮材の有効細長比(柱:140以下、柱以下:180以下)
  • 第4が柱の脚部(露出形式、根巻き形式、埋込み形式)
  • 第5が接合(原則として高力ボルト接合またはリベット接合)
  • 第6がブレース等(水平力に対して安全であるように軸組等にブレース等を配置し釣り合いよく配置)
  • 第7が柱の防火被覆(施行令第70条を適用)
  • 第8が防食処理などが定められています。

詳しい概要は、平成14年国交告410号に規定されていますので、詳細の説明は省略します。

その他補足(屋根材)

カーポートについては、床面積30㎡以下で壁のない高い開放性を有する建築物となることがほとんどですので、ポリカーボネート(DW認定品)も使用することが可能です。

ちなみ、この屋根材に関しては、メーカーさんが防火地域・準防火地域・建築基準法第22条区域、延焼のおそれがある部分の別によってさまざまな仕様製品を用意されていますから、あまり悩まなくても、メーカーさんに条件さえ提示すれば、法令に適合した材料とすることが容易に可能です。

その他補足(床面積・容積率)

自動車車庫については、一定規模を容積率算定用の床面積から除くことが可能となっています。
詳しくは下記の関連記事をご覧ください。

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おわりに

風は時に想定(過去最大)以上の力を出してきます。近年の風被害を知っている人は分かると思いますけど、めっちゃ怖く無いですか、、、

特に、カーポートなどの簡易な建築物は被害に遭いやすいです。

繰り返しになりますが、平成14年告示第410号の仕様規定に適合すれば良いため、安全性の担保という面では、メーカーさん側の製品性能によるところが大きいと感じます。

建築士としては、当たり前ですが、メーカーさん仕様が耐久性関係規定と告示に適合しているかどうかのチェック、それから、風・地震・積雪の設計条件をチェックすることが必要だと思います。最終的に何かあった場合には、建築士の責任となる可能性もあるため、自分の身も守る点からも簡易な建築物は特に注意して設計・施工しましょう。

それから、私個人の考えですが、コスト面を考慮してもビルトインガレージの方が、利便性や安全性といった面で優れていると思います。ですので、車庫のコストを考慮した上で住宅を含めて設計することが望ましいですね。

それでは、最後までご覧いただきありがとうございました。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など