容積率の緩和(自動車・自転車車庫)の解説

今回は、容積率緩和のうち自動車車庫の解説です。

こんにちは!!建築士のやまけんです。

自動車車庫は5分の1を限度として緩和を行うことができるように規定されています。
しかしながら、具体的にどういった基準となっているかは、建築士の方は分かりますが、建築士以外の方にとっては、理解しにくい内容となっていると思います。

そこで、「一戸建て住宅」に附属する場合を想定して実際の計算例をもとに解説していきます。




容積率とは

そもそも容積率とは、用途地域(第一種低層住居専用地域や第一種住居地域、商業地域、工業地域など)ごとに都市計画で定められているものです。

容積率については、用途地域ごとに異なるので、ご自身が建築する地域の容積率を確認しておきましょう。
住宅建築される方の多くは、土地購入の際に不動産業者から重要事項説明を受けているはずですので、重要事項説明書をご覧になると、容積率を確認することができます。

こちらの記事でも容積率について解説を行っていますのでご覧ください。

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また、容積率算定の算定の際は、敷地が面する前面道路の幅員が非常に重要となります。
幅員が12m未満の場合には、指定容積率から実際規制される容積率は下がってしまいますので注意ください。(関連記事を掲載しておきます)

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よくあるケースとしては、第一種中高層住居専用地域や第一種住居地域で指定容積率が200%の場合です。

このケースでは、前面道路の幅員が4mの場合、容積率は160%(幅員*0.4)となり、200%を下回ることになることになり、仮に容積率が160%を超える建築物を想定している場合には、容積率に適合せず、建築確認はおりません。

では、話を戻して容積率の計算式について解説します。

少し専門的になってしまいますが、建築基準法第52条第1項に規定されております、計算式としては次のようになります。

容積率算定式
延べ面積(容積率算定用床面積)➗敷地面積

✔︎計算例(一戸建て住宅を建築する場合)
延べ面積の合計:130㎡ 敷地面積:180㎡
▶️容積率=130㎡(延べ面積)➗180㎡(敷地面積) ≒73%

この計算例の場合、第一種・第二種低層のケースだと、指定容積率が60%や80%の場合があります。

仮に、容積率が60%で指定されていると、60%<73%となり、不適合となります。

容積率を気にする必要があるケースとしては、低層住居専用地域の建築と、今回ご覧になっているユーザーの方には直接は関係してこないですが、マンションやオフィスビルなどで高容積率とする場合です。

では、今回解説する自動車車庫の解説です。

自動車車庫の容積率緩和の規定

緩和できる自動車車庫とは、建築基準法第2条第1項第四号イに規定されています。

[建築基準法第2条第1項第四号イ]
自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分(第3項第一号及び第137条の8において「自動車車庫等部分」という。)

緩和できる自動車車庫の部分(一戸建て住宅にフォーカスして一部抜粋)

容積率の緩和を行うことできる部分
・自動車車庫
・自転車車庫

ただし、注意点があって、「専ら」という部分です。
専らとあるように、自動車・自転車車庫以外の用途に供してはダメです!!

例えば、一部を車庫の一部を物置として使用するのはNGです。
よくガレージ内の一部を物置で使用してしまう人いますでしょ、というか物置に使いたいはずなんです。
(でしたら、安全を考慮して当初から床面積に算入しておいた方が無難です。)

その部分は容積率算定用の床面積に含めるよう行政から指導が入ります。

つまり、容積率ギリギリで建築している場合、車庫の部分を緩和していた場合、車庫の部分の一部でも物置などの屋内的用途に使用してしまった場合、最悪のケースでは容積率違反になる可能性があるということです。

既に確認がおりている建築物に住まわれている方は、建築確認申請書(副本)第三面に自動車車庫の部分に記載がある場合には確認してみましょう。
まぁ、基本は車庫としたのであれば、車庫以外に使用しない方が無難ですけどね・・・

それでは次に、緩和の基準(容積率の算定から除かれる面積)

容積率緩和の基準(容積率の算定から除かれる面積)

容積率の算定から除かれる面積は、建築基準法施行令第2条第3項に規定されています。
緩和を行うことできる自動車車庫以外の部分(備蓄倉庫なども対象)も合わせて列挙します。

容積率算定から除かれる面積の限度
一 自動車車庫等部分     5分の1
二 備蓄倉庫部分      50分の1
三 蓄電池設置部分     50分の1
四 自家発電設備設置部分 100分の1
五 貯水槽設置部分    100分の1
六 宅配ボックス設置部分 100分の1

自動車車庫は、延べ面積の5分の1と規定されています。

✔︎計算例
床面積:住宅部分(1階:100㎡、2階:50㎡)・車庫部分(40㎡) 床面積の合計190㎡
敷地面積:180㎡ 指定容積率:80%

容積率算定式
・190㎡(床面積の合計)➗5=38㎡
・38㎡(車庫の床面積の合計から除くことができる面積の限度)
・38㎡(限度)<40㎡(車庫)・・・40㎡は限度を超えているため38㎡のみ床面積から除く

▶️ 190㎡(床面積の合計)ー38㎡=152㎡(容積率算定用の床面積)
152㎡(容積率算定用の床面積)➗180㎡(敷地面積)=85%(容積率)
※このケースでは、指定容積率が80%だとすると、容積率がオーバーするのでOUTです。

補足①

上記のように容積率を算定しますが、特に注意して頂きたいの次のような方です。

注文住宅は建築士事務所やハウスメーカーに依頼したのに、予算の関係から、カーポートなどの車庫は自分で手続きして建築しようと考えていた方

こう言ったケースでは、住宅建築の段階で容積率に注意が向いていないため、あとあと車庫を建築することを想定していないことも考えられ、規模によっては、容積率違反となる可能性があります。

安全な方法としては、車庫や倉庫、外構工事を含めて、建築士事務所やハウスメーカーに依頼した方が無難です。仮にですが、将来住宅を売る必要が生じて、その際に、”法令違反している建築物を買いたい”って思う人どのくらいいると思います?

「いないですよね・・・」
ですので、お節介かもしれませんが、安全な選択をしましょう。

補足②

自動車車庫については、カーポートであろうとインナーガレージであろうと緩和の考え方は同じです。

(少しだけ専門的な話)
なお、カーポートの場合、”屋内的用途”に供する部分というところがポイントです。
どういうことかというと、建築面積=床面積ではないということです。

カーポートの場合、十分に外気に解放されているから、カーポートのうち、一部分だけ床面積に算定しようとする考え(柱を結んだ水平投影面積)を持つ方がいますが違います。

床面積は屋内的用途(車庫)に供する部分となり、例えば軒先にはみ出て駐車するのであれば、軒先の部分も床面積に算入します。
注)自治体(特定行政庁)によって取り扱いは異なるので注意ください。

 

それでは、今回は以上となります。
最後までご覧いただきありがとうございました。