この記事では、元自治体の職員として都市計画を担当していた私(@urbanpole2022)が「用途地域の調べ方」を分かりやすく解説しています。
はじめて用途地域という言葉に触れる方でもどうやって調べればいいのか書いていますので、用途地域調査方法の手順書として機能するはずです。
YamakenBlogでは、建築や都市計画、不動産取引に関して業務に役立つ豆知識を発信しています♪
建築基準法や都市計画法といった都市づくりに欠かせない法律は、複雑かつ難解なので理解に苦しみますよね。そのような方のために、法律を上手に活用してビジネスや生活に活用してもらいたいと思いつくったブログです。
良かったらブックマーク登録して毎日、遊びに来てくれるとブログ運営の励みになります。
目次
用途地域が指定されるエリア
用途地域は全国に1,873,066.9(ha)指定されており、全国の都市計画区域合計10,276,259(ha)の18.2%、国土面積合計37,797,400(ha)の5%を占めています。意外と少ない面積ですよね。
用途地域名 | 指定面積(ha) |
---|---|
第一種住居低層住居専用地域 | 337169.70 |
第二種低層住居専用地域 | 15944.8 |
第一種中高層住居専用地域 | 258984.9 |
第二種中高層住居専用地域 | 101006.9 |
第一種住居地域 | 424785.5 |
第二種住居地域 | 89083.8 |
準住居地域 | 29272.1 |
田園住居地域 | 0 |
近隣商業地域 | 78283.9 |
商業地域 | 74829.8 |
準工業地域 | 205912.2 |
工業地域 | 108366.9 |
工業専用地域 | 149427.20 |
まずはじめに、担当窓口となる自治体ですが、用途地域を指定する者は市区町村長となるため都道府県知事でありません。つまり、市区町村の都市計画担当部署が窓口となります。
また、用途地域が指定することができるのは、都市計画区域のうち市街化区域、非線引き都市計画区域内、準都市計画区域内となっています。
これを覚えておくと、見当違いな調査をして手戻りとなるリスクを減らすことができます。
- 都市計画区域内(区域区分有=線引き)のうち市街化区域
- 都市計画区域内(区域区分無=非線引き)
- 準都市計画区域内
全人口の9割以上がこの都市計画区域内に居住しているので、この記事をご覧になっている方の9割以上は都市計画区域内であるはずなので、あまり深く考える必要はないかなーとは思いますが、用途地域を調べる際にはまず、この都市計画区域内であるかどうかの確認が必要となります。
都市計画区域かどうかの確認は後述する用途地域の確認方法とほぼ同じです。
よって、上記のエリア以外では用途地域が指定されることはありません。ですので、「市街化調整区域」や「都市計画区域外」、「準都市計画区域外」は用途地域が指定されることは99%ありえません。
ちなみになぜ、100%とできないのは、市街化調整区域への用途地域を定めてはならない規定については、”原則”という言葉が入っているためです。
原則である以上はイレギュラーなケースも認められなくもないとしているからですね。詳細はこちらの記事にやまけんさんが書かれているので参考にしてみてください。
▶︎▶︎▶︎市街化調整区域には、用途地域が定められないルールの参考記事
また、用途地域は、全部で13種類あります。用途制限についてはこちらの記事で確認することができますので参考にしてみてください。
それでは本題に戻りまして、用途地域の調べ方を解説します。
用途地域の調べ方は自治体の対応によって異なる
用途地域については、複数の市町村によって構成される都市計画区域ごとに指定されるものの、指定については、市区町村ごとの対応となるため、注意が必要です。
つまり、市町村の情報提供水準によって異なります。
「おいおい、インターネットでの公表とかあたり前だろ」
って思いますよね。法律上は、閲覧することができるのみ規定されているので、一昔前は遠方であっても窓口に来てください!と伝えていた自治体もあったようです。
理由としては職員が調べた結果に間違ってはいけないので、調査したい人に自分に調べさせることで責任を回避するという意味で、もちろんねー気持ちはわかるのですが、そうした対応をしていた自治体は心象悪いだろうなと思いますね。(とても移住したいとは思えない。笑)
ところがコロナ禍があって直接的なやり取りを減らす観点からインターネットでの情報提供や電話orメール+公図での確認などの方法に変化していっています。
私も公務員でしたので周囲の人達を見ていて思っていたことは・・・多くの公務員はやらない理由を考えるのはピカイチですね。ある意味、組織内の労働者を時間労働という面ではまもることにはつながるのでしょうけど、市民や民間企業からしたら「サービス水準改善」お願いしますよ・・・(泣)ってなりますよね。組織内の3%くらいの公務員がサービス水準の改善を図ろうしてくれるので、少しづつ少しづつ良くなっていきます。(温かい目で見守ってあげてください。)
本題に戻しますね。
ということで、市区町村ごとに対応は異なります。とはいえ、調べる方法は主に3つです。上から順に確認精度が上がります。
公式ホームページに公開の都市計画図を閲覧
はじめに「公式ホームページに公開の都市計画図を閲覧」ですが、都市計画情報専用サイト(地図上から都市計画情報を確認できるサイト)を備えていない自治体でのケースです。
1/25,000の地図、1/2500の用途地域図上から用途地域を確認する方法となります。この方法は、用途地域の縁辺部(用途地域境界)や自分で住所をよく分かっていない・地図を読めない人(ごくたまにいます)には難しい方法となります。
また、都市計画図の確認に慣れているプロでも、実際の都市計画図上からの用途地域以外の情報を調べるのは見落とす恐れありです。
*用途地域以外とは、別途用途制限が行われる「地区計画」や「特別用途地区」などの都市計画が指定されている場合です。特に建物用途制限を強化するために指定されることが9割以上です。
これを解決するのが「公式の都市計画情報(自治体毎の専用ページ)で公開の情報を調べる」方法と「電話orメールで問い合わせ」する方法です。
公式の都市計画情報(自治体毎の専用ページ)で公開の情報を調べる
「公式の都市計画情報(自治体毎の専用ページ)で公開の情報を調べる」ですが、これはいわゆるGIS情報システムや地図情報システムといわれるもので、公式サイトとは別に専用のページから都市計画情報を調べる方法(インターネット上で完結)です。
都市計画情報の他に公共施設の情報やハザードエリアの情報、道路法上の市区町村道路などが示されているので、都市計画以外の情報を知るにも便利です。
ただし、注意点としては、調べたい土地が用途地域境界付近であるケースの場合には、どの用途地域に属しているのかは地図情報上では判別することができません。
この場合には、最後にお伝えする方法を選択します。
また、地図情報は市区町村の予算とも関係するため、最新の都市計画データとタイムラグが発生している可能性があります。四半期毎や年度末には年度内の都市計画情報が反映されると考えられますが、つい最近のものであれば地図情報のみですと情報を取りこぼす恐れがあります。
親切な自治体であれば最新の「都市計画審議会の結果」や都市計画告示情報を公式ホームページに掲示しているため、その情報から最新の都市計画情報を収集・チェック可能です。そうではないケースではやはり最後の方法となります。
電話orメールで問い合わせ
この「電話orメール」で問い合わせするのが最も確実です。
最も良い方法は、併せて「公図」をメールに添付する方法(チャット機能で実装可能な自治体であればそれでもOK)です。自治体職員の手間を取らせてしまいますが、間違いがありません。
特に用途地域境界や用途地域以外の都市計画情報を確認する場合には最適な方法となります。
なお、一点注意して欲しいことがあります。それは、案内を載せている自治体が少ないことです。ですので電話やメールはダメなの??と思ってしまいますが、実際は、問い合わせを行えば対応してくれます。
また、用途地域境界や用途地域が複数にまたがる場合には、行政サービスとして公図上で線引きサービス(復元サービス)が実施されていますので詳細はこちらの記事をご覧ください。
▶︎▶︎▶︎用途地域境界・複数にまたがる場合に読む記事
ちなみに話がそれますが、最後の電話orメール+公図での問い合わせですが、某自治体に勤めているときに、従来はなぜか電話やFAX、窓口対応にこだわっていたのが意味不明でしたね・・・。
在職中により効率的なメール+公図での問い合わせ方法に変更できました。それもコロナ対応という大義名分があって初めて許されました(笑)それくらい役所はカチカチ(笑)
*愚痴ろうと思うととんでもない量になるのとやまけんさんに怒られるので今回はやめておきます。(笑)
まとめ・補足
ということで主に3つの方法をお伝えしました。
最後に改めて説明するのと補足です。
はじめに補足として、不動産取引上、用途地域の証明書が必要という方がいますが、この証明書は都市計画法に基づく法的な証明ではなく、自治体が任意に行っている行政サービスの一つとなります。
銀行ローンや取引における担保として証明書が必要となる理由は理解できますが、法的には閲覧のみであり、公図上の住所・位置と都市計画の位置とで判断することで用途地域の確認は簡単です。用途地域境界や複数にまたがっているケースでは自治体に依頼して線引き(復元)を依頼してください。
次に用途地域の調査方法の再掲です。
- 公式ホームページに公開の都市計画図を閲覧
- 公式の都市計画情報(自治体毎の専用ページ)で公開の情報から調べる
- 電話orメールで問い合わせ(公図必須)
取引などは関係なく、簡易的に用途地域を知りたいなーくらいであれば❶または❷でOKです。一方で建築計画や不動産取引の場合には、❸としてください。
最後に、注意して頂きたいのは、建築基準法条例や都市計画法における開発行為、建築協定などによって別途のルールが設けられている可能性ありです。特に注意が必要なケースとしては、郊外の開発団地や街区が綺麗に整理されている場合です。
都市計画行政担当部署または建築行政担当部署で確認することができますが、先ほど説明した❶の方法ではチェック漏れが生じますのでご注意ください。
ということで以上となります。こちらの記事が参考となりましたら幸いです。
それではまたーーー!!
この記事が良かったよという方は、是非、シェアをお願いします。