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【離れとは?】建築基準法における住宅の離れの条件を元自治体職員が分かりやすく解説

この記事では、建築物の敷地内に住宅を2棟以上建築することができる「離れ」について解説を行っています。元自治体の職員として都市計画を担当していた私(@urbanpole2022)が「住宅の離れ」の要件(条件)を分かりやすく解説していきます。

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建築基準法や都市計画法といった都市づくりに欠かせない法律は、複雑かつ難解なので理解に苦しみますよね。そのような方のために、法律を上手に活用してビジネスや生活に活用してもらいたい、2018年8月にYamakenさんが立ち上げたブログです。

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離れって何?一敷地一建築物の原則との関係性は?

この記事を読まれているということはお困りですよね。お気持ちはわかります。

もしわたしの予想がはずれていたらすみません。

今お悩みになっているのは、「離れ」を母屋につないで増築することができない。または、「離れ」を母屋と同じ敷地内で母屋から少し距離を取りたいからこの記事に到達されたのではと思います。

建築基準法における一敷地一建築物の原則によって、原則として一つの敷地には一つの建築物のみ建築することが可能です。ただし、今回この記事で紹介する離れのように住宅に付属する建築物は可能です。

更に詳しく

この紹介した記事では、「なぜ、同一敷地内に住宅を2棟以上建築できないの!?」、また、2棟以上建築する方法を知りたい方の悩みを少しでも解決できると思いますのでぜひ、参考にしてもられば幸いです。

本題:離れとは?

「離れ」とは「母家(おもや)」が存在してはじめて成立する住宅形態の一つです。

【離れ自体は住宅にならない】
一つの敷地に「離れ」のみでは住宅とは扱えません。つまり、離れ自体は、建築基準法の「住宅」ではないということ。
【温泉街の場合や銭湯が近接している場合】
*温泉や銭湯が近接しており当該浴室を使用する習慣に場合にはお風呂の設置は不要とする取り扱いを行っている自治体もあります。私も温泉街内の住宅であればお風呂の設置がない場合でも住宅として認めて良いという考えです。

「離れ」とは別名として「隠居部屋」や「書斎(勉強部屋)」と呼ばれる建築物の用途で、母家と構造上分離した渡り廊下で「離れ」とつないだり、屋根無しの渡り廊下により敷地内に母家と離れを配置します。
*接続する部分はエキスパンションジョイント(EXP.j 構造体同士を分割し、構造物にかかる破壊的な力を伝達しないようにする継目・カバーみたいなもの)が一般的ですが、構造上一体とするケースもあります(*構造計算を行って安全性や層間変形角のチェックは必要)

「離れ」というと旅館をイメージしがちですよね。旅館の「離れ」は旅館本館とは別の位置に建築されている「離れ」であって住宅ではないです。

江戸・明治時代ですと、現役から退いた年長者が住む部屋として「隠居部屋」が用意されていたそうな、、、現代では考え難いですよね。

例えば、勉強部屋をつくって離れで勉強していたらもはや修行の領域で、科挙試験でも受けるのかい!とツッコミたくなるレベル…

離れの条件(要件)

では、どういった形態が離れに該当するのかですが、一般的には建築基準法の住宅の要件である3点セット(台所・キッチン、お風呂、便所)のうち、一つでも足りない形態のものをいいます。

住宅の要件

「台所(キッチン)」、「風呂(バスルーム)」、「便所(トイレ)」の3つの設備のうち、1つでも欠いている建物。

「離れ」のみでは住宅としての機能を満足できず母家と一部機能を共有する場合をいいます。つまり、母家と一体的な利用が大前提となります。

つまり、用途上不可分の関係と判断されます。

同一敷地内に母家があって、「便所」、「便所+お風呂」、「台所・キッチン、便所」などの機能に加えて寝室等居室を有する建物が「離れ」となります。

用途上不可分の関係にある場合には、一敷地内で全ての住宅を完結させることができますが、不可分の関係にはないと判断される場合(=可分)には、敷地を分ける必要があります。

その場合、敷地を分ける際には、行政指導やローンの関係からケースにはよっては分筆(公図上の土地を分けてそれぞれ登記)が求められます。その場合、費用と時間がかる上に、市街化調整区域の場合には新たに開発許可が取得する必要性を求められる可能性もあります。

▶︎▶︎▶︎敷地の分割・分筆はこちらの記事をご覧ください。

まとめ・補足

離れとして認められる例としては、住宅3点セットの一つ以上を欠いており、それ自体では住宅としての機能がないもので、母屋である住宅との一体的な利用が必要となります。

*離れとして認められる・認められない例(作成:YamakenBlog)

なお、最も注意して欲しいのですが、特定行政庁ごとに取り扱いが異なります。

今回お伝えした「離れ」の考え方はいわゆる一般的な取り扱いであって、全ての特定行政庁が同様に取り扱っているわけではないのが難しいところです。

建築基準法では「離れ」についての技術的な定義が定められていないため、その技術的な判断は各々特定行政庁に委ねられています。

「国はそんなことでいいのか!!」と怒りそうな人もいそうですが、国の運営に直接的に大きな影響にはならないので地方自治という枠組みの中で、どちらかというと「都市」の中でどうあるべきか的な視点で判断が行われています。

少しブラックなことを伝えると、多世代居住したいから離れを増築したいという気持ちは分かるのですが、自治体によっては、市街化調整区域内の同一敷地に住宅を2棟を建ててやろうと企てる人たちによる建築を防ぐために厳格に「離れ」を要件化していたりします。

とはいっても、狭い敷地に住宅を2棟になってしまうと避難経路や接道などで支障が生じ、結果的に人命救助や消火活動などに影響が出るのを防ぐという意味もあります。

要件としては、例えば、母家の床面積を超えないor1/2未満にしなければならないとか、3点セットのうち、台所が無いものに限るとかですね。

ちなみに、大阪府では台所があれば住宅として可分としています。確かに台所があれば生活可能ですものね。

建築基準法及び同大阪府条例 質疑応答集(抜粋)

いわゆる一般的な取り扱いではない扱いをしている場合には公式ホームページに指針・扱い集を掲載していると考えられますので自治体にサイトをリサーチするようにしてみてください。

繰り返しとなりますが、「離れ」の要件です。

離れの要件
  • 同一敷地内の母家があること。
  • 台所、風呂、便所のうち1つ欠いている建物であり、母家と一体的な利用であること。
    (注)各特定行政庁によって判断が異なる。

最後に、「離れ」にこだわらず床面積を増やしたいのであれば、既存の母屋に接続させて増築することをおすすめします。ただし、構造的な検討や雨仕舞いなど課題は生じると思いますので専門のプロ(建築士)に相談してみてください。

ということで以上となります。参考となりましたら幸いです。

▶︎▶︎▶︎「離れ」=「小屋」と認識されている方は、こちらの書籍を読むと妄想が膨らんで設計が楽しくなると思いますので参考に書籍リンクを貼っておきます。(あくまでもイメージ程度に。笑)

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