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津波浸水想定区域と津波災害警戒区域の違いを分かりやすく解説

この記事では、津波防災地域づくり法(平成23年法律)に基づく、『津波浸水想定区域』と『津波災害警戒区域』、『津波災害特別警戒区域』の違いと、関連して津波浸水想定区域の建築制限について解説を行っています。

この記事で分かること。
  1. 浸水想定区域と警戒区域・特別警戒区域の違い
  2. 浸水想定区域の建築規制
  3. 警戒区域及び特別警戒区域の建築規制


こんにちは!

このYamakenBlogでは、難解な建築基準法をはじめ、都市計画法や都市再生特別措置法、宅建業法などのまちづくりに欠かすことのできない法律について、出来るだけ分かりやすく解説を行っています。建築・不動産業界の方々や、これから住宅を建築を予定されている方、店舗経営で立地戦略を検討されている方のお役に立てるはずです。

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浸水想定区域と災害警戒区域の違い

※出典:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/point/tsunamibousai.html

津波浸水想定区域とは、最大クラスの津波が発生した場合における津波の浸水想定エリアと浸水深を示すもので、都道府県がシミュレーションを行い設定し、都道府県の公式サイトで公表しています。

この津波浸水想定区域は、津波防災地域づくり法により義務化されており、全国の沿岸部を有する都道府県で指定が行われています。

(津波浸水想定)
第8条 都道府県知事は、基本指針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、津波浸水想定(津波があった場合に想定される浸水の区域及び水深をいう。以下同じ。)を設定するものとする。

津波防災地域づくり法第8条第1項

一方で、津波災害警戒区域とは、津波浸水想定区域を踏まえて『住民等が津波から”逃げる”ことができるよう警戒避難体制の整備』のための区域で、都道府県知事が指定・公表しますが、設定は任意です。*あわせて基準水位も公表されます。

つまり、津波浸水想定区域の中に津波災害警戒区域が設定される形です。

浸水想定区域は単に津波による浸水エリアと浸水深さを示すもので周知が目的となりますが、警戒区域は津波からの避難体制の確保を目的に、避難高さが明確化されるとともに、防災計画やハザードマップ、避難施設の指定・整備などソフト・ハード両面で対処するための区域となります。

また、津波災害特別警戒区域は、津波災害警戒区域の中に『一定の開発行為及び建築等を制限すべき土地の区域』を設定するもので、『防災上の配慮を要する者等が建築物の中に居ても津波を「避ける」ことができる区域』として都道府県知事が指定・公表します。
*この津波災害特別警戒区域も同様に設定は任意です。

なお、現在、津波災害警戒区域の指定を行っているのは、北海道、山形、新潟、神奈川、富山、福井、静岡、愛知、京都、和歌山、鳥取、広島、山口、徳島、愛媛、高知、福岡、長崎、鹿児島、沖縄、特別警戒区域は静岡のみとなっています。

浸水想定区域・警戒区域の建築制限は?

※出典:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/point/tsunamibousai.html)

津波浸水想定区域内の建築制限はなしです。
また、津波災害警戒区域も同様に建築制限はありません。

現在は、建築制限自体はありませんが、国土交通省の公表資料にもあるように、津波浸水想定区域の設定後に警戒区域・特別警戒区域を設定する流れ(現時点で公表を行っているのは、若干の市町村のみ)となっているため、今後、警戒区域・特別警戒区域が指定されていくことが考えられます。
※特に津波被害を受ける可能性の高い、太平洋沿岸部の都府県では公表してないです。

しかしながら、津波災害特別警戒区域については、建築行為・開発行為制限があります。

津波災害特別警戒区域の建築行為・開発行為に対する制限についての詳細はこちら(↓↓↓)に書いてあるので、良かったらご覧ください。

まとめ

※出典:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/point/tsunamibousai.html)

今回の記事内容をまとめると次のようになります。

  1. 浸水想定区域と警戒区域はそれぞれ目的が異なる。
  2. 浸水想定区域は最大クラスの津波による浸水深とそのエリアを示すもの周知が目的。
  3. 警戒区域は、浸水想定区域を踏まえて設定される区域で、津波からの避難体制を確保することを目的に、避難高さ(基準)の明確化、防災計画・ハザードマップの作成、避難施設等の指定・整備等が実施されます。
  4. 浸水想定区域及び警戒区域ともに建築制限はなし。
    ただし、特別警戒区域(オレンジ・レッド)については建築と開発行為制限があります。
    関連記事津波災害警戒区域(特別警戒区域)における建築の制限を解説【津波防災地域づくりに関する法律】

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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など