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【空き家法改正】6月7日に成立。何が変わる?建築法規の観点から分かりやすく解説。

この記事では、令和5年6月7日に成立した「改正空き家等対策特別措置法」に関して、建築法規の観点から何が変わるのか分かりやすく解説しています。

国の改正概要資料でいうところの「市区町村が空家等活用促進区域及び空家等活用促進指針を定めた場合に接道規制や用 途規制を合理化し、用途変更や建替え等を促進」の部分になります。

解説の前に簡単な自己紹介です。

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建築基準法の特例制度が創設

※空き家対策小委員会 とりまとめ(令和5年2月)
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/house02_sg_000208.html

今回の空き家法改正により接道緩和と用途地域内の例外許可に関する特例制度が創設されました。

ポイントとなる新たな用語は2つあります。
1つ目は「敷地特例」、2つ目は「用途特例」です。

敷地特例
用途特例

新たな改正法としては、法第7条第5項となります。

空家等活用促進指針には、前項各号に掲げる事項のほか、特例適用建築物(空家等活用促進区域内の空家等に該当する建築物(建築基準法第2条第1号に規定する建築物をいう。以下この項及び第九項において同じ。)又は空家等の跡地に新築する建築物をいう。次項及び第10項において同じ。)について第17条第1項の規定により読み替えて適用する同法第43条第2項(第1号に係る部分に限る。次項において同じ。)の規定又は第17条第2項の規定により読み替えて適用する同法第48条第1項から第13項まで(これらの規定を同法第87条第2項又は第3項において準用する場合を含む。第九項において同じ。)の規定のただし書の規定の適用を受けるための要件に関する事項を定めることができる。

空き家等対策推進特別措置法第7条第5項

それでは簡潔に解説します。

敷地特例とは?

敷地特例とは、空き家等活用促進区域内の空き家等または空き家等の跡地に新築する建築物について、敷地が幅員1.8m以上4mの建築基準法上の道以外の道に2m以上接している場合に一定の条件下において再建築を可能とする特例制度です。*改正法第7条第6項

条件としては、

  1. 避難及び安全上支障がないこと。
  2. 空家等活用促進区域内における経済的社会的活動の促進及び市街地の環境の整備に改善に資するもの(国土交通省令で基準策定後、各自治体毎に基準を参酌してルールを設定)であること。

これによって、建築基準法第43条第2項第一号認定を受けることが可能になるようです。

特例制度が設けられた背景としては空き家が活用されない理由の一つに接道が取れていないことが理由にあげられているようです。

※空き家対策小委員会 とりまとめ(令和5年2月)
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/house02_sg_000208.html

ただし、国土交通省省令で定める基準は示されていないので、どのような道が対象とされるのかは不明です(詳細がわかったらこのブログでも紹介する予定です)
*施行予定日は公布の日から6ヶ月以内とされているので早ければ2024年から特例制度を使えるようになるはずです。

また、ここが重要です。

特例を受ける前提として、自治体は、「空家等対策計画」に「空家等活用促進区域」を定めるとともに当該区域内の「空家等活用促進指針」を定めて、特例適用建築物(敷地特例)の適用を受けるための要件を定めることが必須とされています。

つまり、自治体によって特例制度を受けることが可能なエリアと建物用途が異なることが予想されます。

なお、建築基準法第43条第2項第1号認定は次のように読み替えられます。

(敷地等と道路との関係)
第43条 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第44条第1項を除き、以下同じ。)に2m以上接しなければならない。
 〜  (略)
 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
 その敷地が幅員4m以上の道(道路に該当するものを除き、避難及び通行の安全上必要な国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)に2m以上接する建築物のうち利用者が少数であるものとしてその用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合するもの又は空家等対策の推進に関する特別措置法第7条第12項(同条第14項において準用する場合を含む。)の規定により公表された同条第1項に規定する空家等対策計画に定められた同条第6項に規定する敷地特例適用要件に適合する同項に規定する特例適用建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの

建築基準法第43条第2項第1号、空き家等対策推進特別措置法第17条第1項

用途特例とは?

用途特例とは、用途地域制限に適合していない建築物であっても特例行政庁の許可を受けることで用途地域制限に適合しない建築物の建築を可能とする特例制度です。*改正法第7条第9項

特例を受けるための条件としては、

  1. 空家等促進区域内における経済的社会的活動の促進のためにやむを得ないもの

と自治体に認められる建物用途等である必要があります。これにより建築基準法第48条に基づく特例許可を受けることができるようになるようです。

例えば第一種低層住居専用地域の用途制限が規定されている建築基準法第48条第1項は次のように読み替えられます。

(用途地域等)
第48条 第一種低層住居専用地域内においては、別表第2(い)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が、第一種低層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて許可した場合、又は空家等対策の推進に関する特別措置法第7条第12項(同条第14項において準用する場合を含む。)の規定により公表された同条第1項に規定する空家等対策計画に定められた同条第9項に規定する用途特例適用要件に適合すると認めて許可した場合その他公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。

建築基準法第48条第1項、空き家等対策推進特別措置法第17条第2項

なお、敷地特例と同じく、特例を受ける前提として、自治体作成の「空家等対策計画」に「空家等活用促進区域」を定めるとともに当該区域内の「空家等活用促進指針」を定めて、特例適用建築物(特例用途)の適用を受けるための要件を定めることが必須とされています。

必ずしも義務ではないことに注意する必要があります。また、自治体はこの旨を指針に定めるには事前に特定行政庁と協議して同意を得ておく必要があります。

その他の改正:マスタープランと調和

一部の自治体では以前から空家等対策計画は都市計画マスタープランと整合を図っていたとは思いますが、これが法に明文化されたかたちです。

空家等対策計画については、都市計画区域マスタープラン(都道府県・指定都市作成)と都市計画マスタープラン(市町村作成)との調和を図ることが明文化されました。これによって市町村の土地利用の上位計画であるマスタープランと整合を図る必要があります。

今回、市街化調整区域内での空家活用も可能となったことで、市街地の無秩序な拡散を招くことがないようにマスタープランとの整合を図るために設けられたのかと思います。
例えば、都市計画の方針では、コンパクトシティの形成を進めるとしているのに市街化調整区域内の非農家住宅を店舗や飲食店にして活用します!!では調和が図られていないことになります。

空家等対策計画(第3項に規定する事項が定められたものに限る。第16条第1項及び第18条第1項において同じ。)は、都市計画法第6条の2の都市計画区域の整備、開発及び保全の方針及び同法第18条の2の市町村の都市計画に関する基本的な方針との調和が保たれたものでなければならない

空き家等対策推進特別措置法第7条第11項

参考記事

施行予定日

施行予定日は公布の日から6ヶ月以内とされています。ですので、遅くても年内には施行される予定となっています。*6月13日時点で未公布です。

補足:その他の改正概要

今回の改正法の概要は国土交通省の公式ページで確認することができます。
参考リンクを貼っておきます(https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000160.html






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など