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【都市マス・区域マス】都市計画マスタープランと都市計画区域マスタープランの違い

この記事では、都市計画マスタープランと都市計画区域マスタープランの違いについて簡単に解説しています。

都市計画マスタープランは、市町村(指定都市を除く)が作成し、都市計画区域マスタープランは都道府県(指定都市を含む)が作成します。

こんにちは。YamakenBlogです。

YamakenBlogでは、建築や都市計画、不動産に関して業務に役立つ豆知識を発信しています。




市町村都市計画マスタープラン

まずは都市計画マスタープランについての説明となります。都市計画マスタープランは、市町村において作成することから『市町村都市計画マスタープラン』といいます。

都市計画法では、都市計画法第18条の2に規定されています。

この”都市計画に関する基本的な方針”が都市計画マスタープランと呼ばれています。

海外でもマスタープランと使われていることからこのように呼んでいるんでしょうけど、マスタープランと基本的な方針では、イメージが異なるので分かり難いですよね。

(市町村の都市計画に関する基本的な方針)
市町村は、議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想並びに都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に即し、当該市町村の都市計画に関する基本的な方針(以下この条において「基本方針」という。)を定めるものとする
2 市町村は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
3 市町村は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、都道府県知事に通知しなければならない。
4 市町村が定める都市計画は、基本方針に即したものでなければならない。

都市計画法第18条の2

市町村は、「都市計画」に関する基本的な方針を定めるとされており、例えば、都市計画道路、公園、下水道等の都市施設の整備や市街地再開発などをどのよう進めていくか等々・・・を記載することができるようになっています。

都市計画マスタープランの作成は義務です。

同法第4項の規定により、市町村が定める都市計画は、この基本方針(マスタープラン)に即したものでなければなりません。つまり、このマスタープランに書かれていない都市計画は、原則して行うことができないということ。

例えば、市街地再開発を行うにも、マスタープランにおいてそうした事業を行う旨の記載がなければ、市街地再開発の都市計画を決定することができません。

では話を戻り、この法令の中で、「都市計画区域の整備、開発および保全の方針」に即し、とありますが、これが「都市計画区域マスタープラン」になります。

なお、市町村都市計画マスタープラン(都市マス)は、この「都市計画区域マスタープラン(区域マス)」と、「市町村の建設に関する基本構想(総合計画:市町村の最上位計画)」に即する必要があります。

これは、同一都市計画区域内において複数の市町村がある場合に、それぞれの利害調整を図ることを目的にしているもので、市町村マスタープランの上位に位置する区域マスタープランにおいてその役割を担っています。

総合計画については近年の改正により義務化はなくなったので策定していない自治体もあります。

まとめ
  • 都市計画マスタープランは、市町村が策定し、総合計画及び都市計画区域マスタープランに即する必要がある。
  • 市町村が定める都市計画は、都市計画マスタープランに則しなければならない。

補足詳細記事:都市計画マスタープランとは

都市計画区域マスタープラン

都市計画区域マスタープランは、都市計画法第6条の2に規定されています。

都道府県が定める(政令指定都市内の区域は指定都市)ものとされています。
*都市計画法第15条第1項において、都市計画区域マスタープランは都道府県が定めるものと記載。

(都市計画区域の整備、開発及び保全の方針)
都市計画区域については、都市計画に、当該都市計画区域の整備、開発及び保全の方針を定めるものとする。
2 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針には、第一号に掲げる事項を定めるものとするとともに、第二号及び第三号に掲げる事項を定めるよう努めるものとする。
一 次条第一項に規定する区域区分の決定の有無及び当該区域区分を定めるときはその方針
二 都市計画の目標
三 第一号に掲げるもののほか、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針

3 都市計画区域について定められる都市計画(第11条第1項後段の規定により都市計画区域外において定められる都市施設(以下「区域外都市施設」という。)に関するものを含む。)は、当該都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に即したものでなければならない。

都市計画法第6条の2

この都市計画区域マスタープランには、以下の内容を定めることと(二号と三号は努力義務)規定されています。

一号:区域区分(市街化区域と市街化調整区域の区分)の決定の有無、及び方針
二号:都市計画の目標
三号:土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針

複数の都市により都市圏が形成されている自治体では、かなり重要な規定となります。

例えば、ある市町村が、郊外に規模の大きい大型店舗を誘致したくて、区域区分を勝手に変えられたら、都市圏内にある他の市町村は、交通をはじめとする都市生活に大きく影響します。そのため、都道府県による広域的見地からの調整が必要です。

今後の人口や商工業の将来値をもとに、商工業の用途地域がどの程度必要となるのかなど記載している場合もあるため、市町村都市計画マスタープランのような、ふわふわとした都市の将来像のイメージを示したり、具合的な事業を記載するというよりも、『○○のような誘導や整備を図ります』といった方針を記載しているにとどまります。

まとめ
  • 都市計画区域マスタープランは、都道府県及び政令指定都市が策定する。
  • 都市計画区域マスタープランは、都市計画区域内の複数市町村の計画を包含して、区域区分や都市計画の目標等を記載することとされている。

補足記事:区域マスタープランとは

本記事のまとめ

種類策定者法令主な特徴
市町村都市計画マスタープラン市町村都市計画法第6条の2市町村が都市計画マスタープランや総合計画に即して策定する都市計画の基本的な方針
都市計画区域マスタープラン都道府県都市計画法第18条の2都市計画区域を構成する複数市町村を包含して作成する都市計画の方針(区域区分といって市街化区域と市街化調整区域の区分け:いわゆる線引き など)
都市マスと区域マスの違い
  • 区域マスを都道府県が定め、都市マスを市町村が定めます。
  • それぞれの役割としては、広域的見地からの都市計画が区域マスで、市町村の創意工夫により地域に密着したまちづくりを行うための指針が、都市マスです。

いかがでしたでしょうか。都市マスと区域マスの違いを簡単にまとめました。

関連記事・参考書籍

都市計画マスタープランに関連する記事や参考書籍はこちらをご覧ください。

参考書籍:都市計画について

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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】一級建築士、一級建築基準適合判定資格者(建築主事)、宅建士など 【実績・現在】元国と地方自治の役人:建築行政・都市計画行政・公共交通行政・まちづくりなどを10年以上経験 / 現在は、地元でまちづくり会社を運営し、都市に関わるコンサルタントや住宅設計、執筆活動を行っています。