現代の都市開発とまちづくりは、持続可能で快適な生活空間を提供することを目指しています。
この記事では、まちづくり分野に身を置く著者が、日頃から感じているまちづくりの課題や実践的な取り組みについて紹介します。これらの知識は、私たちの日常生活に直接関係することが多く、興味深いです。どうぞ、お楽しみにご一読ください。
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YamakenBlogでは、建築基準法や都市計画法、宅建業法など、まちづくりに関連する難解な法律を、元行政職員の私が分かりやすく解説しています。
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まちづくりを担う主要な計画と特定行政庁
まちづくりというと広義の意味では、さまざまな分野が入ってしまい分かりづらくなるので、都市のマネジメントという視点で都市計画や都市交通に要点を絞ります。
というより私の得意分野以外で記事を書くのが苦手なのでまちづくり・都市計画に特化します。
ですので、「都市づくり」としてイメージしてもらうと、よりこの記事が何を言おうとしているのか分かりやすくなるのではと思います。
現在、都市づくりを担う主要な行政計画は次の5つです。
*最後の5つ目はエリアが狭い計画であり補完しています。
- 都市計画区域マスタープラン(都道府県・指定都市作成)
- 都市計画マスタープラン(市区町村作成)
- 立地適正化計画(市町村or都道府県作成 *市町村が連携して作成可能)
- 地域公共交通計画(市町村等作成)
- 中心市街地活性化基本計画(市町村作成)
どなたでも、一度は聞いたことがあると思います。
この中で最も重要な計画は❶の『都市計画区域マスタープラン』です。
この計画は、都市計画を同一つとする市町村をまとめて都市政策の方向性を定める計画で都道府県(一部では指定都市も可)が作成するもので、区域区分といった市街化区域と市街化調整区域を分ける需要な都市計画もこの”区域マスタープラン”で定められます。
一方で、❷の『都市計画マスタープラン』は市町村が定めることができる計画となっていて、❶に即したかたちで、市町村としての都市政策の方向性を定めます。
同様に計画の一部を都市計画マスタープランとみなす❸の「立地適正化計画」も都市政策の方向性を定めていますが、こちらは主に市街地に焦点を当てて、より具体的な施策を定める実行計画となっています。
また、❶〜❸の公共交通(都市のネットワーク)を支える計画が❹の「地域公共交通計画」です。この計画では、❸の立地適正化計画と同様に、実施計画といえる計画であり、短期的に解決を図っていく施策を確実に実施するためのものです。
現在、都市づくりを担う計画は主に上記の5つです。
さらに、都市づくりにおいては、都市計画で定めるられる内容を実行するため、建築基準法の役割が欠かせません。この建築基準法を具体的に運用していくのが建築基準法でいう特定行政庁となります。
特定行政庁とは、都道府県又は人口規模の大きい自治体が担うもので、建築基準法における許認可、建築制限など「都市」を運営する上で重要な役割を担います。
結論をまとめると、まちづくり・都市計画の分野においては❶〜❺の法定計画+特定行政庁が重要なファクターとなります。
ところがです、実際のまちづくり運営は複雑化しています。
こちらをご覧ください。具体的な都市例を用いて解説していきます。こちらは、水戸・勝田都市計画区域の状況を著者がまとめたものです。
都市づくりにおける行政側の課題
ここでは例をあげます。(私の実家が「水戸・勝田都市計画区域」なので分かりやすく)
「水戸・勝田都市計画区域」は、水戸市とひたちなか市の2都市が核となって構成されている区域内人口約57万人(*出典:水戸・勝田都市計画区域マスタープラン)を有する都市圏となっており、茨城県内では最大です。
構成市町村 | 都市MP | 立適 | 交通 (旧計画を含む) | 特定行政庁 |
---|---|---|---|---|
水戸市 | 水戸市 | 水戸市 | 水戸市 | 水戸市 |
ひたちなか市 | ひたちなか市 | ひたちなか市 | ひたちなか市 | ひたちなか市 |
那珂市 | 那珂市 | 那珂市 | 那珂市 | 茨城県 |
大洗町 | 大洗町 | 大洗町 | 未作成 | 茨城県 |
茨城町 | 茨城町 | 茨城町 (作成中) | 未作成 | 茨城県 |
東海村 | 東海村 | 東海村 | 東海村 | 茨城県 |
城里町 (行政区域の一部) | 未作成 | 城里町 | 城里町 | 茨城県 |
ご覧のように、「水戸・勝田都市計画区域」という一つの都市圏内であるものの、都市計画マスタープランや立地適正化計画、地域公共交通計画は各市町村が定めています。
3つの計画は、主に都市全体を俯瞰してマクロ的に解決を図っていく(交通計画は公共交通に特化したミクロ型)こととしている法定計画です。
俯瞰した視野を基に都市計画区域に焦点をあてて作成する計画がミクロ的役割を担っているので、都市政策上の矛盾や弊害が生じていると想定されます。
また、特定行政庁との関係性も重要です。
特定行政庁は、建築基準法に基づく指定や許認可など、まちづくりにおける重要なファクターを担っていますが、水戸市・ひたちなか市・茨城県の3者にまたがっています。
建築行政なので行政庁会議などで情報共有を頻繁にされているとは思いますが、行政庁の横のつながりや連携といった面では苦慮されていると考えられます。
都市政策上の弊害
では、その弊害は何かというと。
例えば、文化センター・文化会館・市民会館といった施設については、合理的に考えて、それぞれの市町村ごとに立地させる必要性はありませんよね。
大小古い施設が各地に点在しているよりも一箇所に規模の大きい複合型の文化施設を設置すれば多くの方が公共交通を利用してアクセスすることができますし何より便利です。
ところが、実際はそうはなっていません。どうしても自分達のまちが経済的に一番になりたいと考えてしまいます。
当然といえば当然で、その都市間の競争性がより良い街づくりにつながると思います。
※見方を変えれば間違ってはいません。
ところが、都市計画区域全体を俯瞰して見渡せば、公共施設を再配置(整理)した方が維持管理の面や公共施設が有する集客性の観点から効率的に都市運営がしやすくなります。
結果として、公共施設や民間商業施設の誘導がそれに付随する民間ビジネスのやりやすさにもつながってくるわけです。
文化施設に焦点を絞れば公共施設の高い集客力は民間ビジネスにおいて欠かせないツールです。また、医療施設や商業施設なども同様です。
都市の課題を合理的に解決を図っていくためには、合併して指定都市として運営するか複数市町村協議会などで連携を図った方が効率的です。
ところがそうはなっていないところを見ると、結果的に非合理な都市運営の状態になっていると思いますし、何より市民感情的には都市間で不公正感を感じているように思います。むしろ、水戸・勝田都市計画区域であれば、旧水戸藩の領地として一体性は損なわれてはいないため合併しろがありそうに感じるくらいです。
確かに、都市の面積は小さい方が行政運営しやすいメリットがありますし、合併・連携などは行政側としてはかなり面倒なのでやりたくないと思います。ただし、それは都市圏として捉えれば違った見方になります。
【補足】
そもそも都市計画区域マスタープランと市町村連携立地適正化計画・地域公共交通計画で十分であり、都市計画マスタープランの役割は既に終えているような気もします。
人口減少社会でも経済を維持できる?
人口が増加している時代であれば、将来性を見越して現状のまま様子をみようとしても良かったとは思います。また、現在はまだまだ各々の都市に経済力がありますから経済規模を維持できると考えます。
ところが、これから地方都市の多くで人口が急速に減少し、高齢者のうち働けない人達の割合が増加することで、GDPが下がり、個人消費も低迷し、ビジネスがやりにくくなりますから、ビジネスを成功機会を増やすためにも合理的な都市解題の解決は避けて通れなくなると考えています。
あくまでも俯瞰的に見たときなので、個々の事情では解決していく課題と施策が異なるとは思いますが、前項のような非効率な行政計画は見直すときに来ていると思います。
*例えば、人口減少下でもビジネスとして1つの市町村を支えるくらいの企業が誕生すれば財政状況の問題はクリアする可能性が高くなります。
行政サイドにお願いしたいのは、いつかは行政運営を見直す必要に迫られることが分かっているのであれば、動き出しが早くて悪いことはないので、効率的な運営(連携)に向け動き出すか、もっと積極的に地域起業家を応援する仕組み(地域ベンチャーキャピタル)をつくってはどうかと思います。
勝手なことを言っている個人の意見なんか知らん!が正解でしょうけど、本当にこのままの状態でいいのか、あと20年後には社会はどう変化しているのか柔軟に対応する時期に来ていると思います。
最後に
合理的、合理的とちょいうるさかったと思います(笑)
合理性が求められる世の中でもミクロ(細部)では非合理性が重要だったりします。
例えば、街中や美術館・博物館の無駄なスペース・広場などは、一見して合理性を欠いていますが、人が集まる装置だったりもします。そこから、そうした人をターゲットにしたビジネスが生まれる可能性が十分にあります。
これがなくて、超合理主義だと都市も窮屈で何処か圧迫・無機質・虚無を感じてしまう可能性があって、住んでいて楽しさが欠如するな〜といろんな都市を見てきて思うところ。
だからこそ、まちづくりは、合理的でありつつも非合理性が重要で、少子高齢化・人口減少下でも都市が成長する秘訣は”コレ”だと思います。
ということで以上です。最後までご覧いただきありがとうございました。