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【都市とは?】都市の定義を分かりやすく解説。→結論:UrbanであってCityではない。

この記事では、普段何気ない会話やニュース、行政の文書等で頻繁に使われている『都市』を分かりやすく解説しています。

”都市の定義とは何か”がこの記事で理解できることです。
(参考)タイトルの写真は、ニューヨークのマンハッタンです。ここは大都市です♪

YamakenBlogは、建築基準法や都市計画法、宅建業法など、まちづくりに関連する難解な法律を、元行政職員の私がシンプルでわかりやすく解説しています。
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法律に都市の定義は存在しない

「都市」とは何なのかというと、都市に関連する都市計画法や都市再生特別措置法においては明確な定義がありません。それから地方自治法にもありません。その他、国が自治体に発出・公表する技術的助言や運用指針とうにも記載されていないです。

国内の法律では「都市」の定義付けされていない

つまり、都市の定義は存在しない。が正解なります。

ですので、都市部とか地方都市とかっていう言葉自体は、本来、定量・客観的に示すことはできない用語ではないので、受け取る側の主観性や、個人が有しているイメージの違いによって、意味の解釈が全く違ってきます

これって結構重要なことですよね。

そのような状況にあるにも関わらず、都市計画法や都市再生特別措置法等の都市計画に関係する法律には「都市」という言葉が使用されており、どういった都市に焦点を当てた法律なのかが明確ではないんです。

こうした、”フンワリ”とした主観的な感覚って、日本の良いところだったり、悪いところだったりするんですよね。

それでは人口が1万人満たない町や村は「都市」と言われると違いますよね?それは、地方の農村・漁村であって、都市ではない。どちらかと言うと「街(まち)」・「村」に近い。

どこに線引きがあるのかが不明瞭・・・それでは都市のイメージや考え方を参考にする方法はないの!?疑問を抱くと思いますので、関連法でどのような扱いとなっているのか、リサーチした結果を説明していきます。

はじめに都市計画法における都市の取り扱いです。

補足:車や鉄道が普及する前は1マイル・半里が都市の半径

自動車や鉄道などが普及する前は、人は徒歩で移動していました。そのため、人の1日あたりの移動時間の平均が都市の概ねの半径となっていました。およそ1日あたりの移動時間の平均は1時間とされ、ヤコブ氏・マルケッティ氏によって提唱されています。

片道30分程度とするとおよそ1マイル(約1.6km)〜半里(約2km)におさまっていたとされています。実際、古代から近世の都市を見ると多くの都市で当てはまっていることが分かります。

一方で、江戸のように100万人都市にまで大規模に発展したところでは、直径4里(約8km,江戸御朱引の範囲)まで拡大しています。

*出典:東京都(https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/01soumu/archives/0712edo_hanni.htm)

都市計画法での「都市」とは

法における「都市計画の基本理念」の中で、都市計画の理念が定められています。

【都市計画の基本理念】
都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。

※出典:都市計画法第2条

ここでは、都市という用語を用いて、二つの言葉が使用されています。

”都市生活””都市活動”です。

意味としては、都市における日常的な生活のことと、都市における生産・産業的な活動のこと、つまり、衣食住+仕事 です。

この内容では、都市を明確に定義している部分はないので、次に、”都市計画”の定義から「都市」について考えてみます

都市計画の定義

【定義】
この法律において「都市計画」とは、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する計画で、次章の規定に従い定められたものをいう。

※出典:都市計画法第4条第1項

ここで、「都市」という文言が出てきますが、既に都市はあるべきものとした前提での、用語となっているところに注目です。

つまり、法律の中で、都市とは、既に国民の中で分かっている・認識している言葉として用いられており、これが何なのか、誰も明確には答えることができないんです。

では、都市とは何なのか?

都市計画法における都市とは、法制度が都市計画区域を設定し、その都市計画区域の中で、区域区分といって市街化区域と市街化調整区域を指定していることを踏まえてみると、一つの仮説として、都市計画区域、とりわけ市街化区域が設定されているところが都市ではないかと考えられます。

というのも、区域区分が定められていない都市は、都市というよりも町に近いイメージです。一方で区域区分が定められているということは、土地利用を上手にコントロールしないと、無秩序な市街地が形成されてしまう恐れがあるくらいに経済発展している(もしくは市街地が拡大する可能性がある)ということ。

大多数が土地と建築物の集合体を利用する環境にある状態が都市に近いような気がします。

では、区域区分において必ず定められる市街化区域。その面積と人口をみてみれば、その値から自ずと都市について気づける点があります。

市街化区域内の人口は、89,136千人(0.9億人)

最新の統計データによると市街化区域内の人口は、約0.89億人です。

この数値は、国土交通省が公表している令和4年都市計画基礎調査による結果です。
日本の人口は、125,927千人なので、人口の約7割は、市街地に住んでいるんです。

  • 市街化区域の面積:1,453,520ha
  • 日本の国土面積:377,973k㎡

つまり、国土のたった3.8%に人口の7割が住んでいるんです。

この数値だけ見ると、改めて、市街化区域が設定されている市町村が、「都市」と言っても良いんじゃないかと思います。

そうしたら、市街化区域が設定されている都市、つまり、区域区分が指定されている都市はどのくらいあるかというと、622市町村(※出展:令和4年都市計画基礎調査)あるんですよね。

この市街化区域は、法律の中で、設定基準として、既成市街地については、40人/ha(ヘクタール)というものがあります。これは、人口集中地区(DID地区)と重なります。

日本って山間部が多く平野が少ないので、高密度な市街地が形成されているところが多いんですよね、なのに、地方都市では、中心市街地がスカスカ・・・

ただし誤解を招かないようにしたいのが、40/haという数値は、市街地を示すものであって、「都市」を明確に定義付けられるものでもないということ。

法の体系的には、都市があるから、都市計画区域があって、さらに市街化区域が定められるものの、都市と市街化区域はイコールにはならない、つまり、都市=市街化区域 を明確に示していないということです。

ここで、タイトルに戻って、City(市)とは何かを考えてみます。

City(市)とは

Cityには、比較する上で、指定都市、中核市、通常の市があります。*なお、平成27年に特例市は廃止され、現在残る特例市は平成27年施行時に存続していた特例市のみです。

種類要件備考
指定都市・市の要件を備えるもの
人口50万人以上
地方自治法第252の19条
中核市・市の要件を備えるもの
・人口20万人以上
地方自治法第252の22条
市(上記以外)・人口5万人以上
・(市街地戸数/全戸数)≧6/10
・(商工業従事者世帯/全世帯)≧6/10
地方自治法第8条第1項
指定都市、中核市、市の設置要件

【市の要件】
第8条 市となるべき普通地方公共団体は、左に掲げる要件を具えていなければならない。
 人口5万以上を有すること。
 当該普通地方公共団体の中心の市街地を形成している区域内に在る戸数が、全戸数の6割以上であること。
 商工業その他の都市的業態に従事する者及びその者と同一世帯に属する者の数が、全人口の6割以上であること。
 前各号に定めるものの外、当該都道府県の条例で定める都市的施設その他の都市としての要件を具えていること。

地方自治法第8条第1項抜粋

上記の表のうち、通常の市(指定都市と中核市を除く)の要件を読んでみて分かることは、地方の旧藩体制由来の市もしくは、大都市圏近郊の市であることが、何となく想像つきます。

旧藩という言葉を使用しましたが、多くの小藩は、館や小規模な城の周辺に城下町を形成していたので、この館・城を中心とする城下町一体がその都市の市街地であり、現在の市の形になっていったと考えて良いのではないかと私は思うんです。

いずれにせよ、人口5万以上の市の全てが都市であるとは明確に言えないですから、Cityであって、Urbanではないのは確かです。
あくまでも行政区分の一つに過ぎないということ。

特に現代では、小規模な町・村同士が合併して市となっているところもあり、そうした市は、中心地といえるような市街地を持たないところもあり、それは、やはりCityではあるものの、Urbanではないと考えるのが妥当です。

次に都市再生特別措置法を確認してみます。

都市再生特別措置法における都市とは

都市再生特別措置法は、都市計画法がコントロール型(どちらかというと規制型)の都市計画手法に対し、市街地をターゲットにした支援・アプローチを行うどちらかというと誘導型の手法が規定されている法律です。

【目的】
この法律は、近年における急速な情報化、国際化、少子高齢化等の社会経済情勢の変化に我が国の都市が十分対応できたものとなっていないことに鑑み、これらの情勢の変化に対応した都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上(以下「都市の再生」という。)を図り、併せて都市の防災に関する機能を確保するため、都市の再生の推進に関する基本方針等について定めるとともに、都市再生緊急整備地域における市街地の整備を推進するための民間都市再生事業計画の認定及び都市計画の特例、都市再生整備計画に基づく事業等に充てるための交付金の交付並びに立地適正化計画に基づく住宅及び都市機能増進施設の立地の適正化を図るための都市計画の特例等の特別の措置を講じ、もって社会経済構造の転換を円滑化し、国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。

都市再生特別措置法第1条

「都市の再生」という新たな文言が登場します。

法律の目的に記載してあるとおり、都市の再生に主眼を置いた法律でして、平成14年に制定された比較的新しい特別措置法です。

都市という言葉が頻出しますが、「都市」とは何なのかということを国民に伝えていません。

では、法律ではなく、法律の中で定めることされている『都市の再生の推進に関する基本的な方針』から都市の定義を探ってみます。

都市再生法:都市再生基本方針における都市とは

(都市再生の意義)
都市は、人々の生活や経済活動等の場を提供する我が国の活力の源泉であり、より快適に生活できる場の提供等により都市の魅力を高めるとともに、資本や人材等 を呼び込み、立地する産業の国際競争力を向上させる都市再生を的確に推進していくことは、国民生活の向上や経済の活性化等の観点から重要である。

都市再生基本方針(抜粋)

ここにきてはじめて、『都市とは』についての、国の考えが見えてきます。

都市再生基本方針では、都市は、「人々の生活や経済活動等の場を提供する我が国の活力の源泉」としています。

生活と経済活動・・・そう!!最初に登場した、都市計画の理念なんです!

これじゃ、抽象的すぎて分からないと思いますので、今やこの法律の代名詞でもある立地適正化計画について、みて見ると何となく「都市」というものが見えてきます。

立地適正化計画とは

立地適正化計画は、コンパクトシティの形成を進める計画です。計画対象区域は、都市計画法で定める都市計画区域としています。

都市を語り、都市の将来を描いていく中において必須であるこの計画。
計画対象区域を都市計画区域内にしているということは、都市とは、都市計画区域を定めている区域ともいえるんです。

ちなみに、この計画は、同一都市計画区域内の複数市町村が連携して策定することが出来ることとなっているため、都市圏を同一とする都市計画区域を有する市町村の集合体を都市とも呼べると思います。

>>立地適正化計画の詳細を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

三大都市圏とは?

三大都市圏とは、首都圏、近畿圏、中部圏のことをいいます。三大都市圏は首都圏整備法等によって定義付けされています。詳細はこちらの記事にまとめております!

さらに詳しく

大都市とは?

日本の法律における大都市・大都市圏についてまとめています。

主に総務省統計局が所管する国勢調査に基づく大都市圏について分かりやすく解説しているので、日本の大都市を知りたい方はぜひご覧ください。

さらに詳しく

まとめ

都市は、日常生活と産業活動を支える場であり、それは少なくとも、都市計画区域が定められているところであることはわかりました。

つまり、都市の定義については、国がイメージしているものに近い要件は次のとおりです。

  1. 都市計画区域を有している。
  2. かつ、都市計画区域内の内、市街化を図る市街化区域が指定されている。

ということで、今回は、「都市」とはついて、語ってみました。暇つぶしでも読んで頂いた方々ありがとうございました。

ちなみに都市圏の定義については国内外でさまざまな議論が行われています。

都市圏の設定方法(定義)によっては、都市圏が超広域となり一般的な一体の都市としての理解を超えてしまうケースもあり、一概には判断できないのが状況です。とはいえ、ある程度の定義付は行われています。

また、都市計画区域についても実態の都市経済と乖離しているケースもあります。これは道路交通網の発展に対応した都市計画を行えていないことが理由で、これにより急速に拡大した都市圏に対応できていないことで都市が郊外に拡大していることが考えられています。

補足・余談

最後に・・・都市とは?を考える上では、建築と土木の両方の知識が必須だと思います。

というのも、わたしの実体験として、土木の知識だけではインフラしか分からないし、建築の知識だけでは上物しか分からない。

土木と建築の両方を経験してこそ、はじめて『都市』を深く知り考えることになると思いますので、都市計画を仕事にしたいという方は土木と建築の両方を勉強することをお勧めします。

【補足】都市の理解を深めるための参考書の紹介

最後に国内外を含めて都市の理解を深めるための参考書籍を紹介します。いずれの本も分かりやすく楽しく理解できるので「都市」の歴史や成長の過程など、生き物として都市を知りたいときにおすすめです!!

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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など