この記事では、市区町村別の最新の都市計画の決定状況を調べる方法が分からない!という悩みを解決します。
先日、国交省から令和4年版の都市計画現況調査の公表があり、今年からこの現況調査の結果に「市区町村別のデータ」が追加されました。
業務効率化を図れるチャンスです、その内容について解説していきます。
解説の前に簡単な自己紹介です!
YamakenBlogは、建築基準法や都市計画法、宅建業法など、まちづくりに関連する難解な法律を、元行政職員の私がシンプルでわかりやすく解説しています。
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どのような情報を知ることできるになったのか
これまで、市町村の都市計画決定状況を知る方法として、都市計画現況調査を使用する場合には、用途地域や特別用途地区などのそれぞれの項目別に都市計画区域別に調べる方法があったのですが、それだと都市計画毎に調べる必要があるため手間だったのです。
なお、都市計画決定は都市計画法に基づき行っていたしても具体的な決定内容や詳細な制限・ルールなどはそれぞれの個別法(いわゆるその他法令上の制限と言われるもので、例えば景観法や都市再生法など)で規定されています。
親切な自治体であれば一覧表にしてサイトに掲載しているところもありますが、そうではない自治体の方が多い印象を受けます。
また、ネットで公表されていても都市計画情報に辿り着くスキルが必要となったり公表されていないことがあり、自治体の窓口に赴いて確認するのが一般的です(出張の楽しみではありますけどね…)
加えて、一つ一つ該当するかどうか所管課(しょかん)に確認するのって手間だったんですよね。市町村が所管する内容もあれば、都道府県が所管するものある。窓口が複数あり確認作業が大変だったわけです。
ちなみに、私が役所に在籍していた際には、不動産事業者の手間を減らすために対象法令一覧を作成することで都市計画決定を行っていない関係のない課に伺う負担を減らすような取り組みを行っていたくらいです。
重説のその他の法令上の制限の対象法令って何十もあるのに実際使用されているのは都市ごとに異なるため慣れないと調査が大変です。
さらに詳しく:ヤバすぎる重説対象法令一覧をチェックする
ですが朗報です!
令和4年版の調査結果から市区町村別に都市計画の決定状況を確認することができるようになりました。
例えば、こちらは千代田区の都市計画の決定状況となります。一つのシートに都市計画別に情報が掲載されているため都市計画決定状況を調べる手間が小さくなりました。
ただし、注意点として、都市計画現況調査の最新版は令和4年3月末時点の決定のため、令和4年4月以降の決定状況は令和6年6月以降にならないと公表されません。
来年の今頃の時期になれば令和5年3月末時点のデータが公表される予定です。
活用方法
「国土交通省 都市計画現況調査」で検索して上位のページをクリックすると次のようなページが表示されますので「全国計・都道府県別・市区町村別」をクリックします。
次に下図の左側のページが表示されますので該当する都道府県をクリックするとExcelファイルをダウンロードが開始されます。
使い方としては、重説対象を行う土地(または建物)の市町村の都市計画決定が行われている都市計画の情報を全て確認し、決定されていない都市計画を重説対象の表から外します(調査対象項目から除外)。
これにより窓口確認を行わなければならない課を少なくしたり所管課探しで苦慮するケースが減るはずです。
調査項目を絞ったうえで、都市計画の情報確認(自治体がインターネットで公表している地図情報)や都市計画・建築指導課等での窓口確認、電話確認を行い対象土地の重説対象を把握します。
まとめ・余談
ということでまとめです。
令和4年都市計画現況調査結果(令和4年3月末時点)から市区町村別(都道府県別も掲載)の都市計画の決定状況を確認することができるようになりました。
確認方法は国土交通省のサイトからエクセルファイルをダウンロードするのみです。都道府県別に一つのファイルに市区町村別のシートが設けられ、そこに都市計画情報一覧が掲載されています。
>>>国交省都市計画現況調査が掲載されているサイトはこちら(外部リンク)
最後に余談です。
ちょっと昔の話です。
不動産事業者の方であれば、重要事項説明対象一覧の表を職員に見せて「これは対象ですか!?」と一つ一つ職員に確認して嫌な顔をされた経験がありませんか?
窓口職員は「うちは所管課ではないため分かりません。ご自身で調べてください。」と言った感じとなります。(なかには親切な職員もいて一つ一つお答えします。)
もちろん正論ではあるのですが、重説の対象法令を見れば専門性を有しても調査自体が難しいことがわかるはずです。
さらに対象かどうかを調べるにも自治体のホームページに情報が掲載されていないなど、不親切な自治体があるのも確かです。どしても財政規模が小さい自治体は専門知識を持った職員数が少ないため情報量が少ないことがあります。(仕方ない事象でもあります)。
加えて自治体職員自体も法令を知らないというのも実態にあると思います。
分からないから聞かれると困る。ですので少し突っ込んだ質問をするるとイラッとされるのです。唯一、都市全体の計画系を統括している都市計画課の職員(かつ建築士)が把握していると思います。また、自治体によっては、サービスのクオリティを一定にするために重説該当法令一覧表をサイトで公表しています(大阪府など)
今回の都市計画現況調査の市町村別が公表されたことで、重説対象のうち都市計画に関する内容に関しては、窓口に伺う必要なく決定されているか否かを判断することが容易になったので多少は窓口負担が軽減されると思います!
今回のように行政と宅建士の両方が負担軽減になるような取り組みが一層進めば良いなーと思った次第です。国交省と各自治体の都市計画部署の担当者様(おろらく若手がやっている)ありがとうございます。
それではまた〜〜!