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第一種中高層住居専用地域では事務所は建築できない
良くある話ですが、結論から言うと、第一種中高層住居専用地域内では、「事務所」は一部の例外を除き建築することはできません。法律は建築基準法第48条 ー 法別表第2に規定されていまして、こんな感じです。
一 (い)項第一号から第九号までに掲げるもの
*第一種中高層住居専用地域内において建築することができない建築物
二 大学、高等専門学校、専修学校その他これらに類するもの
三 病院
四 老人福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するもの
五 店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が500㎡以内のもの(3階以上の部分をその用途に供するものを除く。)
六 自動車車庫で床面積の合計が300㎡以内のもの又は都市計画として決定されたもの(3階以上の部分をその用途に供するものを除く。)
七 公益上必要な建築物で政令で定めるもの
八 前各号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く。)
そうどこにも事務所という文言はないですよね。だから事務所は建築することができません。ただし、戸建て住宅との併用は可能です。
ちなみに・・・
一号は、第一種低層住居専用地域内において建築することができる建築物のことです。第二号は学校係用途、第三号は病院、第四号は福祉系施設、第五号は店舗や飲食店(2階以下、500㎡以内)、第六号は自動車車庫、第七号は公共施設、第八号は第一号から第七号の建築物にかかる附属施設です。
えっ!? って思った方もいるのではないでしょうかw なんとくなく第一種中高層住居専用地域では事務所(公共施設を除く)が建築可能かなと思ったのではないですかねー。
ですが、結論として事務所は建築することができませんので、第二種中高層住居専用地域より制限の緩い第一種住居地域や商業地域などでの立地を検討してみてください。
第一種中高層住居専用地域とは?
都市計画法第9条第3項では、第一種中高層住居専用地域について「中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」とされております。
都市計画法運用指針を読む限りでは、基本的に居住系の環境保護が目的であるため、日常生活にあまり関係しない規模の大きい事務所は排除したいから?と考えられるような気がします。
なお、「事務所」といっても様々な種類があるため注意が必要です。
例えば、銀行の支店や損害保険代理店、宅建業を営む店舗などは、「事務所」?では思う方もいるかもしれませんが、建築基準法では「サービス業を営む店舗」となっており、第一種中高層住居専用地域では、一定規模までは建築可能です。
また、病院や学校などの建物内にある事務室は「事務所」とは解釈しないのでご注意を・・・この場合、あくまでも病院や学校です。
補足:例外的に認められる事務所とは

○ 一戸建て住宅との兼用
延べ面積の2分の1以上を居住部分、かつ事務所部分は50㎡以下にする。なお、認められる事務所は、建築基準法施行令第130条の3に規定されていますので、下記をご覧ください。
また、よく事務所として勘違いされる銀行の支店や損保代理店、不動産店舗は事務所ではなく店舗のくくりとなり第一種中高層住居専用地域でも建築可能です。
(第一種低層住居専用地域内に建築することができる兼用住宅)
建築基準法施行令第130条の3
法別表第二(い)項第二号(法第87条第2項又は第3項において法第48条第1項の規定を準用する場合を含む。)の規定により政令で定める住宅は、延べ面積の2分の1以上を居住の用に供し、かつ、次の各号のいずれかに掲げる用途を兼ねるもの(これらの用途に供する部分の床面積の合計が50㎡を超えるものを除く。)とする。
一 事務所(汚物運搬用自動車、危険物運搬用自動車その他これらに類する自動車で国土交通大臣の指定するもののための駐車施設を同一敷地内に設けて業務を運営するものを除く。)
二 日用品の販売を主たる目的とする店舗又は食堂若しくは喫茶店
三 理髪店、美容院、クリーニング取次店、質屋、貸衣装屋、貸本屋その他これらに類するサービス業を営む店舗
四 洋服店、畳屋、建具屋、自転車店、家庭電気器具店その他これらに類するサービス業を営む店舗(原動機を使用する場合にあつては、その出力の合計が0.75kw以下のものに限る。)
五 自家販売のために食品製造業(食品加工業を含む。以下同じ。)を営むパン屋、米屋、豆腐屋、菓子屋その他これらに類するもの(原動機を使用する場合にあつては、その出力の合計が0.75kw以下のものに限る。)
六 学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設
七 美術品又は工芸品を製作するためのアトリエ又は工房(原動機を使用する場合にあつては、その出力の合計が0.75kw以下のものに限る。)