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【防火上主要な間仕切り壁❷】緩和規定・代替措置をわかりやすく解説

防火上主要な間仕切り壁の緩和規定を理解したいけど法律だけ読んでも意味不明・・・といった方向けに『防火上主要な間仕切り壁』を理解するための記事を書いてみました!

そういった方のために『防火上主要な間仕切り壁』を理解する解説記事を用意しました。

こんにちは!建築士のやまけんです。
元行政職員で、建築や都市計画、不動産に関して業務に役立つ豆知識を発信しているブロガーです。

この記事を読むことで『防火上主要な間仕切り壁』を理解することができようになるはずです。それから重要な緩和規定についても理解可能かと思います。ちょいと難しいかもしれないですが、なるべく分かりやすく解説します。

それでは説明します。

>>>そもそも論である防火上主要な間仕切り壁はこちらの記事をお読みください。




緩和規定の概要(①〜④)

緩和規定(※)については、次の4つ(①から④)を読むことが大切です。

①と②が令第114条第2項前段の緩和で、③と④が同項の後段の緩和についてとなります。(次の太文字部分)

(※)防火上主要な間仕切壁に係る緩和(不要となる範囲、小屋裏までの立ち上げを不要とする方法)
(令第114条第2項)
学校、病院、診療所(患者の収容施設を有しないものを除く。)、児童福祉施設等、ホテル、旅館、下宿、寄宿舎又はマーケットの用途に供する建築物の当該用途に供する部分については、その防火上主要な間仕切壁(自動スプリンクラー設備等設置部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の間仕切壁を除く。)を準耐火構造とし、第112条第2項各号のいずれかに該当する部分を除き、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。

①〔平成26年8月22日国土交通省告示第869号〕・告示
間仕切壁を準耐火構造としないこと等に関して防火上支障が部分を定める件

②〔国住指第 1784 号 平成26年8月22日〕・技術的助言
間仕切壁を準耐火構造としないこと等に関して 防火上支障がない部分を定める件等の施行について

③〔平成28年4月22日国土交通省告示第694号〕・告示
強化天井の構造方法を定める件

④〔国住指第669号 平成28年6月1日〕・技術的助言
建築基準法の一部を改正する法律等の施行について(技術的助言)第2第3項

上記の告示並びに技術的助言を読むことで理解が深まることがわかっています。(私の経験上・・・笑)

「防火上主要な間仕切り壁」は、防火避難規定の解説や各特定行政庁における取り扱いにおいて3室以下かつ100㎡以内ごとに区画することとされています。これに関しては、参考書籍を掲載しておきます。

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設計上、どこに区画するかを悩む方は多いかもですよね。

そのため、一部分は緩和規定を使うなどして設計した方が良い場合もあります。繰り返しになってしまってくどいかもですが、今回は、そういった方向けの記事を書きましたので最後までお付き合いください。

この令第114条第2項規定については、法律上、具体的な数値(設置数など)が記載されていません。そのため、防火上主要な間仕切壁の設置方法については、計画する建築物が位置する特定行政庁の考え方を確認するしかありません
インターネットに取扱いを掲載しているところもあれば、防火避難規定の解説とおりとしているところもありますので、建築計画前には必ずチェックが必要です。

① その他防火上支障がないとものとして国土交通大臣が定める部分の間仕切壁

はじめに、タイトル下①に記載した告示〔平成26年8月22日国土交通省告示第869号〕になります。この告示、かっこ書きが多いので法律に慣れていない方だとちょっと読み解くのは辛いと思います。

告示だけを読み解くとざっくりとこんな感じとなります。

①+②で、なおかつ、③の一若しくは二に該当する必要があります。
特に①については、床面積に関するそもそもの基準(100㎡以下)ですのでご注意してください。

①各居室の床面積等に関しては、次の階若しくは区画されている部分
・居室の床面積が100㎡以下の階
・居室の床面積が100㎡以内ごとに準耐火構造(法第2条第九号の二ロの防火設備)で区画されている部分

②自動火災報知設備等の設置
・自動火災報知設備、住宅用防災警報器、連動型住宅用防災警報器

③次の一又は二に該当する部分であること。
一:各居室から直接屋外への出口等屋外への出口若しくは避難上有効なバルコニーで、道若しくは道に通ずる幅員50㎝以上の通路その他の空地に面する部分又は準耐火構造の壁若しくは建築基準法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画されている他の部分をいう)へ避難することができること。

二:各居室の出口から屋外への出口等の一に至る歩行距離が8m(各居室及び通路の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを難燃材料でした場合又は施行令第128条の5第1項第1号ロに掲げる仕上 げとした場合は、16m)以下であって、各居室と通路とが間仕切壁及び戸(常時閉鎖した状態にあるか、又は火災により煙が発生した場合に自動的に閉鎖するものに限る。)で区画されていること。

上記は概要です。告示を読むと、とっても分かりにくいです・・・

さらに③には、1号と2号、さらにカッコ書きの部分があるため、こうした部分も大事なのですが、概要程度のみでも知っておけば緩和規定・代替措置を理解する上では問題ないと思います。

② 間仕切壁を準耐火構造としないこと等に関して 防火上支障がない部分を定める件等の施行について(技術的助言)

告示における、一号と二号において技術的助言が解説している部分を太文字で示しています。

一 各居室から直接屋外への出口等(屋外への出口若しくは避難上有効なバルコニーで、道若しくは道に通ずる幅員50㎝以上の通路その他の空地に面する部分又は準耐火構造の壁若しくは建築基準法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画されている他の部分をいう。以下同じ。)へ避難することができること。

各居室の出口(各居室から屋外への出口等に通ずる主たる廊下その他の通路(以下「通路」という。)に通ずる出口に限る。)から屋外への出口等の一に至る歩行距離が8m(各居室及び通路の壁(各居室の壁にあっては、床面からの高さが1.2m以下の部分を除く。)及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。)の仕上げを難燃材料でした場合又は建築基準法施行令第128条の5第1項第一号ロに掲げる仕上 げとした場合は、16m)以下であって、各居室と通路とが間仕切壁及び戸(ふ すま、障子その他これらに類するものを除き、常時閉鎖した状態にあるか、又は火災により煙が発生した場合に自動的に閉鎖するものに限る。)で区画されていること。

技術的助言では、次の3つ(上記の赤書きの部分)について主に解説しています。

国交省の建築指導課長から都道府県宛ての文書になりますが、”留意事項を示すので執務の参考とされたい”とされています。よって、多くの特定行政庁ではこの文書をもとに取扱いを定めていることが考えられます。

(1)避難上有効なバルコニー

【技術的助言】
避難上有効なバルコニーは、居室内の在館者が、当該室から道又は道に通ずる通路等に避難することを可能とするために設けるものである。これに求められる具体的な要件としては、在館者が開口部を通じ当該バルコニーへ支障なく出られること、当該 バルコニーから道又は道に通ずる通路等へ安全に避難するために必要な設備(タラップ等)を有していること、十分に外気に開放されていること等が考えられる。

→これについては、避難上有効なバルコニーの根本的な考えにも通ずる部分がありますので、法的な定義が明確化されていない当該用語の解釈においてとても重要な考え方となっていると思われます

関連記事 →避難上有効なバルコニーついて解釈を確認したい方はこちらの記事もご覧ください。
▶︎「避難上有効なバルコニー」とは?(2以上の直通階段規定のまとめ)

(2)道に通ずる幅員50cm以上の通路

道に通ずる幅員50cm以上の通路は、屋内又は避難上有効なバルコニーから避難した在館者が、さらに道まで避難するために設けるものであるため、当該幅員については有効幅員として取り扱われたい。

→ここで重要なことは、幅員の幅となる50㎝は有効幅員であるということです。

(3)各居室と各居室から屋外への出口等に通ずる主たる廊下等を区画する戸

各居室と各居室から屋外への出口等に通ずる主たる廊下等を区画する戸は、火災初期に煙で通路が利用できなくなることを防ぐために設けるものである。

そのため、常時閉鎖した状態にあるか、又は火災により煙が発生した場合に自動的に閉鎖するものとすることを求めており、その具体的な構造としては、ドアクローザを設けたものや煙感知器と連動して閉鎖するものが考えられる。

→これは告示どおりの考え方といっていいですね。
戸については、常時閉鎖や煙感連動が必要ということです。避難経路への煙の侵入を防ぐことが目的なので、防火設備の要求はないです。
(設計上は排煙区画の関係上で防火設備となることの方が多いのかなと思われるところ・・)

ここまでが、令第114条第2項前段の緩和についての解説となります。

では、次に後段部分です。

③ 強化天井の構造方法を定める件

これは、令第114条第2項→令第112条第2項各号→タイトル③の示した告示〔平成28年4月22日国土交通省告示第694号〕となります。

この規定は、令第114条第2項の記載文中における「防火上主要な間仕切り壁を準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない」とすることについての緩和となります。

簡単に言うと、天井でファイヤーストップさせるので、小屋裏まで壁を立ち上げる必要はないとするもの。

告示では、一号において石膏ボードの仕様について、二号において貫通処理について、三号において、風道処理について、四号について、目地部分のファイヤーカットについて 規定されています。

  • 一号:強化せっこうボード(ボード用原紙を除いた部分のせっこう含有率を95%以上、ガラス繊維の含有率を0.4%、ひる石の含有率を2.5%)を2枚以上張ったもので、厚み合計36㎜以上
  • 二号:給水管、配電管等と強化天井の隙間を不燃材料で埋めなければならないとするもので、さらに、管の構造を令第129条の2の5第1項第七号イ、ロ、ハに適合
  • 三号:換気風道を強化天井が貫通する場合には、令第112条第15項に規定する特定防火設備(ファイヤーダンパー)
  • 四号:防火被覆の取り合い部分は、裏面に当て木を設けて天井裏への炎の侵入を防ぐ構造

ここまでが告示なんですが、技術的助言ではさらに補足を加えています。

なお、告示仕様によらなくても大臣認定品の使用も可能です。もちろん、ただの壁ではなく、令第112条第2項の認定品です。

④ 建築基準法の一部を改正する法律等の施行について(技術的助言)第2第3項

技術的助言では、配線と、照明器具又は天井換気口等について記載されています。

一:照明器具の配線が強化天井を貫通する場合

当該配線と天井との隙間を不燃性の材料で埋めること。

→配管等と同じで隙間は不燃材料で埋めるとされています。

二:ダウンライト等の埋め込み型の照明器具を設ける場合又は天井換気口等に用いるダクト配管等を設ける場合

次の表に掲げる開口面積に応じた防火被覆を設けること。

開口面積防火被覆の仕様
100c㎡未満厚さ50mm以上の不燃性の断熱材(密度40kg/m³以上のロックウー ル、密度24kg/m³以上のグラスウール等)又はこれと同等の性能を有する材料
100c㎡以上強化天井と同等の防火性能を有する防火被覆

→100c㎡以上における「強化天井と同等の防火性能を有する防火被覆」という部分がちょっと分かりにくいですが、取り合いにおける防火被覆の設計に関しては次の書籍等を参考にするといいかもしれません。

日本建築センターで発行している書籍として「木造建築物の防・耐火設計マニュアルー大規模木造を中心として」も参考になります。高いけど、買っておくと便利です。

木造で準耐火構造とする建築物を設計する際には必需品かと。

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本記事のまとめ

防火上主要な間仕切壁については界壁同様に重要な規定です。

法律においては、防火上主要な間仕切壁の設置規定が明確化されていないため、建築物の利用形態等によって最適な設計を求められる反面、定義が明確化されていないことから設計者泣かせでもあります。

通常、福祉系施設や寄宿舎系の設計をしないと経験しませんが、この記事を読んで、こういった規定もあるのかと思って頂くだけでも十分かと思います。そういう方はいずれ携わることがあるかもしれませんからね。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!!
皆さまの参考になれば幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など