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【防火上主要な間仕切壁の解説❶】3室以下かつ100㎡以下とは?

この記事では、「防火上主要な間仕切り壁」が必要な建物用途と区画方法を分かりやすく解説しています。特に3室以下かつ100㎡以下に関して分かりやすく解説を行っています。

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条文を読んだだけでは理解が難しいのが施行令第114条

条文はこちら(>>>建築基準法施行令第114条第2項)です。

施行令第114条では、長屋や共同住宅、学校、病院、旅館・ホテル、シェアハウスなどの界壁・間仕切り壁等については防火上有効な壁(準耐火構造以上)とすることが規定されています。

一般的には長屋や共同住宅の界壁(住戸間を仕切り壁)のルールと認識されているのですが、その中でも第2項については、長屋や共同住宅以外の学校や病院、ホテル、シェアハウスなどの壁に関する防火上の措置が規定されています。

(建築物の界壁、間仕切壁及び隔壁)
 学校、病院、診療所(患者の収容施設を有しないものを除く。)、児童福祉施設等、ホテル、旅館、下宿、寄宿舎又はマーケットの用途に供する建築物の当該用途に供する部分については、その防火上主要な間仕切壁(自動スプリンクラー設備等設置部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の間仕切壁を除く。)を準耐火構造とし、第112条第4項各号のいずれかに該当する部分を除き、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。

建築基準法施行令第114条第2項

条文を読むと単純に「防火上主要な間仕切り壁」としか書かれていないので、そもそも防火上主要な間仕切り壁とは何!?と思うのが普通です・・・私自身も建築行政に従事した当初は同様に思っていました。

この防火上主要な間仕切り壁は”防火上主要な”という部分が不明で具体的なルールがないことから、学校病院、診療所児童福祉施設等、ホテル、旅館、下宿、寄宿舎(シェアハウス)の設計を行う場合に悩むところだと思います。

防火上主要な間仕切り壁の設置が必要な建物用途

防火上主要な間仕切り壁の設置が必要な建物用途

学校、病院、診療所(病床有)、児童福祉施設等(施行令第19条第1項)、ホテル、旅館、下宿、寄宿舎(=シェアハウス)、マーケット

一般的にはこれらの用途に供する場合、建築基準法第27条(耐火建築物等としなければならない建築物)が適用される規模(3階以上、2階部分が300㎡以上)であることが多いです。

そのため、そもそもの壁の構造が準耐火構造以上であるために「防火上主要な間仕切り壁(小屋裏・天井裏まで立ち上げ)」の設置に関しては、あまり気にしないでも要件をクリアをしていることが多いです。

ですが、例えば、近年になって急速に普及しているシェアハウスや児童福祉施設などに関しては、2階以下で延べ面積が300㎡未満、戸建て住宅を用途変更するケースでは、そうした建物が準耐火建築物の要求がない(→「その他建築物」)ため、「防火上主要な間仕切り壁」の設置検討が重要になってきます。

参考情報としまして、高齢者等が使用する社会福祉施設については消防法により自動スプリンクラー設備の設置が義務です。そのため、延べ面積200㎡以下であれば防火上主要な間仕切り壁の設置は求められていません(任意設置は可能。)

 学校、病院、診療所(患者の収容施設を有しないものを除く。)、児童福祉施設等、ホテル、旅館、下宿、寄宿舎又はマーケットの用途に供する建築物の当該用途に供する部分については、その防火上主要な間仕切壁(自動スプリンクラー設備等設置部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の間仕切壁を除く。)を準耐火構造とし、第112条第4項各号のいずれかに該当する部分を除き、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。

建築基準法施行令第114条第2項

留意点として、天井を強化石膏ボード等で区画できる場合には小屋裏・天井裏まで立ち上げる必要はないです(告示による代替措置)。また、小規模な建築物等についても代替措置(告示)が設けられています。

*詳細はこちらの記事をご覧ください。

防火主要な間仕切り壁の設置方法は?

防火上主要な間仕切り壁の設置方法は建築基準法施行令には記述されておらず、自治体が公表している指針や「建築物の防火避難規定の解説(編集:日本建築行政会議)」に書かれています。

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用途毎に、学校、病院・診療所・児童福祉施設等・マーケット・火気使用室で区画方法が異なります。

学校

教室等相互を区画する壁
教室等と避難経路(廊下、階段等)を区画する壁
(注)教室と廊下が不燃材料(鉄製・ガラスなど)のパーテーションで区画されているものは、この部分を開口部として取り扱うことが可能

病院、診療所(病床有)、児童福祉施設等、ホテル、旅館、下宿、寄宿舎(シェアハウス)

❶ 病室、就寝室等の相互を区画する壁(3室以下かつ100㎡以下
 *100㎡超の室は100㎡を超えて区画してOK
病室、就寝室等と避難経路(廊下、階段等)を区画する壁
(注)病室や就寝室等以外の室(火災発生の少ない室を除く)も同様とすることが望ましい。

マーケット(百貨店など)

店舗相互間の壁のうち重要なもの

上記用途に供するものの火気使用室

火気使用室とその他の部分を区画する壁

通常、これらの用途でみると、社会情勢を反映して児童福祉施設等やシェアハウスが最も建築される例かと思いますので、3室以下かつ100㎡以下というルールに関してもう少し掘り下げてみます。

補足:準耐火構造の壁とは?

準耐火構造(45分間)の壁の例示としては、下地を木材とする場合は、両側に厚さ15㎜以上の石膏ボードの設置が必要となります。

この他にも準耐火構造とする方法はいくつかあり、告示仕様による方法のほか、吉野石膏さん(外部リンク)が販売されている国土交通大臣認定品などもあります。告示仕様による方法については告示を読まないといけないため、企業が認定を取得している製品を使用する方が設計・施行が容易だったりします。

なお、防火上主要な間仕切り壁を小屋裏まで立ち上げずに天井材で区画(ファイヤーカット)する場合は、強化石膏ボード2枚以上張りで厚さ36㎜以上とすることが求められます。

また、基本的には45分間準耐火構造以上の壁としますが、1時間準耐火構造の建物であれば1時間準耐火構造以上の壁、耐火構造の建物であれば耐火構造とします。

3室以下100㎡以下とは?

繰り返しとなりますが、冒頭タイトルの「3室以下100㎡以下」とはどこに書かれているのかですが、、、

独自にルール(法・施行令・省令の解釈及び独自ルール)を公表している自治体であればネットで検索すれば簡単に調べることが可能ですが、そうではない自治体の場合には、条例や施行細則をネットで見てても検索に引っかかることはないです。

そのため、どういったルールで運用しているのか自治体に確認する必要性が生じてしまい、正直なところ「めんどくさい!」と思います。独自ルールを公表していない自治体の場合には、ほぼ必ず「防火避難規定の解説(日本建築行政会議が編集)」を準用しています。

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もしかしたら、ルール無視でテキトーに運用している自治体もあるかもしれませんが、数年後に担当・管理職が変わっていきなり運用を変えることも十分にありえるので、建主さんのためにも「防火避難規定の解説」のとおりに設計することをお勧めします。

では、3室以下100㎡以下というルールですが、この避難規定の解説において、「病室、寝室等の相互間の壁で、3室以下かつ100㎡以下(100㎡超の室に当たってはこの限りではない。)に区画する壁及び病室や就寝室等と避難経路を区画する壁。

なお、病室や就寝室等以外の室(火災発生の少ない室を除く)も同様とすることが望ましい」とされています。

防火上主要な間仕切り壁は、火災時に安全に避難できること、火災の急激な拡大を抑えること等を目的に一定単位ごとに区画及び避難経路とその他の部分との区画することが目的とされています。イメージ的にはこのような形で準耐火構造で区画(1時間準耐火の場合は1時間準耐火の壁、耐火構造は耐火構造)します。

防火上主要な間仕切り壁の設置箇所の概要(病院やホテルなど)

注意点として、火気使用室(キッチン)がある場合は、その室は防火上主要な間仕切り壁とする必要があるので注意が必要です。

また、病室・就寝室以外の室については区画することが望ましいとされているので、できる限り対応する必要があります。

補足❶:対象は居室ではなく室

避難経路となる廊下や階段、火災発生の少ない室を除いて区画する必要があります。

特に病室や就寝室等と避難経路を区画する壁については室数と面積に関係なく防火上主要な間仕切り壁の設置が必要となります。ただし、病室や就寝室以外の室については火災発生の少ない室(トイレやお風呂など)は設置は不要という考えです。

防火上主要な間仕切り壁の役割の一つとして、避難経路を確保することにありますから、避難経路の部分が区画されていないと一気に延焼拡大を招く恐れがあるためではあります。

可能な限り火災時の避難経路確保(特に2階部分や1階でも外への避難が困難な居室)の観点から防火上主要な間仕切りの壁の設置を行うのがベストな設計かと思います。
告示による代替措置(内部リンク)による方法も可能です。

補足❷:あくまでも”以下”であることに注意

準耐火構造の要求がある建築物であればそもそも準耐火構造の壁としているので、防火上主要な間仕切り壁の設置方法に関してそこまで悩む機会は少ないと思います。

しかしです。小規模な児童福祉施設やシェアハウス、診療所であれば、そもそもが準耐火構造の要求がない建物のために、設置範囲に関してはコストとの関係から悩むかと思います。特に既存建築物の用途を変更するケースではなるべくコストをかけない方法を模索するかと思います。

防火避難規定の解説上は、3室以下100㎡以下というように”以下”とされているので、どうしてもコストの関係から3室・100㎡ギリギリで区画しようと考えしてしまうところなのですが、例えば、階の面積が100㎡以下で3室しかない場合は区画する必要はないです。

とはいえ、補足❶にも関係しますが、避難経路との壁については、防火上主要な間仕切り壁の設置が必要となりますので注意してください。

防火避難規定の解説に対しては法的な義務はないのですが、施行令で基準を明確にしていない以上は、壁の設置方法に関して防火避難規定の解説が唯一のルールですから、最低基準だと考えて

補足❸:内部建具・開口部に関しては規定はない

防火区画ではないため、建具や開口部に関しては防火設備や特定防火設備とする要求はないです。
*建築基準法施行令第114条第5項の規定により、給水管・配電管等に関しては貫通処理(防火処理)が必要。

とはいえですが、火災が発生した際の延焼拡大を防止する観点からすると、建築基準法が最低限のルールであることを考慮すれば、防火設備の設置を選択するものをありです。開口部に関しては、延焼拡大の原因となりますから、壁を設置しても開口部が何も防火対策がされていないのであれば、壁の効力が発揮されなくなります。

建築士としては、自動閉鎖式のスチール・アルミドア、ガラスは網入りなどにしておくのがベストかと思います。

補足❹:代替措置

近年の建築基準法改正によって、防火上主要な間仕切り壁の設置を不要とする代替措置の方法が定められていいます。

具体的には、1階部分や小規模な建築物に関して避難上支障がないケースは代替措置認められています。

とはいえですが、代替措置は、避難上有効なバルコニーの設置など、健常者により避難を前提としている緩和もありますので、児童福祉施設等の設計を行う場合には利用者の実態を反映して設計することが望ましいと考えられます。

代替措置に関しては、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

まとめ

防火上主要な間仕切り壁の設置が必要な建物用途と区画方法は次のとおりとなります。
それでは、こちらの記事が参考となりましたら幸いです。

対象用途区画する壁
学校教室・教室等相互を区画する壁
・教室等と避難経路(廊下、階段等)を区画する壁
病院・診療所
児童福祉施設等
ホテル・旅館
下宿・寄宿舎
病室
就寝室等
上記以外の室
・病室、就寝室等の相互間の壁(3室・100㎡以下)
・病室、就寝室等と避難経路を区画する壁
※病室・就寝室等以外の室は区画するのが望ましい。
マーケット店舗・店舗相互間の壁うち重要なもの
上記の用途火気使用室・火気使用室とその他の部分を区画する壁
防火上主要な間仕切り壁の設置が必要な用途室のまとめ






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