最新記事・トップ画像で紹介する建築物(2023年3月)はこちら▶︎▶︎▶︎

広告板の設計(構造)について(建築基準法の解説)

広告板については、次の法令に準用規定が記載されています。

・建築基準法第88条第1項
・建築基準法施行令第138条第1項第三号
・建築基準法施行令第141条




はじめに

はじめに、建築確認申請が必要となる規模としては、法律第88条第1項及び令第138条第1項第三号の規定により、高さが4mを超える広告板となります。

なお、高さが4m未満については、法第88条第1項により政令で指定される工作物とならないため、法第20条などは適用されないという解釈となります。
しかしながら、3.99mだと建築基準法の適用を受けないというのは常識的におかしいですから、こういう場合でも建築基準法に則って構造計算を行うべきだと私は考えています。

施行令第141条について

ではでは、本題に戻りまして、構造基準については建築基準法施行令第141条に規定されています。
この令に規定されている内容が準用される部分ですが、特に構造計算の基準となる規定は、第2項の部分です。(下線・太文字で示しています)

(建築基準法施行令第141条)
第138条第1項に規定する工作物のうち同項第3号及び第4号に掲げる工作物に関する法第88条第1項において読み替えて準用する法第20条第1項の政令で定める技術的基準は、次のとおりとする。
一 国土交通大臣が定める構造方法により鉄筋、鉄骨又は鉄筋コンクリートによつて補強した場合を除き、その主要な部分を組積造及び無筋コンクリート造以外の構造とすること。
二 次項から第四項までにおいて準用する規定(第7章の8の規定を除く。)に適合する構造方法を用いること。
2 前項に規定する工作物については、第5章の4第3節、第7章の8並びに第139条第1項第三号及び第四号の規定を準用する。
3 第1項に規定する工作物のうち前項において準用する第139条第1項第三号又は第四号ロの規定により国土交通大臣の認定を受けた構造方法を用いるものについては、前項に規定するもののほか、耐久性等関係規定(第36条、第36条の2、第39条第4項、第49条並びに第80条において準用する第72条及び第74条から第76条までの規定を除く。)を準用する。
4 第1項に規定する工作物のうち前項に規定するもの以外のものについては、第2項に規定するもののほか、第36条の3、第37条、第38条、第39条第1項及び第2項、第40条から第42条まで、第44条、第46条第1項及び第2項、第47条、第3章第5節、第6節及び第6節の2並びに第80条の2の規定を準用する。

この令第139条第1項第三号及び第四号に構造計算の方法が示されており、詳しくは「平成12建告第1449号」に規定されています。

構造計算に関する告示について

告示(平成12建告第1449号)ですが、次のような構成になっています。

告示第1:煙突、鉄筋コンクリート造の柱
告示第2:広告塔、高架塔水槽、乗用エレベーター、エスカレーター
告示第3:擁壁の構造計算基準
告示第4:煙突、広告塔等のうち高さ60m超

広告板は告示第2に規定されております。

告示第2第一号:広告塔等の構造上主要な部分の各部分に生じる力を、次の表に掲げる式によって計算する。

力の種類 荷重及び外力について想定する状態 一般の場合 多雪区域
長期 常時 G+P G+P
積雪時 G+P+0.7S
短期 積雪時 G+P+S G+P+W
暴風時 G+P+W G+P+0.35S+W
地震時 G+P+K G+P+0.35S+K

G:広告塔等の固定荷重によって生ずる力(軸方向、曲げモーメント、せん断力等)
P:広告塔等の積載荷重によって生ずる力(軸方向、曲げモーメント、せん断力等)
S:令第86条に規定する積雪荷重によって生ずる力
W:令第87条に規定する風圧力によって生ずる力
K:地震力によって生ずる力(P)次の式若しくは実況に応じた地震力
P:k*w
k:水平震度 令第88条第1項に規定するZの数値*0.5以上
w:固定荷重+積載荷重+積雪荷重(多雪区域の場合)

告示第2第二号:一号において計算した構造上主要な部分の各部分に生じる力に対し、構造耐力上安全であることを確かめる。

告示第2第三号地下部分は、第1第二号ロの基準を準用する。
地下部分に作用する地震力は、(固定荷重+積載荷重)*k(次式)
k:k≧0.1(1-H/40)z
H:広告塔等の地下部分の各部分の地盤面からの深さ(20を超える時は20)
Z:令第88条第1項に規定するZの数値

上記のほかに第4項において、基礎の規定(令第38条)も準用されるので、同令に基づく設計が必要となります。
広告板を設計する際の大きなポイントとしては、上記の2つですが、その他にも耐久性関係規定なども準用されているので、設計時にあたっては準用される法令を全てをチェックする必要があります。

と言っても、一番重要なのが風圧力です。
施行令第87条平成12年建設省告示第1454号に規定されていますから、この記事をご覧になっている方が建築系の方と想定して、詳細は省略させていただきます。笑
とにかく、風は危険だということです。
風圧力によって、部材が許容応力度を超えないことを確認するとともに、広告板が転倒しないように設計することがとても重要!!これに尽きる。

近年では、昨年の大阪であったような凄まじい風が吹いたりすることがありますので、本当に注意が必要です

風圧力に関する私の個人的な見解については、こちらをご覧(ブログ内リンク)ください。
また、基礎についても重要。転倒・引き抜き・沈下などに耐えられるように設計することが求められます。

おわりに

広告板だからといって安易に考えるは危険です。
構造計算については、建築物の構造計算のようにプログラム化されていないことの方が多いので、現在でも手計算で確認申請を出している人もいるんではないかと思います。

店舗などに設置する看板については、一般的には看板業者に委託することが多いと思いますが、そのようなケースではなく自分で設計する場合には、書籍(広告板の構造設計に関するもの)と睨めっこしながら設計すると学生時代に戻った気持ちになって楽しいかもしれません。笑

それでは最後までご覧頂きありがとうございました!






お役に立てたらシェアしていただけますと嬉しいです!