はじめにキツイことを言いますが、
高齢者となってから将来の住み方を考えているようでは遅いです!!
こんにちは。建築士のやまけんです。^ ^
今回の記事は簡単に言うと、老後の住宅について考察したものです。
憲法では居住移転の自由が定められているので、基本的にどこに住んだとしても誰からも権利を害されることはありませんが、今回の記事を参考にして、自分自身で住み方を考えてもらうキッカケになれば幸いです。
はじめに
高齢になって自分で歩けなくなり、公共交通が不便な地域であれば自家用車を運転できなくなったとき、それは、もう自分の力だけではどうにもならないことを意味します。
つまり、人の助けがないと生きていけないということ。
自分もいつかはそうなるんだろうなと漠然と考えていませんか。
「それ、マズイですよ。」
そうなる前に真剣に「将来の住み方」を考えた方がいいです。
今回は、老後の住宅のあり方を「どう考えればいいのか」分からない人向けに、建築的な視点から人生後半戦の難易度を下げる方法を解説します。
人生後半戦の難易度を下げる
結論は、ゲームでいうとAランクからCランクくらいに難易度を落とすことです。
・Aランクとは、公共交通も医療機関もなく、日常生活に不便な地域
・Cランクとは、公共交通機関が充実しており、日常生活に必要な医療・商業施設が徒歩圏内
難易度を下げる方法は、相手がいて下げるわけではありません。
自分で下げるんです。
「自分はまだ元気だから大丈夫だ。」
「子どもが面倒を見てくれる。」
安易にそんなことを考えているようでは、老後の難易度は下がりませんよ。
「別に楽しい老後なんて過ごしたいと思いたくない。」と思っている方
勝手ですが、人に迷惑かけるような生き方だけはやめましょう。
この日本の社会システム上、若者に負担をかける構造になっているので、自分さえ良ければいいという考えが通せるものではありません。
自分の人生に自分が責任を持てなくなったとき、辛いですが、どうにもならないことを意味します。
そうならないためにも、老後の住処はしっかりと考えるべきです。
老後の住処について
運転免許の自主返納の時期もしくは自家用車に乗らなくする時期を考えることが第一歩です。
お金が余裕がありまくっている人には関係ない話ですが、多くの人はそうではないでしょう。
ましてや、昭和の終わりから平成のはじめに自宅を建築した方は、すでにリフォームするべきかどうか悩む時期に到来しているはずです。
大抵の方は、今後の住宅維持について、いかに資金を確保するか考えさせられる時期に到来しているはずです。
つまり、自身のライフスタイルの充実を図るための投資余力が少ない方が多いのではないかと考えられます。
わたしを含め、9割以上の方は”これ”に該当すると考えられますから、所有する財産を処分するのか、しないのか、含めて検討しなければなりません。
では、どうするべきなのか、考えていきます。
老後の居住形態に悩む理由
いたってシンプルに考えるとわかります。
それは、建物をメンテナンスできるかどうかにかかっています。
築30年程度経過して、「今の住宅をリフォームできますか?」
老後は急速に収入源が減ります。
減る中で、税金や建築物のメンテナンス費用を捻出できるのかということです。
建築物はメンテナンスしないと劣化し、雨漏りし、さらに劣化し、悲惨な状態になります。
よく、歴史ある住宅が綺麗に残っているのを見て、うちも大丈夫だろうと思っている人がいますが、そんなわけありません。
あれは、手間と費用をかけて維持しているからです。
ましてや、昭和の終わりから平成のはじめに建築された工業化住宅が30年以上もメンテナンスフリーになるなんてありえません。
サイディング(外壁)の目地修理など、雨漏り対策が必要になっているはずですよ。
近年では長期優良住宅というものがありますが、これだって、維持管理費用は別途確保しておくが前提になっていますので、車だってそうだと思いますが、メンテナンスしなくなると、あっという間にダメなります。
建築物の維持には、費用がかかるんです。
自分で身体を動かせない場合には、他者に委託するしかありません。
ですので、結局は費用がかかることになるんですね。
これは戸建住宅に限って言えることですのでマンションには当てはまらない理屈です。
分譲マンションはその分、大規模修繕に向けた積立が必要になってくるため、半自動的に回収されますから、戸建てとは違い、自分で資金管理できない人には良いかもしれません。
それに、賃貸マンションと居住環境自体は変わらないので、草刈りなどもなく、済むのには楽かもしれないですね。
ですので、建物をメンテナンスできない状況であれば、財産の処分を検討することが重要かと思われます。
不動産を所有するという選択
住宅ローンの支払いが完了している地方の郊外であれば、早めに処分を検討しましょう。
これ以外に方法はありません。
これから人口減少が急速に進みます。
必ず、買う人は減ります。
2040年頃は、地方の郊外住宅を買う人は稀にいる可能性はありますが、ほぼ奇跡に近いと思います。
もしかしたら移民政策が推進されて、海外の方が多く購入している可能性もなくはないですが・・・
次に中心市街地ですが、
中心市街地の立地であれば価値は十分にありますので心配は無用ですので、特に財産を処分する必要はないかもしれません。
ただし、建物のメンテナンス必要を確保できないのであれば、財産処分を検討していいかもです。
なお、接道が取れていない敷地は、価値は低くなる傾向になるので注意が必要です。
関連記事
▶︎建築基準法第43条(敷地等と道路との関係)について(ブログ内リンク)
結局どうすればいいのか(財産処分して賃貸に住む)
体が動くうちに公共交通が恵まれているところに移住することがポイントです。
立地適正化計画で定める「居住誘導区域内」または「都市機能誘導区域内」に住みましょう。
ここに住むとメリットがあります。
それは、車を利用する機会が減り、身体を動かす機会が増えることです。
人口密度と生活習慣病には相関関係があることがわかっているので、人口密度が高まり、徒歩や自転車の方が多いエリアは、健康的になる傾向にあります。
そのため、意図的に歩く機会を増やすことができる徒歩圏生活エリアに住むのは少なからずメリットがあります。
とはいえ、最近は、ジム通いの方もいますから、この相関性についても疑義はありますが・・・
一番のメリットは、車に乗る機会が減るので、交通事故を減らせることかもしれません。
関連記事
▶︎20年先を見据えた住宅建築について(人口減少時代の住宅建築)(ブログ内リンク)
それから、できる限り財産は持たずに賃貸住宅が良いと思います。
とはいえ、3世代居住をされている方には当てはまらないので、子供と一緒に居住されている方は無視してもらって問題ありません。
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▶︎賃貸住宅に求められる質(住宅設備)とは?[今後の人口減少時代を考える](ブログ内リンク)
まとめ
今回は、人生後半戦の難易度を下げる老後の住み方について解説しました。
結論としては、公共交通や日常生活が便利な地域に移住することをおすすめします。
とはいえ、居住地の選択は自由ですので、最後は自分で判断していくことになります。
今回の記事が、今後の住み方を考えるキッカケになれば幸いです。
それでは最後までご覧頂きありがとうございました。