「魅力あるまちづくり」は良いけど、”誰に”とってが一番重要ですよ。

今回の記事では、”まちづくり”に関する話をするときに必ず出てくる用語の一つである「魅力」という点について、「魅力あるまちづくり」とは何かを解説していきたいと思います。

こんにちは!YAMAKEN(やまけん)です。

そこまで長々と書くつもりはないのですが、建築や都市計画に携わってきた私の考えの一つです。

現時点での考えですし、これからのわたし自身の体験によって考え方が変わる可能性があることをご承知おきください。

なお、この記事を読むことによって、「都市計画やまちづくり」とは何かを考えるキッカケになれば幸いです。




都市計画法に「魅力」という言葉は登場しない

以前、「都市計画」とは何かという題で簡単な紹介をしましたが、宅建士などの試験勉強の一環として解説した記事なので、今回改めて、「都市計画法」を解説します。

下記は、都市計画法の目的と都市計画の基本理念です。

都市計画法の第1条と第2条に規定されているもので、同法の根底をなす、都市計画に関する考えとなります。

昭和43年(1968)に旧法を改めて新法を制定したものですが、市街化区域と市街化調整区域の区域区分(いわゆる線引き制度)がはじまったのは、この時からです。

1968年から現在(2019年)までの約51年間で、急速な人口増加による土地の不健全な土地利用(狭隘道路への住宅整備や優良農地の宅地転換など)をコントロールしてきており、画一的なまちづくりが進められた要因だ!とか、自由な土地利用を制限する悪法だ! みたいなことを言われたりもしますが、この線引き制度により、都市の非効率な拡散を防いだという点では、一定の成果が上がっていると思います。

第1条(目的)
この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

第2条(都市計画の基本理念)
都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。

 

つまり、人口増加・世帯数増加に伴う郊外への開発圧力を抑制する制度として「都市計画法」は効果を発揮してきたわけですので、これから訪れようとしている、地方都市での急速な人口減少には対応できない可能性が非常に高いわけです。

そのため、国では、都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画制度を平成26年にスタートしています。

立地適正化計画制度については、急速な人口減少に対応するため、都市機能や居住機能に着目して、一定の人口密度を維持していくエリアを定めて、そのエリアに国や市町村により、都市機能や居住機能を誘導していく施策を展開し、都市運営を持続的にしていこうとするものです。

都市活動の効率化という点では、現在の地方都市に馴染む計画であることは間違いありません。

理想論としては合理的ですから、失敗するか成功するかは、市町村による施策への力の入れ方の違いや、住民意識の違いによると思います。

はっきり言って、この計画を市民レベルで理解できる都市でないと、将来にわたっての持続可能性なんて無理だと思いますけどね・・・(ちょっと、口調が強くなりすみません。笑)

話が脱線してしまいすみません。

上記の条文を読んでみて、気づいたと思いますが、どこにも「魅力」という言葉は登場しません。
というか、都市計画法には登場しません。

なお、同法に基づき国が都市計画の運用を示す指針(都市計画運用指針)において一部登場します。(つまり、都市の魅力をつくって、お金が動く都市にしたいんです。経済活動が活発になれば、行政や市民の方は豊かになるのは事実ですからね。でもね、都市計画法自体には、法の目的の趣旨とずれるから「魅力」を書くことなんてできないんです。)

もちろん分かっている方は分かると思いますが、都市計画法は「魅力あるまちづくり」をするためだけのツールではありません。

繰り返しですが、都市の健全な発展という部分の側面を有しており、土地利用のコントロールが主ですから、誘導的な視点である「魅力」は規定されていません。

当然、都市計画法で定める市町村マスタープランである「都市計画の基本的な方針」においては、各市町村が競って「魅力」という言葉を使用しており、”都市に人の心を引き寄せる力”を宿そうとしています。

わたし的には、誘導的な手法が多い、都市再生特別措置法の方が「魅力あるまちづくり」に近いかもしれないです。

ここまで述べてきたように「魅力」なんて言葉は、都市計画法のどこにも記載などされていないのです。

魅力とは

よく「魅力あるまちづくり」という言葉を市町村マスタープラン(都市計画の基本的な方針)に記載されている事例を目にします。

行政側からすれば、”ふわり”とした魅力という言葉を使い、都市の魅力をあげて、多くの人に移住してもらおう、長く住んでもらおうと考えているわけです。

当然、その考えは否定されるものではないし、市町村間で競争原理が働くことは、日本全体の都市力向上につながるので、マクロ的な視点からすれば正論です。

ですが、もっと小さい範囲や小さな視点で考えてみてください。

都市に必要な「魅力」って何ですか??

先に答えを言ってしまえば、自分が求めているもの、つまりウォンツです。

例えば、「スタバ」が自分の住んでいる地域にあればいいのになーと考えている人もいるでしょうし、近くに高度な医療機関があれば、何かあったときの際に安心だなと思う方もいるでしょう。
また、外資系企業や上場企業の支社があれば、将来就職したいなーと考えているでしょう。
またまた、新幹線の駅があったらいいのになと考えている方だっているでしょうね。

つまり、老若男女が欲するモノ(施設・サービス)が揃うことで都市の魅力が向上されていくわけです。
ちなみに、そのモノが施設であれば、都市計画法や都市再生特別措置法を活用して、生産性や日常生活にフォーカスして立地の最適化を図ることが、都市の発展を促すため必要です。

バラバラに立地していたら都市での活動の効率化なんて無理です。
結局、工場を除いて、コンパクトにまとまっている方が理論的には正しいです。
それが、できないのが日本の地方都市の現状なんですけどね。

また脱線してしまいましたが、多くの市町村マスタープランでは、どこの都市も掲げる都市づくり(まちづくり)の課題は同じです。

都市づくりの課題の多くは、市街地の空洞化、空き家・空き地、若者の流出など・・・
でも、それって、どこの地方都市も同じです。

大都市がある以上、密度の経済による大きな魅力(ブラックホールみたいなものですね)の全てに打ち勝つなんて無理です。
だって、自分がやりたい事があるから地方から東京へ出てきた人って多いでしょう。笑

ですから、地方都市は、地道かつ確実に、都市づくり(まちづくり)の課題の解決を図る施策を実施していくしかないです。

ある人にとっては、不公平だと言われても、より解決したいコアなターゲット(人またはモノ)を絞り、他都市がやっていないことを最初にやって、小さい市場でも独占していく意気込みが絶対に必要。

(まぁ、企業価値が一兆円規模の企業の本社があれば、劇的に都市は変化するでしょうけどね。基本的にそんな夢見たいな話はありえませんので・・・)

じゃあ、「魅力あるまちづくり」というポイントに視点を戻しましょう。

魅力あるまちづくりとは

上記の項を読んだ方ならお分かりだと思います。

結局、「魅力あるまちづくり」とは、誰にとって「魅力」であるかが明らかになっていない限り、なんとなーく「魅力」という言葉を使ったまちづくりの理念に過ぎないのです。

みんな気づいていると思いますが、魅力をつくろうって言ったって、他人(行政)に任せても解決なんてしませんよ。

自分でリスクを取りに行って行動しないと魅力を創出する事すら叶わずに短い人生を終えてしまう。(だから、他人のやる気に共感して、出資する仕組みであるクラウドファンディングは、もっと市場的に伸びていいと思いますね。もしかしたら、もっと違うプラットフォームが登場する可能性も秘めていますが、、、)

「誰もが魅力あるまちづくり」という言葉は気持ち悪いです。

現在の画一的な都市づくりを進めてきた日本においては、それを実現しているのは首都圏や指定都市以外ありえません。一部の規模が大きい中核市であれば実現しているかもですが、何か魅力に欠ける部分があるはずです。

例えば極端な話です。
人口規模も都市圏人口も小さい都市機能が脆弱な都市で、”誰もが豊かに暮らすことができますよ”って、是非、わたし達のまちに移住してくださいと言われても、都市的(医療・商業・福祉が充実している)な生活をしたい方々に絶対に響かないでしょ。無理でしょう。ある意味、詐欺に近いですよね。

わたし達の都市は、○○を考えている方には住みやすいですよ。

というように、誰か(あるターゲット)にとって、メリットがある状況にあれば移住等も可能になる可能性があります。

おそらく、今すぐに移住や本社移転、起業を考えている○○の思考を持つ人にダイレクトに刺さることが重要なんだと思います。
*「○○」というのは、個々の事例によって異なる。

ターゲットを定めずに、都市をつくっていく時代は誰もが豊かな気持ちになれた高度経済成長期ですでに終わっていますから、”誰に”とって魅力なのか、若者なのか、高齢者なのか、子育て家族なのか、独身者なのか、大都市以上に魅力にある分野を見つけて市場を独占する勢いで行けば、魅力あるまちづくりを実現することも可能であると思います。

結局、地方都市がそれぞれで「魅力」をつくろうと言っても、言葉遊びに終わってしまうんです。

だから、「魅力あるまちづくり」を目指すのであれば、”誰にとって魅力がある”のか明確に打ち出すことが重要であると思います。

仮に、地域のある世代から不公平だと言われても、これによって都市の課題を一部で解消されるなら、まずは行動・実行してみることが重要だと思います。
なお、解決できない課題は都市間交通で他都市に委ねるしかないと思います・・・(全てにおいて満足する地方都市の実現は難しいですからね)

ということで、今回はこれに終わります。
最後までご覧いただきありがとうございました。

また〜