立地適正化計画のメリットは?[住民側の視点から]

たまーにこういう話を聞くことがあります。

メリットがある計画なのかデメリットがある計画なのか。
また、そのメリット・デメリットはどの程度なのか。

特に近年は、多くの地方都市でこの計画が策定されているので、建築士界隈でも、どういった計画なのか、今後のまちづくりをどのように左右するものか、興味や不安、批判、賛成、様々な意見を聞くことがあります。

申し訳ないですが、、、「都市を取り巻く環境は様々なので、分かりません」

また、国が主導している計画だから、国民にとってデメリットがあるものだ!とか・・・
わたしから言わせると「その思考に至る意味が分かりません」

多分その問題は、立地適正化計画に意義を理解していないことにあるんだと思います。

というか、このコンパクトシティ形成を進める計画は、20年以上も前から、表立って出てこなかった用語であるものの、その時点から地方都市が抱える課題として認識され、内在していたもので急に出現したものではありません。笑

そこで、今回は、この「立地適正化計画」の意義について解説したいと思います。

あいさつが遅れました、建築士のやまけんです^ ^

それでは、客観的に解説していきたいと思います。

はじめに

この爆発的に増えた人口が急激に減っていくなか、都市構造(都市のあり方)はこのままでいいと思いますか?

いいわけないですよね。

特に地方は、街中がスカスカになります。

では、これを踏まえ上で、「立地適正化計画」の意義を確認していきましょう。

立地適正化計画とは?

平成31年3月末時点で468団体が策定に向けた取り組みを行っています。

まずは、法律です。
基本的の「基」で、これを読まないで、制度を語ることはできません。
なお、制度自体は、平成26年8月にスタートしています。

[都市再生特別措置法第81条第1項]
市町村は、都市計画法第4条第2項に規定する都市計画区域内の区域について、都市再生基本方針に基づき、住宅及び都市機能増進施設(医療施設、福祉施設、商業施設その他の都市の居住者の共同の福祉又は利便のため必要な施設であって、都市機能の増進に著しく寄与するものをいう。以下同じ。)の立地の適正化を図るための計画(以下「立地適正化計画」という。)を作成することができる。

ポイント
○都市計画区域内が対象計画区域であること
○住宅・都市機能増進施設(日常生活施設)の立地の適正化を図る計画であること

立地の適正化をイメージしにくいと思いますので国が作成した資料で解説します。


※出典:改正都市再生特別措置法等について[平成27年6月1日時点版](国土交通省)

この計画では、「都市機能誘導区域」と「居住誘導区域」を必ず定める必要があります。
それぞれの概要は上図に記載されていますが、ポイントしては次の通りです。

そもそも、市場原理として、人口密度が一定数以上ある地域に日常生活が必要な施設は立地することになっているんですが、自家用車の利用により、郊外であっても立地することが可能になったため、これまではいかに郊外部への立地をコントロールすることに焦点が置かれていたのですが、この立地適正化計画では、規制ではなく、「誘導」に着眼点が置かれており、「都市機能誘導区域」といわれる日常生活サービス施設等の立地誘導を図るエリアを設定する計画となっています。

関連記事(参考記事)
▶️スターバックスコーヒー(スタバ)の立地条件・可能性(人口規模)は?

また、その「都市機能誘導区域」の外側には、居住の誘導を図る「居住誘導区域」を設定することで、都市機能を維持していこうとするものです。

ここまでで、立地適正化計画の概要は理解できたかと思いますが、これまでのコンパクトシティ政策と異なる最も大きなポイントしては、多極ネットワーク型コンパクトシティであると言うことです。

つまりは、一箇所集中ではなくて、都市内の拠点を複数定めて、それらを公共交通などのネットワークで結ぶと言うものです。

立地適正化計画=多極ネットワーク型コンパクトシティの形成を進める計画

ですので、最も重要な部分は、「交通」の部分です。

拠点間をネットワーク化できなければ、この計画の実現は不可能となります。

都市計画運用指針でも、同様なポイントが記載されています。

[都市計画運用指針抜粋 人口が減少する地方都市においては・・・]
・ 医療・福祉・子育て支援・商業等の都市機能を都市の中心拠点や生活拠点に集約し、これらの生活サービスが効率的に提供されるようにすること
・ その周辺や公共交通の沿線に居住を誘導し、居住者がこれらの生活サービスを利用できるようにするとともに、一定のエリアにおいて人口密度を維持することにより生活サービスやコミュニティが持続的に確保されるようにすること
・ 拠点へのアクセス及び拠点間のアクセスを確保するなど、公共交通等の充実を図ること

ここまでで、この計画の意義を理解できたことと思います。

最後に補足事項です。

最後に補足

「立地適正化計画」は爆発的に増えた人口増加から急激に人口減少を迎えるため、それに耐えられるよう、都市構造をコンパクトにしようとするもので、都市活動における行動の最適化を図ることができるので、都市内の居住者にとってはメリットが高い制度となっています。

とはいえ、広げすぎた都市を計画的に縮退させるので、一部の市街化区域では、この計画で定める居住誘導区域に含まれない可能性もあり、都市居住のメリットを享受したいと考えて住んでいた人にとっては住みにくくなる可能性もあります。

ただし、そういった居住誘導区域に含まれない市街化区域の居住者も、誘導区域内の人口密度が維持されない場合、日常生活サービス施設の撤退を招く可能性があるため、自分の地域が誘導区域に含まれないからと言って批判だけしていると、そもそも居住する都市全体の活力が低下する可能性も十分にあるため、都市全体の活性化・最適化を考え、足の引っ張り合いをしている場合ではありません。

なお、都市計画区域外については、言葉悪いですが、そもそも都市計画法とは、ほぼほぼ無関係の地域なので、そこに居住する方を無理やり都市部に移住させる計画のものでもないですし、計画の効果が直接的に及ばない地域であると考えるべきで、仮に、週に何回か都市部に買い物に行っているような方であれば、その買い物先が無くなってしまう可能性もあるので、無意味やたらに批判するものではありません。

逆に、この計画によりネットワークの部分が補強される可能性も高いため、そういった交通の部分にフォーカスして、計画の取り組みを支援することが望まれます。

繰り返しになりますが、爆発的に増えた人口は少子化により急激な人口減少を迎えるので、この立地適正化計画で密度の経済が維持されるようコンパクトシティを進めることは合理的です。

また、あくまでも都市計画区域内に限っての計画なので、人口の少ない山間部や農村部の人たちを強制的に都市部に集める計画になっていないことに留意してください。

そもそも、この計画が全ての国民を市街地に住むよう強制力があるものであれば憲法違反になってしまいます。笑

終わりに

それでは、最後までご覧いただきありがとうございました。

繰り返しですが、立地適正化計画は、市町村域を対象にしているのではなくて、市街地部である都市計画区域(特に市街化区域)にポイントを絞った計画であり、都市全体の最適化を図るもので、結果的には都市に居住する全員がメリットを享受できるようになっていると考えられます。

いずれにせよ、これから10から20年先に取り組んでいる自治体とそうではない自治体の差が生まれるはずなので、注目です。
このブログが20年先もあれば、同様に解説していきたいと考えています。

次回は、「居住誘導区域」について徹底的に解説します。

 

関連記事

▶️「都市機能誘導区域」を分かりやすく解説しました。

▶️「居住誘導区域」を分かりやすく解説しました。