「田園住居地域」の住みやすさは?

田園住居地域は平成30年4月1日に新たにスタートした13地域目となる用途地域です。
用途地域とは地域地区の一つで、都市づくりを行う際に最も使用される都市計画手法の一つとなっています。

以前、田園住居地域の用途制限については建築基準法の観点から記事にしましたが、今回は、都市計画的な視点から「田園住居地域」の住みやすさについて考えてみました。

こんにちは!! 建築士のYAMAKENです^ ^




はじめに

はじめに田園住居地域の詳しい用途制限を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

関連記事(田園住居地域の用途制限)

 

「田園住居地域」が誕生した理由は、日本国内の「人口減少」が起因しています。

今後地方では急速に人口減少や少子高齢化が進む予測となっているのは、誰もが分かっていますよね。

ロジックとしては、
👇人口減少
👇 人口密度の減少
👇空き地や空き家が市街化区域内に虫食い状態(ランダム)に発生
👇しかし、所有者不明等の空き家問題により再利用されにくい
👇そのため、宅地利用に転換しやすい都市農地を中心に開発・建築行為が発生
👇都市農地は市街地縁辺部に多くあるため人口集中地区(DID地区)内の人口密度が更に低下

その結果、スポンジの様なスカスカの市街化区域が出来上がる。

そのため、都市農地を保全する観点から従来からあった都市農地保全の手法である生産緑地制度の柔軟な改正とあわせて、比較的広範囲を指定することが可能な用途地域として、都市農地を保全・管理が目的となる「田園住居地域」を制度化したようです。

少し話を脱線しますが、都市計画法の地区計画としても同様に制度化され、より細かい街区単位でも活用可能となる可能性が十分にありますので、地方公務員で、かつ都市計画部局の方は注視していた方が良さそう。

では話は戻り・・・

田園住居地域の建築制限については、第二種低層住居専用地域に農業従事者用の施設や農産物を販売する店舗や飲食店等が建築できる程度の制限となっています。

ですので、活用する場所としては、中心市街地というよりは、都市農地が残る郊外の市街地縁辺部ですね。

これらを踏まえ次の項をお読みください。

都市農地を保全した先には市街化調整区域が指定される?

大多数の地方都市に限って言えることがあります、それは人口減少が進み、今後、世帯数も減少していくことが想定されていることです。

市街地の人口密度の低下は、商業・医療・福祉といった日常サービス施設の立地の存続が困難となる可能性が高いため、結果として都市全体の活力低下を招くことになります。

その中でも、田園住居地域と関係してくるのが”空き家・空き地”の問題です。
世帯数の減少により生じる課題として、この空き家や空き地が市街化区域の中において大量に発生します。

「相続者がいるはずだから、そんなことはない?」

そんなことはありません。
こちらの資料をご覧になると分かりますが、空き家数及び空き家率ともに年々上昇していますよね。
空き家を所有する全員が相続者不明ということはありませんので、つまり、空き家となって放置してしまっている方がいるということですね。


*出典:「空き家数及び空き家率の推移」平成30年住宅・土地統計調査

 

ちなみに、土地活用の事例としてよくあるアパート経営ですが、これまでだと、郊外においても世帯数の増加に合わせて、アパート供給が伸びてきたところです。
節税対策としての意義もあったのかも?とは思うものの、今後、世帯数が減少していく中では、このロジックは崩壊します。

特に、立地メリットが低い郊外のエリアから経営が成り立たなくなることは必須です。
(理由としては、あえて、暮らしにくいところに住む人が相対的に減少していくからです)

(コンパクトシティ)
これから地方都市は、都市としての存続のため、コンパクトシティに力を入れるので、土地持ちの方は、この時代の流れに乗らないと不採算物件になる可能性が十分にあることに留意した方がいいですね。
つまり、市街地をコンパクトにしようとする流れに逆らうのは、賃貸住宅事業でのリスクを大きくする可能性が高い。
(もしかしたら今後増加する海外からの移住者が借りる可能性もありますけどね・・・)

とはいえ、土地所有者は、空き地や空き家の処分はどうすればいいのかって考えますよね。

しかしながらすみません。現在のところ、明確な解決方法がないのが実情です。
やはり、資本主義経済の中では、市場原理に逆らうのは困難です。

ちょっとキツイこと言うかもですが、土地が金を生み出すという考えは、地方都市の郊外においては既に崩壊していることを理解するべきなのかなと思うところです。

将来的には、市街地縁辺部から農地等に変えていき、不要な土地を少しつづ原野に戻していく。
つまり、現在の市街化区域の一部は、近い将来、市街化調整区域となる可能性が高いということです。

想定される手法としては、立地適正化計画で定める「居住調整地域」に「田園住居地域」の網を両方被せながら、一定規模の住宅開発を抑制しつつ、都市農地保全を図り、少し利便性の高い市街化調整区域みたいな形態に近づけていき、数十年先に、市街化調整区域と何ら変わらない状態にする。

そのためには、「田園住居地域」が有効に活用できると思います。

ちなみに、区域区分(市街化区域・市街化調整区域)を行なっていない、非線引き都市では、すでに田園住居地域である地域が数多くあるはずなので、今更感があるかもしれないですね。

「居住調整地域」という用語が出てきたので、分からない方はこちらの記事をご覧ください。

関連記事(居住調整地域)

田園住居地域の街並みは?

田園住居地域のメリットはなんと言っても、低層住宅街でありながら、都市農地が混在することで、良好な田園都市空間を形成することが可能であるという点があげられます。

日本国民全員が全員、都市部に住みたいわけではなく、郊外の落ち着いた雰囲気の中で暮らしたいと願う方もいるでしょう。

そういった方のためには、田園住居地域はおすすめかもしれません。

「田園住居地域」は、市街化調整区域と異なり、住宅建築が容易であり、なおかつ、市街化区域の中であることから、比較的、中心市街地までの距離も短いケースが多いと考えられます。

このことは、全部の都市に当てはまることではありませんが、
ほぼサービス施設の立地が困難な市街化調整区域よりは暮らしやすいことが考えられます。

田園住居地域のイメージ的には、人口1〜3万人程度の非線引き都市クラスの街並みから、景観を阻害する大規模な店舗や工場が排除されている街並みをイメージしてもえらえると良いかも・・・です。笑
と言っても、分かりずらいですよね。(いつの日かパースを掲載します。笑)

私個人的には、都市の中でゆったり暮らしたい方には、結構住みやすそうなイメージです。

ただし、田園住居地域指定後すぐに良好な街並みが形成されるわけではなく、10から20年、30年はかかると考えた方が良いです。気長に待ちましょう。

なお、現在ところ、地方で田園住居地域を指定している都市はないようですので、今後の動きに注視していった方が良いと思われます。

結論

田園住居地域内は、次の理由から住みやすいと考えられます。

・市街地に近接隣接しているケースでは日常品の買い物に困ることが少ない。
・緑が充実しており、中心市街地に比べてゆとりある都市空間が形成される。
・低層住宅地のため、日照や通風等で近隣とトラブルになることが少ない。

ただし、注意点があり、田園住居地域内は一定規模・数の都市農地を有することが考えられるため、現状でも人口密度が高いとはいえない。

そのため、特に地方では、定時制の路線バスが継続できるかが一定の暮らしやすさのポイントになるかもです。ただし、将来、中心市街地に住み替えるのであれば、若いうちは車を利用する分には問題なさそう。

ということで今回は田園住居地域についての”住みやすさ”を解説しました。

最後までご覧いただきありがとうございました。
また〜♪