【立地適正化計画のデメリットとは?】都市系コンサルのプロが解説

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  • この記事では立地適正化計画のデメリット部分にフォーカスしています。
  • 徹底的にメリットの部分を排除している記事です。

 

こんにちは!はじめての方ははじめまして!やまけんといいます。
普段は、建築や都市計画に関する業務経験を活かして建築士や宅建士の業務に役立つ情報を発信しています。




はじめに

最近、立地適正化計画が不動産業界にも着実に浸透しはじめているみたいですね。立地適正化計画のデメリットについて教えて欲しいという問い合わせが増えてきました。

いきなりデメリットって・・・デメリットばかり考えるのはよくないですよ。メリットだけみましょうよと言いたいところですけど、リスクという点も知っておいた方が良いこともありますから、ちょっと解説してみようかなと思った次第です。

そこで、今回は、立地適正化計画のデメリットを解説したいと思います。

なお、デメリットとは、見る側の視点によって異なるので、今回は、わたしへの問合せが多い、住民・民間事業者目線で説明していきます。(行政からは相談がないんですよね…そりゃあブログだけやっている人には相談しないか〜www)

ちなみに、立地適正化計画のメリットや本質的な部分を知りたい方はこちらの記事を読むことで理解することができます。

この記事を読んだ後でOKですので、この記事を読み終えた後にでもご覧になってみてください。

「立地適正化計画」の本質をお伝えします。

2019-10-04

立地適正化計画のメリットとは?

2019-05-16

計画策定によるデメリット

これから居住を誘導していこうとする居住誘導区域と都市機能を誘導していこうとする都市機能誘導区域を対外的に示すことで、行政が意図しない結果を招く恐れがあるのがこの立地適正化計画の最大の弱点でもあり、大きな効果でもあります。

そうした誘導を図る区域が示されることで、長期的には当該区域内に誘導していこうとする(せざるを得ない)投資の流れが生まれます

どういうことかというと、行政側としては限りある予算の中で、なるべくなら投資効果が高いところに税金を投入したいと考えます。

まぁそれは当然ですよね。例えば、道路や公園と、下水道といったインフラなどですかね。当然ですけど、現代の貧乏自治体では、それを都市全体全てに行き渡るように投資する力は、東京都以外にはありませんから、投資先を絞る必要があるわけです。

その場合、行政側としては限りある税金の投資先を絞るための根拠が必要となります。

このときに根拠となるのが立地適正化計画となるわけです。

市町村域の中で、誘導を図っていくエリアが市街地部に限られるため、行政側としては有利に働きます

また、立地適正化計画については策定段階からある程度の住民の合意形成が図られていると考えられるため、税金の投資先を絞る根拠とするには最適です。

これにより、長期的に見れば誘導区域外の土地ついては買い手が少なくなっていくことを意味します。

だって、買い手が少ない土地って流動化が生まれませんから、ますます市場価値は下落していきます。まぁ、かなり長期的に見るとですけどね。

国も”ゆるやかな”であるとするポジションは今のところ崩していませんから、短期的に土地の価格が急落することは先ずありません。むしろコロナ関連の方が地方都市の中心市街地の土地に短期的なマイナスをもたらすと思います。

話は戻り、つまり、長期的にみれば誘導区域外となる土地については、評価額が下がる恐れが非常に高いということです。もう一度、デメリットをお伝えします。

長期的に捉えると、居住誘導区域の外側の地域については、土地の評価額が下がる可能性が高い。特に地方都市などの人口減少や超高齢社会が進行するエリアは10年・20年で緩やかに下がる。

下落するからと言って不公平だなと考える必要はありません。

理解するべき事項として、立地適正化計画は、都市全体の活力低下を防ぐ観点であるということです。

今後、急速な人口減少に都市の低密度化が進むと、都市全体の固定資産税収も下がり、相対的な税収の減少に見舞われます。それを防いで、誘導区域内の人口密度を保つことににより、少なくとも評価額の維持を図っておこうとするものです。

とはいえ、行政の中には、立地適正化計画を策定していても、この誘導区域の絞り込みをしていない事例が散見されます。

絞り込みをしないと、従来の都市政策となんら変化がないため、立地適正化計画の効果を最大限に発揮することができないのも事実です。(絞り込みしていない都市は輝きを失う可能性が高いかなと思います。)

なお、住宅用地以外として活用(例えば、工場や田畑)する分には特に問題はありませんし、むしろ奨励されるはずです。

ということで、立地適正化計画の最大のデメリットについて述べました。

補足

今回はもう一つお伝えします。

長期的にみると、誘導区域外なるエリアについては公共交通の便が悪くなる可能性が高いです。

どういうことかというと、この立地適正化計画。売りは”コンパクトシティ+ネットワーク”となっている点に注目です。

ネットワークとは基本的に公共交通を指します。

つまり、誘導区域外の交通や誘導区域内の交通については、立地適正化計画や立地適正化計画に関連する公共交通網形成計画により、あるべき構造を構築をしていくわけで、維持は当然のことで、利便性の強化などが図られると考えて良いです。

そのため、誘導区域内については公共交通の最適化を図られますが、区域外についてはどうしても需要の減少に応じて品質が低下します。

地方にいる方ならわかるかもしれませんが、バスの本数が少ない地域は人口も少ないし、バスを利用せずに自家用車を使っているという状況がほとんどです。

それにより、乗らない→収益の悪化→利便性の低下 の悪循環に陥り、ますます路線の維持は困難となり、サービスが悪化していくことが考えられます。

よって、もう一つのデメリットは、公共交通の利便性の低下となります。

とはいえ、都市全体を捉えると最適化が図られ、財政の健全化などのメリットも大きいと考えると、マクロ的な視点で都市を捉えながらもミクロ的には上手くいかない部分も抱えることになるので、必ずこれが正解!というようなことはありません。

また、自動運転者の導入や私達がまだ知らないこの課題を解決するソリューションが登場する可能性も十分にあるので、モビリティに関してはスマートシティやスーパーシティとの動きと連動しますから、これらの動きに注視しておきましょう。

本記事のまとめ

立地適正化計画のデメリットとしては、次のようなことが考えられます。

長期的な結果

・誘導区域外の土地価格の低下
・誘導区域外の公共交通の利便性の低下

つまり、誘導区域外については、都市居住を求める方にとっては住みにくいところとなる可能性が高いという点です。

ここで誤解して欲しくない点があります。

ミクロ的には誘導区域外のように不公平だと思われる可能性があるものの、都市全体を俯瞰すれば、単に都市の最適化が進み、理想とする都市構造へ変化できるキッカケとなります。(都市って、物理的な都市構造の変化はかなり難しいのが実情です。)

では、この選択を間違えずに、どのようにして立地適正化計画を活用すれば良いのか民間事業者目線で書いた戦略的な記事がありますので、参考にしてみてください。

▶️https://note.com/yamaken1129

 

タイトル写真:Photo by Francisco Moreno on Unsplash