この記事では、次の規定について解説しています。
- 排煙設備規定における排煙窓と一般的な窓の違い
- 排煙窓・排煙設備にオペレーター(手動開放装置)は必要?
上記のような悩みを整理するとともにオペレーターの基準について説明する記事です。
この記事は、建築士のやまけん(@yama_architect)が書いております。
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排煙窓と排煙設備の違い
はじめに排煙窓と排煙設備の違いを知るには、排煙無窓を知る必要があります。
排煙無窓とは、建築基準法施行令第116条の2第1項第二号のことで、建築基準法施行令では次のように規定されています。
これが”排煙設備の設置検討が必要となる居室かどうかの判断基準”となります。
(窓その他の開口部を有しない居室等)
建築基準法施行令第116条の2第1項第二号
第116条の2 法第35条(法第87条第3項において準用する場合を含む。第127条において同じ。)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号に該当する窓その他の開口部を有しない居室とする。
一 (略)
二 開放できる部分(天井又は天井から下方80㎝以内の距離にある部分に限る。)の面積の合計が、当該居室の床面積の50分の1以上のもの
排煙無窓の検討により解除(OK)となれば排煙設備の設置は不要(建築基準法施行令第126条の2の検討は必要なので注意)となるため、単なる窓の設置でOK、通常どおり開放できればよいためクレセント程度の設置となり、排煙専用のオペレーター(手動開放装置)の設置までは求めていません。
オペレーター(手動開放装置)とは、窓下の脇の壁に設置されている”くるくる回す”やつです(適切な表現が見当たらなくてすみません)
しかしながら、排煙無窓の解除検討がNGとなる場合、また施行令第126条の2に該当する建築物の場合は排煙設備の設置が必要となり、手動又は自動による排煙用オペレーターの設置が必要となります。
排煙設備の設置が必要な建築物の確認にはこちらの記事をご覧ください。
オペレーター(手動開放装置)とは?
オペレーターには手動と自動がありますが、この記事では手動の開放装置について説明します。
建築基準法では、建築基準法施行令第126条の3第1項第4号・5号に規定されているもので、排煙設備の設置が必要とされる居室又は建築物には当該オペレーターの設置が必須(または同法同項第6号の自動開放装置・遠隔操作方式開放装置)となります。
手動開放装置はクレセントや紐で引くタイプの装置、ボタンを押すタイプの装置などがあります。
[建築基準法施行令第126条の3第1項第四・五号]
四 排煙口には、手動開放装置を設けること。
五 前号の手動開放装置のうち手で操作する部分は、壁に設ける場合においては床面から80㎝以上1.5m以下の高さの位置に、天井から吊り下げて設ける場合においては床面からおおむね1.8mの高さの位置に設け、かつ、見やすい方法でその使用方法を表示すること。
オペレーターの設置位置は?
オペレーターの設置高さは建築基準法施行令第126条の3第1項第五号に規定されており、図化すると次のようなイメージとなります。
オペレーターの位置は、床面からの高さを0.8m〜1.5m以下と定められています。天井に排煙窓を設けている場合には、オペレーターの位置を床面から約1.8mの高さに設けることがルールとして定められています。
左記がオペレーターを壁付けとする場合、右記はオペレーターを天井吊り下げ型とする場合です。
まとめ・補足
今回は排煙オペレーターについて解説しました。
排煙設備の設置が必要となる居室・建築物に該当するかどうかで、オペレーターの設置の必要性が決まります。排煙設備要求が必要となる建築物や居室については、建築基準法施行令第126条の2に規定されています。
排煙設備要求が求められる建築物や居室は、「法別表第1(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が500㎡を超えるもの」、「階数が3以上で延べ面積が500㎡を超える建築物」、「第116条の2第1項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室」、「延べ面積が1,000㎡を超える建築物の居室で、その床面積が200㎡を超えるもの」となっています。
なお、上記に該当しない”ただの排煙窓”(建築基準法施行令第116条の2第1項第二号により無窓を解除をできる場合)の場合には不要となり、クレセントでOKです。
ということで今回の記事は以上です。参考となれば幸いです。