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【特別特定建築物とは?】建築確認申請時に審査されるバリアフリー新法対象施設の解説

この記事では、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(いわゆるバリアフリー法)」に基づき建築確認申請時において審査されることとなる建築物の用途・規模について解説している記事です。

こんにちは!建築士のやまけん(@yama_architect)です。

それでは、解説します。




対象施設とは?

建築確認申請時において審査されることとなる施設は「特別特定建築物」で政令で定める規模以上とする建築物となります。法律では、「新築特別特定建築物」といいます。

さらに、新築特別特定建築物は、「建築物移動等円滑化基準」に適合させる必要があります。

一般的に対象となる施設の考え方としては、不特定が利用する用途に供する施設で床面積が2,000㎡以上となる建築物となります。詳細用途と規模については、次の項で書いています。

[バリアフリー法第14条(特別特定建築物の建築主等の基準適合義務等)]
建築主等は、特別特定建築物の政令で定める規模以上の建築(用途の変更をして特別特定建築物にすることを含む。以下この条において同じ。)をしようとするときは、当該特別特定建築物(次項において「新築特別特定建築物」という。)を、移動等円滑化のために必要な建築物特定施設の構造及び配置に関する政令で定める基準(以下「建築物移動等円滑化基準」という。)に適合させなければならない

では、特定特別建築物について説明します。

特別特定建築物とは?

特別特定建築物とは、不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する特定建築物であって、移動等円滑化が特に必要なものとして政令で定めるもの(2,000㎡以上)をいいます。

政令とは、バリアフリー法施行令第5条に規定されており、表にすると次のような施設となります。(注:機能分類については、やまけんがまとめているものです。)

機能分類 施設名
教育・文化施設 特別支援学校、博物館、美術館、図書館
医療施設 病院、診療所
集客施設 劇場、観覧場、映画館、演芸場、集会場、公会堂、展示場
商業施設 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗
宿泊施設 ホテル、旅館
官庁施設 保健所、税務署その他の不特定かつ多数の者が利用する官公署
福祉施設 老人ホーム、福祉ホームその他これらに類するもの(主として高齢者、障害者等が利用するものに限る。)、老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者福祉センターその他これらに類するもの
スポーツ施設 体育館・水泳場(一般公共の用に供されるものに限る。)、ボーリング場、遊技場
サービス施設 公衆浴場、飲食店、理髪店、クリーニング取次店、質屋、貸衣装店、銀行その他これらに類するサービス業を営む店舗
交通施設 車両の停車場、船舶・航空機の発着場を構成する建築物で旅客の乗降又は待合いの用に供するもの、自動車の停留・駐車施設(一般公共の用に供されるものに限る。)
その他施設 公衆便所、公共用歩廊

上記の対象とならない施設、学校(特別支援学校)、事務所、共同住宅、寄宿舎、下宿、キャバレー等の風俗施設、工場など。

では、次に対象となる規模の説明です。

特別特別建築物に公立小学校等が追加

令和3年4月1日施行(予定)で特別特別建築物に公立小学校等が追加されます。

政令で定める規模とは?

政令で定める規模については施行令第9条に規定されており、次のようになります。

建築等 規模(床面積)
新築 2,000㎡以上
※公衆便所は50㎡以上
増築、改築、用途変更 2,000㎡以上(変更に係る部分)

[バリアフリー法施行令第9条(基準適合義務の対象となる特別特定建築物の規模)]
法第14条第1項の政令で定める規模は、床面積(増築若しくは改築又は用途の変更の場合にあっては、当該増築若しくは改築又は用途の変更に係る部分の床面積)の合計2,000㎡(第5条第18号に掲げる公衆便所にあっては、50㎡)とする。

それでは、最後に建築物が適合させなければならない基準(建築物移動等円滑化基準)の概要について説明します。なお、床面積が2,000㎡に満たない場合でも、努力義務は発生しますのでご注意ください。

ちなみに、これは個人的な考えですが、よくある例として、建築物に接続する歩道等がバリアフリー対応となっていないことから、基準適合義務がない建築物という理由で、バリアフリーに対応する必要はないと考えて、ほぼ対応せず、コスト削減される方がいます。

そういったケースでは、行政側が対応していないんだから自分達は対応する必要はないという考えと想定されますが、高齢者や障害者、子育て世帯などにとって住みにくくするということは、都市全体の価値を低くする。つまるところ、自分達の土地の評価を下げることとなる可能がありますので、自分させよければいいという考えは控えましょう。(・・・個人的な考え)

特定建築物との違い

特別特定建築物と特定建築物の違いを簡単にまとめました。

法律での定義 建築物移動等円滑化基準への適合義務 留意点
(法第2条第16号→令第4条)
特定建築物
多数の者が利用する建築物 (法第16条第1項)
努力義務
(法第2条第17条→令第5条)
特別特定建築物
不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する建築物で、移動等円滑化が特に必要な建築物 (法第14条第1項)
床面積2,000㎡以上(公衆便所:50㎡以上)は適合義務
自治体の条例により規模の引き下げ及び用途の追加が可能

建築物移動等円滑化基準とは?

建築物移動等円滑化基準を説明する前に、「建築物移動等円滑化誘導基準」との違いについて説明します。

誘導基準は、バリアフリー法認定(第17条)のおいて適合させなければならない基準となっており、建築確認申請に伴い適合義務がある円滑化基準と比べ、より厳格となっています。ちなみに、認定を受けることで容積率の緩和を受けることが可能となります。

両者の基準の違いについては、こちらの記事をお読みください。

まとめ

まとめると、建築確認申請時において審査されることとなる施設は次のようになります。

バリアフリー法適合義務施設
  • 特別特定建築物(不特定多数のものが利用する施設で、特に高齢者や障害者など、バリアフリーとすること求められる施設)で、床面積の合計が2,000㎡以上となるもの

本記事は以上となります。参考となれば幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など