【葬祭場(セレモニーホール)・家族葬】の建築が可能な用途地域を学ぶ

この記事で分かること
  • 都市計画法上のどういった用途地域に葬祭場の建築は可能?
  • 近隣に葬祭場が建築されて欲しくないけどどうすればいいの?

こんにちは!建築士のやまけん(@yama_architect)です。

建築や都市計画に関する業務経験を活かして、建築士や不動産関係者の方々に役立つ情報を発信しています。

それでは、今回は、葬祭場(セレモニーホール)の用途制限等について詳しく説明します。




葬祭場の用途とは?

これから、急速な人口減少と超高齢社会が到来することが予測されており、これらが進んでいる一部の地方では、多死社会となりつつあります。

多死社会とはその名のとおり人が多く亡くなるという意味で、特に今後は、高度経済成長により急激に増加した高齢者が多くなるようになります。

そのため、近年、増加しているのが葬祭場です。葬祭場は、セレモニーホールと呼ばれたり、少し規模の小さいものとして家族葬施設などをあります。

建築基準法では、法別表第1に個別具体な名称として『葬儀場』は記載されていません。そのため、どういった用途に該当するか悩まれる方もいるかと思います。

結論から言うと、次のようになります。

葬儀場=集会場

不特定多数の人が入れ替わり出入りし、多く人が集まって利用されるためです。なお、規模の小さい家族葬専用の施設についても集会場と扱うことになります。※建築確認のための基準総則集団規定の適用事例(編集 日本建築行政会議)

そのため次の用途地域で建築することが可能です。(次項)

葬儀場の建築が可能な用途地域

第一種低層
第二種低層
第一種中高層
田園住居
第二種中高層 第一種住居 第二種住居 準住居 近隣商業・商業 準工業 工業・工業専用
葬儀場
(集会場)
✖️ ⭕️※1 ⭕️※2 ⭕️※3 ⭕️※3 ⭕️ ⭕️ ⭕️※4

※1:2階以下かつ床面積1,500㎡以下、なお、宿泊部分が旅館業法の適用を受ける場合には建築不可
※2:床面積  3,000㎡以下
※3:床面積10,000㎡以下
※4:床面積10,000㎡以下、なお、宿泊部分が旅館業法の適用を受ける場合には建築不可

基本的な考え方として、閑静な住宅街や田畑と共存した田園住居系については建築することはできません。また、工業系用途地域には建築することができますが、葬祭場には宿泊部分を併設する場合がありますので、その宿泊部分が旅館業法の適用を受ける場合には、建築することはできません。

なので、これら除く地域(商業系地域や、沿道サービス向けの二種住居や準住居など)において建築することが可能です。

なお、建築ができないとされる一種低層から一種中高層・田園住居地域については、寺院や教会などの宗教施設については建築することが可能となっています。

では、次に近隣に葬祭場が建築されて欲しくないけどどうすればいいの?という疑問に答えていきたいと思います。

自分達の住む街に葬祭場の建築ができないようにするには?

葬祭場(セレモニーホール)については、近年の話として、住宅街に建築して欲しくないとして建築の差し止め訴訟がされるなど、住民の反対運動が起きています。

反対意見を持つ方の多くは、近隣の住む人としては、ご遺体が頻繁に出入りしたり、多くの人が集まる施設なことから騒音等の問題として、『迷惑施設』として認識しているんだと考えられます。

これについては、様々な価値観があって、”いつかお世話になるのに迷惑施設として認識するなんて最低”とか、”引越しすればいい”と言った意見もあるかと思いますが、そう言った倫理観は一旦置いて、そういった事実があることだけ認識し、葬祭場の建築ができないようにする論理的な方法を説明します。

葬祭場の建築ができようにするというよりは、現在の用途地域が二種中高層以降の比較的制限が緩い用途地域であることが要因となっているため、低層住居や一種中高層並の閑静な住宅街の比較的制限が厳しい用途地域(一種低層や二種低層、一種中高層)に近づける必要があります。

ちなみに、地域住民の意見から葬祭場の建築ができないようにして欲しいと行政に要望を出しても、行政はやりませんし、やることによって他の既存施設に迷惑(既存不適格建築物を生じさせる)がかかるでの無理です。

また、『要望』には、都市計画の基本的な方針(都市計画マスタープランなど)と整合が図られた論理的な根拠が欠如している可能性がありますし、要望は一定の人の偏った意見である可能性を否定できないため、要望を持って特定用途を排除するための都市計画決定を行政主導では行いません。

そのため、住民主導で行う必要があります。

その方法は、都市計画提案制度を活用した地区計画(地区整備計画)の決定です。

地区計画も都市計画の一つですが、街区単位の小規模(0.5ha以上)なエリアにおいて、きめ細やかなまちづくりを行うための制度であり、こうしたある特定のエリアで特定の用途を制限するには最適な方法です。

住民の合意(3分の2以上)があり、都市計画提案するための図書の作成等を行い行政に提案し、市町村都市計画審議会での議を経て決定されれば、葬祭場の建築を制限することが可能です。

ただし、市町村都市計画審議会に諮る必要もありますし高尚な都市計画ですから、短絡的に葬祭場の建築を制限することを目的とするのではなく葬祭場の建築制限を含めて、どういった街にしたいのか、まちづくりの方針や目標などを住民みんなで考えそれら意見をまとめて目指すべき方向性を掲げた地区計画を作成する必要があるので注意してください。

自分のためではなく、地域のために制限することが地域のまちづくりのために必要なことであれば、自ら行動してみましょう。そうすれば行政も協力してくれるはずです。

※都市計画提案については、こちらの記事も参考にご覧ください。

都市計画提案制度とは?[都市計画法の解説]

2019-07-22

 

 

ということで今回の記事は以上となります。参考となれば幸いです。