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【減築】建築確認申請が必要となるケース・不要となるケース

新型コロナウイルスをキッカケに在宅ワークが普及した企業ではオフィスの床が余っていることにより、その部分を有効活用する動きがあるようです。

自社ビルであれば、他社に貸したり売ったりすることの他、減築という方法もありますので、今回は、この減築について建築基準法での制限などを説明していきます。

こんちは!やまけん(@yama_architect)です。
建築や都市計画に関する業務経験を活かして主に建築士や宅建士の業務に役立つ情報を発信しています。




減築という法律用語は存在しない

減築とは、一般的には建築物の床面積及び建築面積を減少する行為のことをいいますが、建築基準法では減築という用語は存在しません

また、結論から言うと、基本的には建築確認申請は不要となります。

そもそも建築基準法は建築行為に関する最低基準を規定しているに過ぎないこと、建築物の一部が減ることは、常識的に防火や避難、構造といった部分で危険性が増大しないといった考えがあるから確認申請が不要と取り扱われているのだと思われます。

でも、極端な話、悪意の無い建築主が、建築基準を知らないで2つ以上の要求がある屋内避難階段のうち、一つを撤去してしまったら、避難上の規定において重大な違反となるケースもありますから一概にOKということにはなりません(もし、このブログを読まれている方で建築士の資格を有していないのであれば、建築士さんに相談することをおすすめします)。

仮の話ですが、減築面積に応じて確認申請が必要となれば、法担保は確実だし、利用者の安全性は確保できるなと個人的には考えています。

なお、減築でも建築確認申請ではなく、行政への届出が必要となるので注意が必要です。

除却工事の届出

届出者は施工者、届出先は都道府県知事になります(建築主事を経由)。

除却部分の床面積が10㎡を超える場合には届出が必要となります。なお、届出様式等は各自治体が公式ホームページで公表しているほか、建築基準法施行規則から確認することも可能です。

【建築基準法第15条(届出及び統計)】
建築主が建築物を建築しようとする場合又は建築物の除却の工事を施工する者が建築物を除却しようとする場合においては、これらの者は、建築主事を経由して、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、当該建築物又は当該工事に係る部分の床面積の合計が10㎡以内である場合においては、この限りでない

工事中の安全上の措置等計画の届出

また、一定の規模等の建築物において、減築工事中でも建築物を使用する場合には特定行政庁への届出が必要となります。

対象となるものは、店舗や病院、ホテルといった不特定多数の利用が想定されるもので床面積が比較的大きい建築物(床面積1,500㎡を超えるものなど)の避難施設等(廊下、階段、排煙設備、非常用証明装置など)の工事において当該建築物を使用する場合です。

【建築基準法第90条の3(工事中における安全上の措置等に関する計画の届出)】
別表第1(い)欄の(1)項、(2)項及び(4)項に掲げる用途に供する建築物並びに地下の工作物内に設ける建築物で政令(施行令147条の2)で定めるものの
新築の工事又はこれらの建築物に係る避難施設等に関する工事の施工中において当該建築物を使用し、又は使用させる場合においては、当該建築主は、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、当該工事の施工中における当該建築物の安全上、防火上又は避難上の措置に関する計画を作成して特定行政庁に届け出なければならない。

この届出については、建築主が特定行政庁に届出を提出することになりますが、基本的には建築士や施工者に代理申請するのが一般的です。

減築でも確認申請が必要となるケース

減築においては基本的に建築確認申請は不要ですが、大規模の修繕や模様替に該当する場合には建築確認申請が必要となる場合があります。

大規模の修繕や模様替とは、主要構造部(壁や柱、屋根など)の一種以上の過半(50%)を修繕等することをいいます。

例えば、減築する部分の外壁が総外壁面積の50%以上であれば、これに該当し、木造一戸建て住宅や小規模な建築物を除き建築確認申請が必要となります。

減築した後は、資産税課へ連絡(建築主向け)

建築物を減築した場合、固定資産税や都市計画税に関係するため、当該税の徴収を担当する部署(資産税課など)に連絡が必要です。

自治体の指示に従い、必要な手続きをするようにしましょう。

補足(建築主向け)

減築は建築確認申請不要といっても、減築後の外壁や屋根、内装など、基本的には建築基準法に適合させる必要がありますし、建築物の規模や用途、建築時期により法適合の基準が異なるので、建築士に相談するのがおすすめです。

また、一戸建ての住宅でも減築により耐震性に問題が生じるケースもあるので、必ず専門家の見解を聞くようにしましょう。

建築主の方でどこに相談して良いか分からないという方は、リフォーム会社紹介サイトなどを利用してみるのも一つの手です。





地元の建築士や工務店に見積を取る際には、1社だけの見積とせず、少なくとも3社以上は取得して比較検討した上で決定すれば、少なくとも膨大な施工費を請求されることは避けられるはずです。

また、気になった点は遠慮せずに確認するようにしましょう。

ということで以上となります。参考となれば幸いです。






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ABOUT US
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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など