この記事では、大規模の修繕・大規模の模様替えについて、建築基準法の定義を説明します。
一般的にはリフォームという言葉が使われることが多いですが、厳密にはリフォームとは内容が異なるため、注意が必要です。どのような違いがあるのか、どのような行為が大規模の修繕や模様替えに該当するのかを解説していきます。
YamakenBlogでは、建築基準法や都市計画法、宅建業法など、まちづくりに関連する難解な法律を、元行政職員の私がシンプルでわかりやすく解説しています。
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大規模の修繕とは?
建築物の主要構造部※1の一種以上について行う過半※2の修繕※3
※1壁、柱、床、はり、屋根又は階段(建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除く)
※2過半とは、例えば建築物の柱であれば、建築物を支える柱(付け柱や化粧柱などの構造を支えない柱を除く)のうち、50%以上を修繕する場合をいいます。
※3修繕とは、例えば建築物の木造柱であれば、同様の形状・寸法等で造り替えることをいいます。
大規模の模様替えとは?
建築物の主要構造部※1の一種以上について行う過半※2の模様替※3
※1壁、柱、床、はり、屋根又は階段(建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除く)
※2過半とは、例えば建築物の柱であれば、建築物を支える柱(付け柱や化粧柱などの構造を支えない柱を除く)のうち、50%以上を模様替する場合をいいます。
※3模様替とは、例えば建築物の木造柱であれば、その柱を鉄骨柱に造り替えることをいいます。
建築確認申請は必要?
建築確認申請については、建築基準法第6条第1項第一〜三号建築物に該当する場合は建築確認申請が必要となり、四号建築物については確認申請は不要となります。
建築基準法第6条第1項 | ブログ内リンク記事 |
---|---|
1号建築物 | 建築基準法別表第1の概要と解説(1号建築物とは何か) |
2号建築物 | 建築基準法の2号建築物とは何か? |
3号建築物 | 建築基準法の3号建築物とは何か? |
4号建築物 | 建築基準法の4号建築物とは何か? |
なお、四号建築物については、2025年3月末をもって廃止される予定です。これにより、『平屋かつ延べ面積200㎡以下』以外は小規模な建築物であっても大規模の修繕や模様替えに該当することとなれば建築確認申請が必要となります。
さらに詳しく:4号特例廃止
本記事のまとめ
大規模の修繕 | 大規模の模様替 | |
---|---|---|
根拠 | 建築基準法第2条第14号 | 建築基準法第15号 |
定義 | 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕 | 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替 |
修繕・模様替の意味 | 性能や品質が劣化した部分を既存のものと概ね同じ位置・形状・材料を用いて性能等を回復する行為 (従前と同品質・形状等) | 性能や品質が劣化した部分を既存のものと概ね同じ位置に、既存と異なる形状・材料を用いて性能等を回復する行為 (従前と異なる品質・形状等) |
具体例 | ・木造柱→木造柱 ・木造階段→木造階段 ・瓦屋根→瓦屋根 | ・木造柱→鉄骨柱 ・木造階段→鉄骨階段 ・瓦屋根→金属系屋根 |
建築確認申請の有無 | 建築基準法第6条第1項第一、二、三号建築物については必要(四号建築物は不要) |
以上が大規模の修繕・模様替えの説明となります。
どちらも用語の定義が異なるだけで、建築基準法第6条第1項第1〜3号建築物に該当する場合には建築確認申請が必要となります。※2025年4月以降は1号又は2号建築物に該当する場合に確認申請が必要となります。
補足:内装や水回りの修繕は大規模の修繕の対象外
よくある誤解として、内装の壁紙を造り替えたり、1階の床を修繕したりする行為は建築確認申請が必要?と思われがちなのですが建築確認申請は不要となります。
これは、内装材の修繕や水回りは主要構造部に該当しないためです。
主要構造部とは、壁、柱、床、梁、屋根及び階段等を指し、構造上重要ではない間仕切り壁や付け柱、小梁、庇などは主要構造部から除かれます。よって、壁紙などの内装材は建築確認申請は不要となります。逆に筋交いが設置された壁の全てを改修する場合などは、主要構造部に該当するため大規模の修繕に該当することとなります。
なお、大規模の修繕・模様替えに該当しないケースでも建築確認申請が不要なだけで、建築基準法には適合させる必要があります。
例えば、内装制限により居室の壁紙を準不燃材料以上としなければならないところを防火性のない壁紙としたのでは違反建築物となります。
さらに詳しく:リフォームに関する記事全般
補足:屋根リフォームのうち屋根葺き材は対象外
令和5年3月末に国から技術的助言が発出され、屋根の改修のうち、屋根葺き材の改修については過半の修繕及び模様替えを行っても大規模の修繕及び模様替えに該当しないとすることとなりました。詳しくはこちらの記事で確認することができます。
さらに詳しく