ここ近年、空き家をはじめとする既存ストックを有効に活用していこうとする考え方が増えてきため、古い住宅をリフォームして住もうと考えている方が多くなってきていると思います。
そういった方の中には、自分で簡単なDIYに挑戦してみようとする方もいるのではないでしょうか。
その際に建築確認申請が必要になるのか心配になりますよね。
なぜなら確認しんせいを行わなければ違反建築物になってしまいますからね・・・そうしたらDIYどころではなくなってしまいます。
ということで今回の記事は、上記のような悩みや疑問を解決する記事となっています。
こんにちは。YamakenBlogです。
YamakenBlogでは、建築や都市計画、不動産に関して業務に役立つ情報を発信しているブロガーです。
今回は、建築確認申請と住宅リフォームの関係について、建築士や宅建士以外の方にも分かるように記事にまとめました。
目次
建築基準法ではリフォームという定義が”ない”
Reform(リフォーム)という用語は、建築基準法に位置付けはありません。
リフォームとは、壁紙などの張り替えから水回り設備機器の更新、さらには柱を残してマルッと改築するなど、幅広く使われています。
そのため、人それぞれの感覚によってリフォームの捉え方が異なります。建築基準法では、リフォームのうち、基礎や柱、屋根を修繕するなどの行為は、建築基準法において、別の用語として定義されています。
それは、「大規模の修繕」と「大規模の模様替」です。
それぞれは建築基準法第2条に定義されていますが、具体的には次のような行為をいいます。
- 大規模の修繕・模様替とは
・修繕:建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕
・模様替:建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替
主要構造部とは、壁、柱、床、梁、屋根、階段のことです。
- 修繕とは、例えば、外壁を同じ種類の外壁材で復元した場合などのことをいいます。
- 模様替とは、例えば、木造の柱を鉄骨造の柱に替えたり、屋根を瓦から金属板に替えた場合などのことをいいます。
例えば、リフォームにおいて、柱や壁、床を新しく造り替えたりする行為は、規模によりますが、この大規模の修繕若しくは模様替に該当することになります。
補足:改築とリフォームは異なる!
また、リフォームのイメージに近い改修の方法として『改築』という用語があります。改築についてはこちらの記事で詳しく説明しているのでよかったら読んでください。
リフォームは建築確認申請が必要になるのか?
いわゆる木造の小規模な住宅であれば、リフォームを行っても建築確認申請は不要です。また、平家の倉庫や物置などで小規模な建築物も同様に建築確認申請は不要です。
こうした建築物は、建築基準法第6条第1項第四号建築物(2025年4月は新三号建築物)といわれるものです。
2025年4月から四号建築物は新三号建築物となります。
詳細記事はこちら!!
>>>【No.3 四号建築物廃止】2022年建築基準法・建築物省エネ法改正の内容を分かりやすく解説
一方で、建築確認申請が必要となるのは、比較的規模の大きい建築物(床面積が200㎡超や鉄筋コンクリート造・鉄骨造)です。
これら建築物は、建築基準法第6条第1項第一号から三号建築物とされ、上記の大規模の修繕、模様替に該当する場合には、建築確認申請が必要になります。
>>この一号から四号まで更に詳しくお知りになりたい場合は、次の記事をご覧ください。
改めてお伝えすると、木造住宅などの小規模な建築物(建築基準法第6条第1項第四号建築物)の場合は、大規模の修繕・模様替を行う行為に該当したとしても、建築確認申請は不要です。
最近はやりの日曜大工ですが、木造2階以下の住宅のクロスや床板等の簡単な修理を行う程度であれば、基本的に建築確認申請は不要となるので、建築基準法的に大きな問題は発生してこないと思われます。
とはいえ、法律に絶対に違反したくない。完璧を求めたいという方は、建築士に相談しましょう!費用はかかりますが、プロですので、的確なアドバイスをしてもらえます。
>>参考書籍
補足:2025年4月から四号建築物は縮小
現在、四号建築物については、大規模な修繕・模様替えに該当する改修を行っても建築確認申請は不要ですが、2025年4月から制度が改正されます。
引き続き確認申請が不要な大規模な修繕・模様替は3号建築物(平屋かつ延べ面積200㎡以下)となります。このため、従来は確認申請が不要だった木造2階建ての住宅や事務所などは確認申請が必要となります。
補足:エレベーターを設置する場合の建築確認申請
木造住宅などの四号建築物とされる既存建築物にエレベーターを設置する行為も確認申請不要になります。*2025年3月末まで
この行為は、EVメーカーさんも詳しいので、2階建ての木造住宅に設置したい場合は、EVメーカーさんに確認してください。
最近木造2階以下の住宅のクロスや床板等の簡単な修理を行う程度であれば、基本的に法的な問題は発生してこないと思われます。ただし、心配な方は、建築士に相談しましょう!
補足:増築等を行う場合の注意点
型式認定を受けている住宅(多くの場合がハウスメーカーの住宅)をリフォームする場合には、事前に住宅を建設したハウスメーカーに確認することをオススメします。
自分が行おうとする行為(例えば、壁の撤去や増築)は、型式認定から外れることになる可能性があり、場合によっては、違法建築物となることも考えられます。
というか勝手にやると違法建築物になるので、必ずハウスメーカーに確認しましょう。
その他:旧耐震建築物(S56年以前)
リフォームする際に、住宅が旧耐震(昭和56年以前)の建築物の場合には、耐震診断を行なって、必要な場合には、耐震工事も併せて行いましょう。
自治体によっては、耐震診断や耐震改修に係る助成制度を設けている場合がありますので、最寄りの自治体に確認する事をお勧めします。
本記事のまとめ
今回の記事では、リフォームは、建築確認申請が必要か不要かといった視点で、建築士の立場から解説しました。
リフォームといってもピンからキリまであるので法律違反にはならないよう注意しましょう!
とはいえ、日曜大工程度ならあまり問題にならない場合もあります。だからといって、火災が発生した際に延焼を助長するのような燃えやすい物品を保管したりする倉庫や物置の増築などは絶対に禁止です。
必ず建築士にアドバイスをもらいましょう!
参考になれば幸いです。