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【2020年一級建築士製図試験】バリアフリー法について

2020年の一級建築士製図試験の課題は『高齢者介護施設』に決まったみたいですね!

やはり今の時代背景である超高齢社会をテーマとしているんでしょうか。

申し訳ないのですが、ワクワクしないなぁと思ってしまいました。受験生の方も現実的な設計と落胆した方もいらっしゃるのではないでしょうか。そうは言っても、受験者は合格しないといけないですから頑張らないとですよね。

やまけん@yama_architect)といいます。

普段は、建築や都市計画に関する情報を発信している人です。この時期になると設計製図の課題が出題されるので毎年受験生向けに留意点を発信しています。




はじめに

今回だと特に注意するべきがバリアフリー新法の特別特定建築物とされているのでそこがポイントかなと思います。あとは例年通りの防火・避難規定の落ち度がないよう計画すればOKかなと思います。

おそらく防火・避難関係については多くのブロガーさんが書いてると思いますし、何よりも大手の資格学院でテキストと販売されるポイントを抑えておけば問題ないはずです。このようなものですね。

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特別特定建築物については違反していると建築確認審査が下りません!!

そのくらい重要ですので、何よりも高齢者施設ですし、実際の試験でもバリアフリー新法に違反したら失格なんじゃないかとは思うのですがどうだろ〜

そんな勝手な想定をしたので、特別特定建築物のポイントをわたしなり分かりやすく伝えていきたいと思います。

特別特定建築物とは?

特別特定建築物とはバリアフリー新法施行令第5条に規定されている施設のことでして、今回の高齢者介護施設ですと、第5条第9号及び第10号に該当するかなと思われるところ。

【バリアフリー新法施行令第5条抜粋(特別特定建築物)】
九 
老人ホーム、福祉ホームその他これらに類するもの(主として高齢者、障害者等が利用するものに限る。)
十 老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者福祉センターその他これらに類するもの

その上で、バリアフリー新法では高齢者介護施設の用途に供する部分の床面積の合計が2,000㎡以上となる場合には、建築物移動等円滑化基準に適合させる必要があります。

この建築物移動等円滑化基準というのが建築基準法関係規定(建築基準法第6条第1項)とみなされるため、建築確認申請時に審査されます。

こちらの記事に簡単にまとめているのでサッと目を通してみてください。

留意点

今回の試験では特別特定建築物の建築と示されているのみですから、建築確認申請において審査される建築物移動等円滑化基準への適合で製図試験はOKとは思われます。

しかしながら、所管行政庁の認定を受けることで容積率の特例措置を受けることができる建築物移動等円滑化誘導基準としなさいとすることも考えられなくはないため、念のため、両者の基準の違いを頭に入れておいた方がよいと思われます。

ということでこちらの記事も読んでみてください。

では次に建築物移動等円滑化基準の概要を簡単に説明します。

計画時に注意するべきポイント

ここから具体的に考慮するべき基準について説明していきます。

廊下の幅

廊下の幅は120㎝(180㎝)以上とする必要があります。

120㎝は円滑化基準、180㎝は円滑化誘導基準となります。

180㎝は車椅子同士がすれ違うことが可能な幅となるため施設利用者が多いメイン通路場合は180㎝以上としておく方が無難です。なお120㎝以上とすることも可能ですが、廊下距離50m以内ごとに転回広場(140㎝)を設ける手間を考えると少なくとも150㎝以上にした方が望ましいです。
※製図のグリッドに合わせて描きやすい寸法にしてしまうのが最も無難。

なお、建築基準法施行令上は、両側居室の場合は1.6m、片側居室の場合は1.2mとなるので、管理用通路などはこの値で設計すれば良いと思われます。

  • 余裕があれば180㎝以上,少なくとも150㎝以上
    ※手すりや突起物などは廊下の幅に含めることができないので注意してください。
  • 階段又は傾斜路の上端には点状ブロックを設置


*廊下の幅 ※出典:国土交通省

階段

円滑化基準の場合には具体的な寸法等は規定されていないため建築基準法施行令で規定される数値のみとなりますが、過去の回答例をみていると円滑化誘導基準の数値に基づいた標準例(幅140㎝以上、蹴上16㎝以下、踏面30㎝以上)を参考にすると良いかと思われます。

なお、建築基準法施行令上は、幅が120㎝以上、蹴上が20㎝以下、踏面が30㎝以上となりますので、管理用階段はこの数値を利用して書いてみてください。

多くのテキストでも解説するとは思いますが、簡単に書いてみたので掲載しておきます。


*移動等円滑化誘導基準の設計例, 蹴上は16㎝以下 ※作成:やまけん

傾斜路・敷地内の通路

次の場合は必ず手すりを設置します。というか傾斜路や段差がある場合は、手すりを設置してまえばこの問題は解決します。

  • 建物内の傾斜路(勾配が1/12又は高さ16㎝超)
  • 敷地内の通路(勾配が1/12又は高さ16㎝超かつ勾配が1/20超)
  • 敷地内の段差

便所

便所に関しては、国土交通省が公表している標準設計例を確認するのが最も効率が良いです。

駐車場

車椅子使用者用駐車場の幅は350㎝以上とする必要があります。その他の留意点は国土交通省が公表している標準設計例を確認するのが最も効率が良いです。

出入り口の幅など

移動等円滑化経路と呼ばれるもので、バリアフリー新法施行令第18条において細かく規定されていますが、こちらに関しても法文を紹介するよりも簡単に理解する方が効率的だと思いますので、国土交通省が公表している標準設計例のリンクを貼っておきます。
▶️https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutakukentiku_house_fr_000049.html

その他補足

その他、バリアフリーに対応した計画をするためにも国土交通省が公表している標準設計例を印刷して、開いた時間は熟読するようにしましょう。それが最も効率が良い時間の使い方かなと思います。

☑️https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutakukentiku_house_fr_000049.html

このページの反応が良かったらもう少し詳しく書いてみようと思います。それではまた〜






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ABOUT US
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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など