【重要事項説明】不動産取引における港湾法の規定とは?

この記事では、土地や建物の売買前に行う重要事項説明のち、港湾法の規定について解説しています。

ど〜も。やまけんです。

建築や都市計画、不動産に関係する業務に役立つ情報を発信しているブロガーです。

重要事項説明においては、建築基準法や都市計画法、その他法令の制限を説明することとなっており、建築基準法や都市計画法はネット上で丁寧に解説されている方が多いのですが、「その他法令上の制限」については皆無でしたので、「その他法令上の制限」の解説を簡単ではありますが進めているところです。

今回は、港湾法の規定です。

港湾法といっても港(漁港じゃないよw)がある都市だけが対象となるので、該当する土地や建物自体が相当少ないと思います(市場が小さい)が、担当することになれば不安だらけになるはずですので、これを機会に予習と思って読んでみてください。




重要事項説明の対象となる港湾法の規定

重要事項説明の対象となる法令は、宅建業法施行令第3条第1項第13号に規定されています。

港湾法
  • 第37条第1項第4号:港湾区域内の工事等の許可
  • 第40条第1項:分区内の規制
  • 第45条の6:特定港湾情報提供施設協定
  • 第50条の13:共同化促進施設協定
  • 第50条の20:官民連携国際旅客船受入促進協定

以上の5つについて理解する必要がありますが、第45条の6、第50条の13、第50条の2については、当該協定が締結されている場合に、所有者が変更となっても引き続き効力が及ぶとされるものですので、すごく常識的な規定です。

協定が結ばれているかどうは、売却前の施設管理や港湾管理者(都道府県、指定都市等)に確認すれば容易に調べることができるはずです。「○○の協定はありますか?」よりも「○○の協定はないですよね?」の方が、法律に疎い担当者がいても親切に答えてくれると思います。

では、ここから残り上2つ(法第37条第1項第4号、第40条第1項)について簡単に解説していきますが、その前に、港湾区域と臨港地区、分区の違いについて知っておく必要があります。

よく港湾区域と臨港地区を同じエリアと勘違いしてしまいますが、実際は異なります。

港湾区域とは、港湾計画において定められる港湾のエリアを示す水域のことです。水際線から陸域側の方は港湾隣接地域といいます、
臨港地区は、都市計画法で定められる地域地区のことでして、都市計画で定められます。
臨港地区が都市計画で定められると、港湾管理者はマリーナ港区やクルーズ港区、工業港区といった分区を指定します。そして、分区ごとに建築物や工作物の用途等の制限を行うのが、分区条例といいます。

法第37条第1項第四号(港湾区域)

では、法第37条第1項の制限ですが、法律では、港湾区域・港湾隣接地域内において構築物等の工事等を行う者は港湾管理者の許可を受けなければならないとするものです。

重要事項説明は、同条第37条第1項第四号が該当しており、「港湾の開発、利用又は保全に著しく支障を与えるおそれのある政令で定める行為」を行う場合には港湾管理者の許可を受けなさいとするものす。

政令とは、港湾法施行令第14条に規定されており、基本的には、護岸の海との水際線から20m以内の地域内において港湾管理者が指定する重量を超える構築物の建設、港湾管理者が指定する廃物の投棄、揚水施設などです。

ですので、港湾管理者への聞き取りが必須です。

【港湾法第37条第1項第四号に定める政令】
 港湾管理者が指定する護岸、堤防、岸壁、さん橋又は物揚場の水際線から20m以内の地域においてする構築物(載荷重が港湾管理者が指定する重量を超えるものに限る。)の建設(改築により載荷重がその指定する重量を超えることとなる場合を含む。)又は改築(載荷重を増加させることとなる場合に限る。)
 港湾管理者が指定する廃物の投棄
 動力を用いて地下水を採取するための施設であつて、揚水機の吐出口の断面積の合計が6平方センチメートルを超え、かつ、そのストレーナーの位置が港湾管理者が指定する位置より浅い位置にあるもの(工業用水法(昭和三十一年法律第百四十六号)第二条に規定する工業の用に供する地下水を採取するための井戸であつて同法第三条第一項に規定する指定地域内のもの及び建築物用地下水の採取の規制に関する法律(昭和三十七年法律第百号)第二条に規定する建築物用地下水を採取するための揚水設備であつて同法第四条第一項に規定する指定地域内のものを除く。以下「揚水施設」という。)の建設(揚水機の吐出口の断面積の合計を大きくし、又はストレーナーの位置を浅くすることにより揚水施設となる場合を含む。)又は改良(揚水機の吐出口の断面積の合計を大きくし、又はストレーナーの位置を浅くすることとなる場合に限る。)

※出典:港湾法施行令第14条

次に第40条第1項の解説です。

法第40条第1項(分区)

分区とは、臨港地区(都市計画法で定める都市計画)内に港湾管理者が指定する商港区、マリーナ港区といったエリアのことです。この区エリアについては建築物や工作物等の用途の制限を自治体の条例で定めています

この条例についての制限の説明を行うのが重要事項説明の対象となります。

分区及び分区条例を調査する方法としては、港湾管理者(都道府県・指定都市)の公式ホームページや例規集を確認する。または、管理事務所(だいたいは港湾内に出先事務所あり)に確認します。※注)国の港湾事務所に確認してもわかりませんのでご注意ください。

分区の名称と制限している内容を説明します。分区ごとに制限している内容については、条例に規定されていますので、めんどくさいかもしれませんが条例を読むしかありません。

また、説明時に各港でパンフレット(港湾計画図や分区図)を作成していればそれを説明に添えてあげるとより説明しやすさが向上すると思います。

第39条 港湾管理者は、臨港地区内において次に掲げる分区を指定することができる。
 商港区 旅客又は一般の貨物を取り扱わせることを目的とする区域
 特殊物資港区 石炭、鉱石その他大量ばら積みを通例とする物資を取り扱わせることを目的とする区域
 工業港区 工場その他工業用施設を設置させることを目的とする区域
 鉄道連絡港区 鉄道と鉄道連絡船との連絡を行わせることを目的とする区域
 漁港区 水産物を取り扱わせ、又は漁船の出漁の準備を行わせることを目的とする区域
 バンカー港区 船舶用燃料の貯蔵及び補給を行わせることを目的とする区域
 保安港区 爆発物その他の危険物を取り扱わせることを目的とする区域
 マリーナ港区 スポーツ又はレクリエーションの用に供するヨット、モーターボートその他の船舶の利便に供することを目的とする区域
 クルーズ港区 専ら観光旅客の利便に供することを目的とする区域
 修景厚生港区 その景観を整備するとともに、港湾関係者の厚生の増進を図ることを目的とする区域 (略)

第40条 前条に掲げる分区の区域内においては、各分区の目的を著しく阻害する建築物その他の構築物であつて、港湾管理者としての地方公共団体(港湾管理者が港務局である場合には港務局を組織する地方公共団体であつて当該分区の区域を区域とするもののうち定款で定めるもの)の条例で定めるものを建設してはならず、また、建築物その他の構築物を改築し、又はその用途を変更して当該条例で定める構築物としてはならない。
 (略)
 (略)

※出典:港湾法第39条・第40条

最後に補足です。臨港地区内においては、用途地域及び特別用途地区は適用されませんので注意してください。詳しい記事はこちら。

臨港地区内は用途地域が適用されない(港湾法と都市計画法の関係)

では、これで以上となります。業務の参考になれば幸いです。