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【疑問を解決】土地を購入しようとしたら都市計画道路の予定地(計画決定地)だった。どうすればいいの?

この記事でわかること

この記事では、購入しようとしている土地の一部が都市計画道路の予定地となっているけど、どういったリスクが存在するのか調査したい方向けとなっております。

こんにちは!やまけんといいます。

YamakenBlogでは、建築や都市計画、不動産に関して業務に役立つ豆知識を発信しています。この記事が良かったら是非bookmarkしてください。




都市計画道路予定地とは?

都市計画道路予定地とは、都市計画道路が整備される予定のエリアのことをいいます。都市計画道路は、新たに整備する場合や現在の道路を拡幅する場合の2パターンあります。

当然ですが、都市計画決定されたのみでは道路が整備されるわけではなく、都市計画事業等により事業認可を受けて、その後、測量や設計、用地交渉などを経て工事に着手されることとなります。

また、多大なコストを要する都市計画事業は、一つの市町村に同時に複数箇所整備されることができないため、一般的には優先順位が付けられ、必要性の高いものから整備されていくこととなります。

購入しようとする土地にかかる都市計画道路が計画決定のみの場合には、建築する場合には都市計画法第53条許可が必要となります。

都市計画事業の施行が開始された後は都市計画法第65条許可が必要となります。(都市計画事業が開始されている段階で、用地交渉等は進められているはずので、65条許可は考え難いですが、仮にそうした土地を購入する場合には、不動産仲介業者や役所から、整備時期や建築施行に支障が生じる時期など、詳しく説明を受けてるようにしてみてください。)

長期未着手路線の問題

そのため、長期にわたり整備されていない路線が全国の都市に多く残っており、国の都市計画施行状況調査(*H31.3.31 )によると、都市計画道路計画決定延長約7.2万kmに対し、整備済(改良済)延長は4.7万kmとなっています。つまり、約65%の整備率です。

都市計画道路決定延長整備済(改良済)延長進捗率
72,000.10km47,098.30km65.4%
都市計画道路整備状況*出典:国土交通省都市計画施行状況調査

ちなみに、この整備率が高いかどうかの判断は微妙なところです。

というのも、高度経済成長期において今後も人口が大きく増加していくと予想されていたときに都市計画決定を行った道路が多いのが事実です。

ところが現代は、全国的に人口減少局面を迎えており、昭和時代に指定した都市計画道路が将来においても本当に必要かと言われると疑わしい部分があります。

なお、多くの市町村では、都市計画道路網の見直しに着手しており、必要性の検証や廃止・変更に向けて手続きが進められているところなので、今後は、都市計画施行状況調査のうち、都市計画決定延長が減少していくのかなと個人的な考えています。

都市計画道路予定地内での建築は許可が必要

都市計画道路の予定地にかかる敷地は、建物の階数が3以上の建築物や容易に動かすことができない鉄筋コンクリート造の建築物などは建築することができない規定となっており、また、木造の一戸建て住宅を建築する場合には、必ず都道府県知事の許可(都市計画法第53条許可)が必要とされています。

>>詳しくはこちらの記事において都市計画法第53条許可について書いています。

*長期未着手路線に関する都市計画法第53条をめぐる問題については、盛岡判例や伊東判例などで検索すると調べることが可能です。

都市計画道路内の建築物は長期優良住宅の認定は不可

また、建築物が都市計画道路にかかっている場合には、税制優遇(住宅ローン控除など)を受けることが可能な長期優良住宅の認定を受けることができません

これは、長期優良住宅が長期にわたり使用される目的に対して、都市計画道路が整備されれば解体されるためだからです。

ですので、例えば、長期優良住宅を建築したいと考えている方は、都市計画道路が敷地にかかっている場合には長期優良住宅の認定を受けることができませんからご注意ください。

>>詳しくはこちらの記事において都市計画道路内では長期優良住宅の認定を受けることができなおい理由を書いています。

長期未着手路線が整備されるかどうか調べる方法

都市計画道路の予定地を購入する場合には、その都市計画道路が何年にわたり長期未着手となっているのかを調べましょう!

その上で、役所に確認し、今後整備される予定があるのかどうか、または、今後、見直し対象の路線となる可能性があるのか確認します。

手順としては次のとおりです。

  1. 市町村の都市計画情報(インターネット上で確認可能)から都市計画道路名称を取得
  2. 都市計画道路名称をもとに、役所に問い合わせを行い、今後の整備予定を確認
    *都道府県道の場合には、都道府県の窓口を照会される可能性があります。
  3. 整備予定がある場合は整備予定時期を確認
    *敷地内のどの部分が道路に供されることとなるのかチェックが必要
  4. 整備予定がない場合は見直し対象路線として変更・廃止の可能性があるのか確認
    *見直し対象であれば整備される可能性は低いです。

上記の手順で確認することで整備されるかどうか確認することはできますが、整備予定がない場合でも都市計画決定されている間は、都市計画法第53条許可が必要となるのでご注意ください。

なお、今後、廃止や変更により道路となる予定のない計画決定の路線や長期にわたり未着手の路線については、許可要件の緩和を行っている都市もあるので、上記と合わせて確認することをおすすめします。

まとめ

  • 都市計画道路予定地内であっても一定規模以上の建築は可能(都市計画法第53条許可)。
  • 都市計画道路予定地内は長期優良住宅の認定を受けることができない。
  • 数年以内に整備予定がある場合には、自身の建築計画にどの程度影響があるのか調査する。
    *整備後の敷地面積から建蔽率、容積率などをチェック。
  • 長期未着手の場合には、今後の人口減少社会の到来により見直される可能性がある。

都市計画道路予定地内であっても、一定規模の建築物(木造の一戸建て住宅や物置などの小規模な建築物はOK)や附属する門や塀も建築することは可能です。

また、道路予定地の場合には、整備予定時期の確認が大切です。今後数年以内に事業が行われる場合には、自身の建築計画に影響がないかチェックしましょう。数十年におよび長期未着手の場合には、今後整備予定があるのか、整備予定がない場合にはいつ頃廃止や変更となるのかも併せて確認します。

都市計画道路予定地を購入しても決して悪いわけではないと思いますが、購入後、数年以内に確実に整備される予定の場合には道路整備後により家を解体する必要性が生じないようにしておく方(道路にかからないよう配置計画)が無難です(敷地の大半が予定地の場合には、購入自体を取りやめてもいいかもです)。

というのも、道路整備により、家を解体するとなれば、自分が建てた家を失うこととなりますし、何より役所との調整や新たに住宅を建築するのも手間かと思います。

最後に補足として、都市計画道路の整備により、交通量が増加する可能性がある路線(幹線道路*都市計画道路の番号が1・3で始まる路線)については住環境が悪化するケースもあるので注意が必要となります。

それでは以上となります。参考となれば幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など