こんにちは!建築士のやまけん(@yama_architect)です。
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この記事では、次の内容について解説しています。
- 不燃性物品を保管する倉庫の屋根の基準
- 不燃性物品を保管する倉庫に類似する用途
不燃性物品を保管する倉庫の基準
屋根構造の基準については、建築基準法施行令第109条の8(防火地域・準防火地域の場合には、施行令第136条の2の2)に次のように規定されています。ポイントとしては3つです。
このうち、屋根の基準については、
- 不燃性の物品を保管する倉庫その他これに類するものとして国土交通大臣が定める用途に供する建築物又は建築物の部分
*次の項で解説(平成28年国交省告示第693号) - 通常の火災による火の粉が屋内に到達した場合に建築物の火災が発生する恐れのないものとして国土交通大臣を定めた構造方法
*平成28年国交省告示第693号 - 屋根が通常の火災による火の粉により、防火上有害な発炎をしないものであること
(法第22条第1項の市街地の区域内にある建築物の屋根の性能に関する技術的基準)
建築基準法施行令第109条の8
第109条の8 法第22条第1項の政令で定める技術的基準は、次に掲げるもの(不燃性の物品を保管する倉庫その他これに類するものとして国土交通大臣が定める用途に供する建築物又は建築物の部分で、通常の火災による火の粉が屋内に到達した場合に建築物の火災が発生するおそれのないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものの屋根にあつては、第一号に掲げるもの)とする。一 屋根が、通常の火災による火の粉により、防火上有害な発炎をしないものであること。
二 屋根が、通常の火災による火の粉により、屋内に達する防火上有害な溶融、亀裂その他の損傷を生じないものであること。
通常、建築基準法第22条区域内の屋根については、通常の火災による火の粉に対して「防火上有害な発炎」、「屋内に達する防火上有害な溶融、亀裂その他の損傷」を生じさせないことが求められますが、不燃性物品を保管する倉庫の場合には、「防火上有害な発炎(建築基準法施行令第109条の8第一号)」に対してのみ対応する必要があります。
*不燃性物品を保管する倉庫については二号に該当する必要性なし(燃え抜けはするが燃え広がりは起こさない)
具体的な基準は、平成28年国交省告示第693号第2(22条区域内、防火地域等内)に定められています。
なお、通常は認定品を使用することがほとんどですので、告示の詳細説明は割愛します。
なお、建築基準法施行令第109条の8第一号は、UW(Designated Urban Areas-Warehouse)認定品、建築基準法施行令第136条の2の2第一号は、DW(Roof in the Fire Protection District-Warehouse)として大臣認定番号が定められています。
認定区分 | 明細区分 | 認定記号 |
---|---|---|
飛び火構造 | 防火地域等の屋根(不燃性物品保管倉庫) | DW |
飛び火構造 | 22条指定区域の屋根(不燃性物品保管倉庫) | UW |
続いて、不燃性物品を保管する倉庫に類する用途についての解説です。
不燃性物品を保管する倉庫に類する用途
平成28年国交省告示第693号第1に定められており、次の5つに分類されています。
- スケート場、水泳場、スポーツの練習場その他これらに類する運動施設
- 不燃性の物品を取り扱う荷捌き場その他これと同等以上に火災の発生の恐れの少ない用途
- 畜舎、堆肥舎並びに水産物の増殖場及び養殖場
- 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂及び集会場
- アトリウムその他の大規模な空間を通行の用に供する用途
また、上記の②に該当する類する用途については、建築物の防火避難規定の解説において「通路や休憩所、十分に外気に開放された停留所、自動車車庫(床面積30㎡以下)、自転車置場など」が参考として記載されています。
なお、防火避難規定の解説については、建築設計者として必須の書籍となるので、持っておいて損はありません!!参考までに貼っておきます。