結論:敷地が容積率の異なる二以上の地域・地区・区域にまたがるときは、建築物をどちら側へ建てるかではなく、各区域内の敷地面積と、その区域に適用される容積率の限度を掛け合わせて合計します。前面道路が12m未満なら、各区域ごとに「指定容積率」と「道路幅員による容積率」を比べ、低い方を使ってから加重平均します。
こんにちは。やまけんです^ ^ 用途地域の境界が敷地を横切る土地は、地図では一本の線に見えますが、容積率の計算は少し丁寧に分ける必要があります。売買前のボリューム確認では、境界線を数メートル読み違えるだけで建てられる床面積が変わることもあります。計算式より先に、どの資料で区域界を確定するかが大切です。
法第52条第7項の計算は「許容延べ面積」を足す
建築物の敷地が、容積率に関する制限を受ける地域、地区又は区域の二以上にわたる場合は、各区域の容積率の限度に、その区域内の敷地面積が敷地全体に占める割合を乗じたものを合計します。
e-Gov 建築基準法第52条第7項(要旨・2026年8月19日確認)
式は「A区域の面積×A区域の容積率+B区域の面積×B区域の容積率」です。最後に敷地全体の面積で割れば加重平均容積率になり、割らずに平方メートルで計算すれば、そのまま容積率算定上の延べ面積の上限になります。

例えば、敷地150㎡のうち第一種住居地域100㎡が200%、第一種低層住居専用地域50㎡が80%なら、許容延べ面積は「100㎡×2.00+50㎡×0.80=240㎡」。加重平均容積率は「240㎡÷150㎡=160%」です。建物の全てを200%側へ寄せても、敷地全体の上限が300㎡になるわけではありません。
前面道路が12m未満なら区域ごとに低い方を選ぶ
ここが実務で間違いやすいところです。法第52条第2項により、前面道路の幅員が12m未満なら、道路幅員へ法定係数を乗じた容積率も上限になります。まず各区域について、法第52条第1項の指定容積率と第2項の道路幅員による容積率を比較し、低い方を確定します。その後に第7項の面積加重を行います。

- 敷地全体に使う前面道路幅員を確認します。前面道路が二以上ある場合は法第52条第2項の扱いを確認します。
- 各区域の指定容積率を都市計画図・都市計画証明等で確認します。
- 各区域に適用される道路幅員の係数を確認します。住居系でも特定行政庁指定区域では0.6となることがあり、その他の区域も0.4・0.6・0.8の指定差があります。
- 各区域で「指定容積率」と「道路幅員×係数」を比較し、低い方を採用します。
- 採用した容積率に各区域の敷地面積を掛け、合計します。
4m道路に接する敷地で、100㎡の第一種住居地域が指定200%・係数0.4、50㎡の第一種低層住居専用地域が指定80%・係数0.4なら、道路幅員による上限はどちらも160%です。住居地域側は160%、低層住居専用地域側は80%を使うため、許容延べ面積は「100㎡×1.60+50㎡×0.80=200㎡」、加重平均容積率は約133.33%になります。

地図の線をそのまま測らず、区域界の根拠を確認
一般公開の都市計画GISは、土地を探すときに便利です。ただし、画面上の線幅や縮尺だけで確認申請用の面積を確定するのは危険です。区域界には、道路中心、道路境界から一定距離、筆界、地形地物、座標などがあります。横浜市は、i-マッピーで中心線か距離界かを確認し、道路台帳区域線図を起点に作図する手順を公開しています。一方、名古屋市は地域地区証明を交付しています。自治体によって確認方法と証明の有無が違います。
- 宅建調査:用途地域図だけでなく、区域界の根拠と指定容積率、道路幅員、係数の指定を重要事項調査へ残します。
- 基本設計:公図、実測図、道路台帳、都市計画決定図書を重ね、区域ごとの敷地面積を算定します。
- 確認申請:配置図へ区域界と各区域面積を図示し、申請書第二面の区域別面積・容積率欄と計算書を一致させます。
- 境界が曖昧な場合:都市計画担当部署へ位置確認または証明の要否を相談します。建築確認の審査だけで都市計画決定線そのものを決めてもらう考え方にはしません。
なお、容積率を加重平均しても、用途制限や高さ制限まで同じ平均値になるわけではありません。用途制限は法第91条、高さ制限は法第56条第5項など、それぞれの条文で敷地全体・建築物全体・部分適用の扱いが違います。「用途地域が二つだから全て過半で決める」とまとめないでください。
前面道路幅員による容積率の基本は、次の記事で詳しく整理しています。
建ぺい率の加重平均も併せて確認する方は、こちらをご覧ください。
一次資料:e-Gov 建築基準法第52条/東京都・確認申請書第二号様式の記入要領/横浜市・都市計画決定線の位置確認手順/名古屋市・区域区分/地域地区等の証明
関係条文を横断して確認するときは、条文ナビもご利用ください。













