この記事では、容積率の算定方法のうち、敷地が2以上の容積率が異なる用途地域にまたがる場合の算定方法を簡単簡単に解説しています。記事を読んだ後は、容積率の基礎を理解しているはずです。
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2以上の異なる容積率が指定されている場合の計算方法
まず大事な法律の解説からです。法律では次のように書かれています。
どのような書かれているかというと、ポイントは『各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの・・・(略)』という部分で、”加重平均”と言われる算定方法です。
例えば、10という敷地の中に、5が商業地域でその容積率が400、残り5が一種住居でその容積率が200の場合は、計算式として5/10*400+5/10*200=300となります。つまり容積率の限度は300%となります。
7 建築物の敷地が第1項及び第2項の規定による建築物の容積率に関する制限を受ける地域、地区又は区域の2以上にわたる場合においては、当該建築物の容積率は、第1項及び第2項の規定による当該各地域、地区又は区域内の建築物の容積率の限度にその敷地の当該地域、地区又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。
建築基準法第52条第7項
※第1項に関する記事:https://blog-architect.me/2022/02/08/yoseki-kenpei/
※第2項に関する記事:https://blog-architect.me/2019/06/04/volume/
もう少し分かりやすい具体例で説明します。上図のケースでは、容積率の限度は、S1(一種住居部分の敷地面積)*200%(指定容積率)÷敷地全体面積+S2(一種低層部分の敷地面積)*80%(指定容積率)÷敷地全体面積 となります。
ですので、例えば、S1の敷地面積が100㎡、S2の敷地面積が50㎡の場合には、100*200/150+50*80/150=200/1.5+40/1.5となり、240/1.5=160%が容積となります。
次に前面道路が12m未満の場合の計算方法です。
補足:前面道路が12m未満の場合
前面道路が12m未満の場合の容積率の計算方法は建築基準法第52条第2項に規定されており、容積率は前面道路幅員*0.4or0.6を乗じた数値となります。詳しくはこちらの記事に書いてますので、より内容を理解したい方は是非、ご覧ください。
上図のケースでは、幅員が4mであり、住居系に該当しているため4m*0.4=160%が最大の容積率となります。S2の方は一種低層住居で指定容積率が160%よりも低い80%に指定されているため、80%を適用します。一方でS1の住居地域については、指定容積率の200%よりも160%の方が低いため160%を適用して計算することなります。
また、次のケースもご覧ください。
上図のケースでは、前面道路に接する用途地域が一種住居地域(指定容積率400%)の地域であり、指定容積率200%の地域には接していませんが、容積率の計算方法については、先ほど説明した方法と同様に計算を行います。
指定容積率が異なるケースでも、前面道路が12m未満(特に6m未満には注意)の場合には、指定された容積率よりも低くなることが考えられますので、建築設計時や重要事項説明時は注意が必要となります。
ということで以上となります。参考になりましたら幸いです。