この記事では、容積率と建蔽率の違いについて、簡単に解説しています。記事を読んだ後は、それぞれの役割の違いが理解できているはずです。
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容積率と建ぺい率の違い
容積率と建蔽率の違いは、容積率が建物のボリューム(規模)のコントロールであることに対して、建蔽率は敷地の空地率のコントロールとなります。いずれも、まちづくりのツールとして、市町村が都市計画決定するものです。
容積率は、建物の規模を制限することで、都市の形成に影響を及ぼすような建築物の立地(低層住宅地への大規模商業施設の立地など)を防ぎます。
例えば、戸建て住宅地を誘導しようとする街区で容積率が600%だとすると、敷地に対する割合として、敷地一杯に建築されたとして最低でも6階建ての建築物が建築される可能性があります。戸建て住宅街区としては日照や通風の関係で環境が悪くなる可能性が高いですよね。
ですので、法律では用途地域(13種類の地域区分)ごとに定められる容積率が決められています。
一方で建蔽率も同様の性質を有していますが、容積率とは少し性質が異なります。
建蔽率は敷地を上空から見下ろした場合に敷地の空地率を一定程度確保して日照等を確保しようとするものです。容積率と建蔽率の両方があることで街並みの統一(主に住環境の確保)を行うことができます。
例えば、商業地域ですと建蔽率が高く指定され、住居系用途地域は低く指定されています。これにより商業系では高密度の市街地を形成、住居系では余裕のある市街地が形成されやすくなります。
用途地域毎に指定される容積率の値
用途地域毎に指定することができる容積率は次のとおりです。各市町村は次の数値から選択することになりますが、指定にあたっては、国土交通省が公表している「都市計画運用指針」を参考にして、都市計画として決定しています。
一般的には、低層住居は60〜80%、その他の住居系・工業系は200%、商業系は400〜600%あたりで指定されています。また、用途地域が指定されていない地域(市街化調整区域や非線引き都市計画内の白地)は、その他の住居系と同じく200%あたりが指定されているケースが多い印象です。
用途地域等 | 指定可能な容積率 |
---|---|
第一種低層住居地域 第二種低層住居地域 田園住居地域 | 50%、60%、80%、100%、150%、200% |
第一種中高層住居地域 第二種中高層住居地域 第一種住居地域 第二種住居地域 準住居地域 近隣商業地域 準工業地域 | 100%、150%、200%、300%、400%、500% |
商業地域 | 200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900% 1000%、1100%、1200%、1300% |
工業地域 工業専用地域 | 100%、150%、200%、300%、400% |
用途地域の指定の無い地域 | 50%、80%、100%、200%、300%、400% |
指定建蔽率については、こちらの記事をご覧ください。
容積率の計算方法
- 容積率=延べ床面積(容積率算定用)÷敷地面積
容積率計算において、前面道路が幅員が12m未満の場合には容積率の計算方法が変わり、指定容積率よりも低くなることがあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
実務上(実際の建築設計)では、容積率不算入(車庫や共用廊下、防災倉庫など)となる用途等が定められています。
建蔽率の計算方法
- 建蔽率=建築面積÷敷地面積
法令では建築面積を次のように定めています。
【建築面積】
建築基準法施行令第2条第1項第2号
建築物(地階で地盤面上1m以下にある部分を除く。以下この号において同じ。)の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離1m以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離1m後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積による。ただし、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離1m以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない。
敷地が二方向の道路に面している場合の建蔽率の緩和や異なる建蔽率にまたがるケースの計算方法については、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
容積率と建蔽率の違いについて解説してきました。容積率も建蔽率もほぼ目的は同じですが、容積率は建物のボリュームを制限するための都市計画手法で、建蔽率は一定の空地率を確保するための都市計画手法です。
いずれも緩和規定が設けられていますが、容積率については、前面道路の幅員が狭いと指定容積率よりも低くなるケースがあるんので注いしてしてください。
それでは以上となります。参考なりましたら幸いです。