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【単管パイプ建築物は危険】なぜ違法建築物なのか分かりやすく解説します。罰則もあるので注意!

単管パイプ建築物が違法であることを書いている記事です。これからDIYで単管パイプ物置・倉庫・駐輪場・車庫をつくろうとしている方や設計を頼まれている方は必ず読んで欲しいと思って書いていますのでよかったら最後までお読みください。

そもそも「単管パイプ建築は建築物ではないでしょ」という方もいらっしゃると思いますので、そうした方はまずはこちらの記事を先にお読みくださいませ。


こんにちは。やまけん(@yama_architect)です^ ^
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単管パイプの違法性①「基礎」

単管パイプに限らずなのですが、DIYで建築基準法に関する相談を受けると必ず聞くことがあります。

それが基礎に関することです。

「DIY建築で基礎をどのように考えていますか?」

単管パイプと鉄筋コンクリート構造の基礎との接合方法をどのように考えているかで違法な建築物になるかどうかが決まります。

建築基準法では、鉄骨造である単管パイプの建築物の基礎構造の基準が次のように規定されています。第1項は抽象的表現で第3項の規定が具体的な基準です。

第38条 建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない。

2 (略)
 建築物の基礎の構造は、建築物の構造、形態及び地盤の状況を考慮して国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとしなければならない。この場合において、高さ13m又は延べ面積3,000㎡を超える建築物で、当該建築物に作用する荷重が最下階の床面積1㎡につき100KNを超えるものにあつては、基礎の底部(基礎ぐいを使用する場合にあつては、当該基礎ぐいの先端)を良好な地盤に達することとしなければならない。

建築基準法施行令第38条第1項及び第3項

この第1項ですが、建築物に作業する荷重(屋根や外壁材、荷物など)及び外力(地震・風・積雪)に関して、基礎を通じて安全に地盤に伝える必要があるとしています。

ですので、重要なポイントとしては、基礎と柱部分の単管パイプが確実に接合されているかどうか。

普段から誰もが利用している住宅や店舗、飲食店などでは、基礎と柱(鉄骨柱脚)はアンカーボルトによって接合されていますが、単管パイプ接合の場合はどうでしょうか?

たまに見受けられますが、ブロックを縦置きにして空いている穴に単管パイプを入れてモルタルで固定して摩擦で持たせようとしているのを見ることがあります……

単管パイプとコンクリートとの付着面積やブロック基礎の重量的に吹上げ荷重に耐えるのは困難です…つまり、構造計算を行うことができない。

そもそも論にはなってしますのですが、コンクリートブロックを基礎で使うこと自体が違法性が高いですので絶対にやめましょう。物置などでコンクリートブロックを使うことがありますが、メーカーが設計している構造どおりに設置する場合は問題ないですが推奨していない場合はコンクリートブロックではなくRC造の基礎とする必要があります。


話を戻しまして、重要なのは第3項の規定ですが、原則として建築物は、国土交通大臣が定めた構造方法を用いることが求められます。

この国土交通大臣が定めた方法というのは、建築物の基礎構造として一般的な杭基礎、布基礎、べた基礎が定められています。

詳細はこちらの記事に書いてありますので参考にしてみていただけると幸いです。現代の住宅ですと”べた基礎”といって住宅を建築する一面に鉄筋コンクリートをつくります。

なお、延べ面積の合計が10㎡以内(3坪以内)の倉庫等であれば告示の適用を除外することが可能ですが、そもそもの建築基準法施行令第38条第1項の規定は除外されませんので、各自で外力に対して安全な基礎をつくる必要があります。(構造計算出来ないのであれば建築士に依頼しましょう。)

単管パイプは柱脚が大事

また、鉄骨造である単管パイプは柱脚の部分が重要となります。

建築基準法施行令第66条では、鉄骨造の柱の脚部に関して、国土交通大臣が定める方法により基礎的と柱を接合することを求めています。

第66条 構造耐力上主要な部分である柱の脚部は、国土交通大臣が定める基準に従つたアンカーボルトによる緊結その他の構造方法により基礎に緊結しなければならない。ただし、滑節構造である場合においては、この限りでない。

建築基準法施行令第66条

ここを適切に設計・施工しないと地震や突風により被害を受けやすくなります(地震等により柱脚が破断して建築物が倒壊しないようにするために設けられている基準)。
詳細はこちらの記事に書いてありますので参考にしてみていただければ。

率直にお伝えしようとすると、単管パイプによるこの柱脚告示の適用は困難(構造計算により安全性が確かめられた場合を除く)かと思います。

ほとんどの違法単管パイプ建築物は基礎すらないケースが多いので基礎と柱の固定と言ってもピンと来ないですよね。つまり、単管パイプはほぼ地上に置いてあるだけで簡単に移動できてしまう可能性が高いということ。

簡単に移動できれば建築物ではないとする考えの方もいるのでこちらの記事を参考にしてみてください。ざっくり話するといつでも動かせるかどうかはオーナーの判断ではなく行政側が客観的に判断するため、一般論として固定して使用することを前提としている場合には建築物となります。

どうしても単管パイプで建築物をつくりたいのであれば屋根をつけないようにしてみてください。
屋根を設置しないことで建築物ではなくなりますので、建築基準法は適用されないです。

単管パイプの違法性②「接合」

鉄骨造である単管パイプは、パイプ同士の接合(柱と梁)を高力ボルト接合としなければなりません。

建築基準法施行令第67条には次のように規定されています。小規模な建築物が多い単管パイプ建築物の場合には後段のただし書きを読んでみてください。

結論としては、高力やリベット(リベットは現代では見ることがなくなった)ではなくボルト接合とすることができるのですが、単管パイプはクランプといって、パイプを挟みこんで締め付けているだけですのでボルト接合とはいえません。

クランプを使うから自由度が高くてDIYでも建築出来る手軽さから建築したくなる理由の一つですが、ですがです・・・ボルト接合ではないため安全性を確認することができないのです。

単管パイプとクランプが仮設材として使われていることを考慮すれば恒久的に利用するものではないとイメージしやすいかなと思います。

第67条 構造耐力上主要な部分である鋼材の接合は、接合される鋼材が炭素鋼であるときは高力ボルト接合、溶接接合若しくはリベット接合(構造耐力上主要な部分である継手又は仕口に係るリベット接合にあつては、添板リベット接合)又はこれらと同等以上の効力を有するものとして国土交通大臣の認定を受けた接合方法に、接合される鋼材がステンレス鋼であるときは高力ボルト接合若しくは溶接接合又はこれらと同等以上の効力を有するものとして国土交通大臣の認定を受けた接合方法に、それぞれよらなければならない。ただし、軒の高さが9m以下で、かつ、張り間が13m以下の建築物(延べ面積が3,000㎡を超えるものを除く。)にあつては、ボルトが緩まないように次の各号のいずれかに該当する措置を講じたボルト接合によることができる。
 当該ボルトをコンクリートで埋め込むこと。
二 当該ボルトに使用するナットの部分を溶接すること。
三 当該ボルトにナットを二重に使用すること。
四 前三号に掲げるもののほか、これらと同等以上の効力を有する戻り止めをすること。

建築基準法施行令第67条

ソーラーパネルを利用する場合には注意!

多くのソーラパネルが単管パイプで架台がつくられていますが、ソーラーパネル下に人が立ち入れるようなスペースをつくり・かつ倉庫や車庫などとして利用する場合には建築物に該当するため、建築基準法が適用されます。

そのため、先ほど説明したように基礎や接合を建築基準法に適用させなければなりませんので注意が必要です。

ソーラーパネルの下に物を置きたい場合には建築確認申請も必要となるケースが大半ですので、違法発電所とならないように注意。自宅に設置する場合にも同様に守るようにしてください。

罰則規定

ここまで説明した建築基準法の構造基準に違反した建築物を建築した場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。

さらに特定行政庁から違反指導を受けているにも命令に従わないでいると3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処されます。

構造に関する違反は日本の領土内に建築する場合にはすべての建築物に適用されますので注意してください。最近、YouTubeで顔出ししながら単管パイプ建築物の建築動画を掲載している例がありますが、警察に通報されれば刑事事件として取り扱われる可能性が十分にあります。早めに動画を削除した方がいいと思います。

まとめ

単管パイプ建築物は建築基準法に違反している可能性が高く、市街化調整区域であれば本来、許可が必要がケースもあるため、場合によっては都市計画法にも違反している可能性が高い建築物です。

DIY自体は楽しいですし、それ自体は否定するものではないですが、建築基準法に違反する行為はやめた方がいいです。

仮に突風が発生して単管パイプ建築物が壊れ歩行者や近隣の建築物に被害をもたらしたら、建築した管理者の責任(民法で損害賠償請求の対象)となります。それで怪我や死亡事故でも起きれば、一生後悔する可能性があることに注意してください。

ということで、結論としてはお金はかかっても建築士に相談することをおすすめします。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など