この記事では、次の「景観と風致の違い」を解説しています。
- 景観地区と風致地区の違い
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景観地区と風致地区の違い
はじめにまとめです。
景観地区 | 風致地区 | |
---|---|---|
都市計画法 | 法第8条第1項第6号 | 法第8条第1項第7号 |
都市計画の括り | 地域地区 | 地域地区 |
個別法令 | 景観法第61条第1項 | 風致政令 |
目的 | 市街地の良好な景観の形成 *建築物等の形態制限・誘導 | 都市の風致の維持 *自然的景観保護 *グリーンインフラ維持 |
建築制限内容 | 【市町村の認定】 ・建築物の形態意匠の制限 ・建築物の高さの最高限度又は最低限度 ・壁面の位置の制限 ・建築物の敷地面積の最低限度 | 【市町村の許可】 ・建築物の建築その他工作物の建設 ・建築物/工作物の色彩の変更 ・土地の造成、土地の開墾等 ・木竹の伐採 etc |
指定可能な区域 | 都市計画区域内 準都市計画区域内 | 都市計画区域内 準都市計画区域内 |
都市計画指定権者 | 市町村 | 市町村 *10ha以上は都道府県 (2以上の市町村にわたる場合) |
都市計画決定数等 | ・指定都市数:37都市 ・指定面積:101,328.8ha ・指定地区数:60地区 | ・指定都市数:221都市 ・指定面積:167,502.4ha ・指定地区数:734地区 |
景観地区と風致地区の異なる点は、風致地区は自然景観の維持・保護であり基本的に建築物や工作物の建築・築造を規制しているのに対して、景観地区は建築物や工作物の形態(外観・色彩など)に関して制限を加えていることです。
つまり、風致地区は規制・制限に対して景観地区は誘導に近いです。
また、風致地区は現状の都市・自然景観を保護・維持しようとするのに対して、景観地区の場合は歴史的な景観や自然的な景観のみならず、新しく景観をつくっていこうする地区についても対象とすることができる点が異なります。
どちらも都市計画区域・準都市計画区域内に定めることができる都市計画とはなりますが、景観法は平成16年(2004年)に新しく制定された法律となります(景観地区の前身は「美観地区:市街地の美観を維持」)。
一方で風致地区は昭和43年の新都市計画法から制度化されている都市計画の一つです。
風致地区と景観地区のそれぞれの解説は下記の記事に書いてありますので、リンクを置いておきますので、さらに知識を深めたい場合にはぜひご覧ください!
まとめ
景観地区や風致地区は観光産業を抱えている各都市で指定されています。
風致地区は歴史的・自然的な景観(京都や奈良などの神聖な山林とされる地域の保護→東山や春日山など)を保護しようとするものに対して、
景観地区は観光産業より、例えば古くからある歴史的な街並みを維持してエリアの価値を維持又は向上させようとするものや計画的に美観を形成する新市街地(尾道市景観地区や仙台の定禅寺通景観地区など)があります。
ざっくりと説明すると建築制限と建築形態の誘導の違いですかね。
ということで以上となります。参考となりましたら幸いです。