こちらの記事では、前回の記事(内部リンク)に続き、省令準耐火構造の具体的な仕様を書いてます。
省令準耐火構造は屋根不燃で外壁及び軒裏を防火構造にするのは分かったけど、具体的にどのような仕様方法となるの?という疑問に答えるべく、出来るだけ分かりやすく簡単にまとめています。
なお、前回は省令準耐火構造の建築物の法令の根拠を解説しているので良かったからご覧ください。
↓↓↓前回の記事
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※木造には、一般的な木造軸組工法と、枠組壁工法(いわゆるツーバーフォー)とありますが、この記事では木造軸組工法に関して解説を行っています。
基本は不燃材料+防火構造+石膏ボード12.5㎜以上等
基本的には、屋根・ルーフバルコニー(屋根と同じ)は不燃材料、外壁及び軒裏は防火構造、内壁や天井は石膏ボード12.5㎜以上等(2階建て1階天井は+グラスウール)+当て木等によるファイヤーストップとなります。
これさえ覚えておけば、あとは部位別の詳細な仕様は機構が発行している詳細な仕様書を見ればOKとなっています。
当初は、具体的な仕様を細かく書いていこうと思ったのですが、ある程度基準が細かく規定されているので、「仕様書」を確認する方が理解するのが早い・・・笑
それぞれの部位の防火性能でうが、屋根は不燃材料ですので、20分間防火性能、外壁と軒裏には防火構造であることから30分防火性能、他室への延焼遅延は石膏ボード12.5㎜以上等となっていることから、H12年告示第1400号の不燃材料に該当するので20分間となっています。
*支援機構資料を見ると、内壁・天井の耐火性能は15分と書かれているのは、おそらく吉野石膏さんの公式ホームページで厚さ12.5㎜の石膏ボードが火災に耐えられる時間を15分としているからですかね・・・。建築基準法では15分防火性能は存在しないので想定です。
ちなみに、防火・準防火地域の延焼の恐れのある部分または準耐火建築物・耐火建築物の外壁開口部の規定である防火設備の設置は不要となっています。ですので、換気口などの開口部についてもFD(ファイヤーダンパー)や特定防火設備の設置は不要です。
簡単に基準をまとめると次のようになります。
*詳細は記事最後の補足❶で紹介している書籍の購入が必要です。
部位 | 基準 | 耐火性能等 |
---|---|---|
屋根・バルコニー | ・不燃材料で造るか、葺く ・準耐火構造(屋外面:準不燃材料) ・耐火構造(屋外面:断熱材+防水材) | 20分以上 *H12告示1365号 |
外壁・軒裏 | ・防火構造 ※開口部は規定なし(防火設備や防火ダンパーは不要) | 30分 *H12告示1359号 |
外壁室内側 | ・石膏ボード12㎜以上 ・石膏ボード9.5㎜以上2枚張り ・防火構造 | 上記に同じ |
内壁(外壁面を除く) | ・石膏ボード12㎜以上 ・石膏ボード9㎜以上2枚張り ・石膏ラスボード7㎜以上+プラスター塗り8㎜以上 | 10〜20分等 H12告示1400号等 |
天井(上階あり) *梁露出部分を含む | ・石膏ボード9㎜以上2枚張り ・強化石膏ボード12㎜以上 +24Kグラスウール50㎜以上 等 | 上記に同じ |
天井(上階なし) *梁露出部分を含む | ・石膏ボード9㎜以上2枚張り ・石膏ボード12㎜以上 等 | 上記に同じ |
その他 | ・防火被覆貫通部分は防火被覆措置 ・床、壁、天井との取り合いはファイヤーストップ (木材30㎜以上、石膏ボード12㎜以上、24Kグラスウール等) |
延焼の恐れのない部分についても防火構造(外壁・軒裏)としなければならないのは特徴的かなと思います(建築基準法では延焼の恐れのある部分の外壁のみが準防火性能が求められる)。
また、特徴的なのは、他室への延焼防止として内装及び天井については石膏ボード12㎜以上+ファイヤーストップが標準となっているものの、開口部となる窓や換気口などに関しては防火設備とする必要はないといった点ですかね。
加えて、準耐火構造と異なり床に関しては特段の規定がないです(→天井材について防火措置)。
一般的な住宅よりも耐火性能はるものの建築基準法で規定される「45分準耐火構造」には及ぼない。隣家火災からの延焼防止という面では通常の住宅よりは多少強いといった印象を受けます(もし、この解釈は違うよ〜という方は、どうぞご指摘くださいませ。)。
ちなみ火災保険料についても、省令準耐火構造は「T構造」となり耐火構造と同じ分類となるので通常の非準耐火構造よりも割安になるメリットがあります。
梁あらわしは不可
天井を石膏ボード等で防火被覆することが求められているため、梁を露出する方法は防火被覆していないと見なされることから省令準耐火構造にならないようです(住宅金融支援機構Q&A43参照)。
ですので、どうしても天井部分に梁を露出させたい場合は防火被覆の上に化粧板を設置するか、省令準耐火構造ではなく「準耐火構造」でかつ燃えしろ設計にするしかないようですね。
柱もですが、ポイントとしては”容易に着火しないようにする”です。
そのため、梁あらわしは省令準耐火構造には該当しないという考えのようです。ちなみに、燃えしろ設計であれば、断面構成が大きくコスト高になっていしまうので、戸建てで燃えしろ設計を行う方はいないと思いますが、一応、参考までに記述しておきます。
補足❶:参考図など
住宅金融支援機構でも概要程度の資料は公式ホームページに掲載していますが、もっと詳細に仕様を知りたいという方は支援機構さんが公式の仕様書を販売しています。
なお、省令準耐火構造については、平成30年に一部改正が行われているのでこちらのページも併せてご覧ください。
>>>平成30年に行われた一部改正の内容(外部リンク:住宅金融支援機構のページ)
補足❷:あらかじめ省令準耐火構造として認められた住宅・工法
プレハブ住宅などの一般的な木造軸組工法以外については、各ハウスメーカーがあらかじめ住宅金融支援機構において承認を行っています。また、部位別(外壁)に工法の承認を受けているメーカーもあります。
こちらのページを確認すれば、ハウスメーカーさんのうち省令準耐火構造として承認を受けた住宅の名称や工法を確認することができます。
>>>住宅金融支援機構承認住宅一覧(外部:リンク:住宅金融支援機構のページ)
まとめ
まとめますと、省令準耐火構造は、次のとおりとなります。
もっとより詳しく知りたい!これから省令準耐火構造の物件に携わるという方は、会社にお願いして住宅金融支援機構さんで販売している仕様書をご購入くださいませ。
- 外壁・軒裏:防火構造(30分間防火性能)
- 屋根:不燃材料(20分間防火性能)
- 天井・内壁:各室防火(石膏ボード12.5㎜以上等→15〜20分間)
- 壁・天井内部の端末等:ファイヤーストップ(石膏ボード等)
余談
今回、省令準耐火構造について書こうと思ったのは住宅設計のお手伝いで、省令準耐火構造の建築物に携わる機会があったからです。(都市計画も責任感があって充実感がありますが住宅建築も楽しいですね)
調べてみると建築基準法よりもちょっと外れた領域でかつ金融・保険系の領域の方が携わる機会が多いのか、「省令準耐火構造は素晴らしく耐火性能のある住宅であるみたいな?」火災保険でもT構造なので、耐火構造やイ準耐火構造並に耐火性能を有するみたいな記事が散見されてましたね・・・。いやいや、それは違うでしょ・・・一般住宅でもちょい耐火性能があるくらい。
そうした記事を見てお客さんが勘違いしなければいいなーと思った次第。
それではまたで〜す。
どうでもいい話。潤沢支援機構と書いてる記事あって、絶対に俺の家の話みたあとに書いたでしょって思いました。