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【簡単解説】未線引き都市計画区域(未線引き都市)とは?

この記事では、未線引き都市計画区域について簡単かつ分かりやすく解説を行っています。




未線引きは2000年改正で消滅

未線引き都市計画区域は、昭和43年の新都市計画法から2000年に改正されるまで用いられてきた言葉です。現代の線引きと同じく法律上は”未線引き”という用語は存在せず業界の俗称として使われてきました。

2000年改正法の正式名称は、「都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律(平成12年5月19日法律第73号)」で、施行日は翌年2001年5月18日に施行されました。
*地方分権改革の一つです。

この改正により、線引きは一部の地域を除いて選択制となったことから、未線引きは非線引きとなりました。未了ではなく自らの意思で線引きをしていない都市計画区域であるということです。

なぜ、未線引き?

昭和43年の新都市計画法制定時に全ての都市計画区域で区域区分を行うことが義務付けらました。次のように規定されていたので、本則上は義務でした。

都市計画には、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、都市計画区域を区分して、市街化区域及び市街化調整区域を定めるものとする。

都市計画法第7条第1項(昭和43年制定時)

しかしながら、法の附則新しい都市計画制度が定着するまでの引き継ぎ・経過措置の規定)に、次のように”当面の間”が記載されたことで、実質的に一部の都市では線引きが実施されることはなかったのです。

ここを深掘りすると論文を書くくらいの量になってしまうのでざっくりとご説明します。

当初、いずれは線引きして土地利用をコントロールしていこうという動きになっていたものの、地方分権改革の時期と、急速な自家用車が普及と制限が緩い未線引き地域での市街地が無秩序に拡大していた時期です。

”今さら線引きしても…お手上げ状態”の地域があったことも影響しています。

加えて、線引き都市でも住民反発等により調整区域で”ゆる〜い”運用をせざるを得ないかった一部地域では、線引きの意味が無いような地域もありました(現在、線引きを廃止した旧線引き都市など)。

ですので、国としては、地方分権の動きもあるし、小中都市は「地域の実情に合わせて判断する」ということでいいんじゃないと、選択制へ移行となっています。

ただし、これまで以上に都道府県が都市圏の経済の実態を把握して調整する役割が期待されたわけです。←実務上はここがめちゃくちゃ重要です。国民が不利益とならないよう調整の役割を果たすのが都道府県です。

法の附則と附則に係る政令

この法律中市街化区域、市街化調整区域及び第3章第1節の規定による開発行為等の規制に関する規定は、当分の間大都市及びその周辺の都市に係る都市計画区域その他の政令で定める都市計画区域以外の都市計画区域については、適用しない。

法附則第3項

附則の政令(都市計画法施行令附則第4条)については、次の項で解説します。

2000年改正以前に未線引きでもOKだった都市は?

附則で線引きが求められた都市は次のようになっていました。詳細な政令は省略しているので概略のみ掴んで頂ければと思います。

  1. 三大都市圏の既成市街地等
    *解説記事:【三大都市圏とは?】三大都市圏と三大都市圏特定市を分かりやすく解説
    *都市開発区域については建設大臣が指定
  2. 新産業都市(建設大臣が指定)
    *道央(北海道)、八戸(青森)、秋田湾(秋田)、仙台湾(宮城)、常磐・郡山(福島)、新潟、富山・高岡(富山)、松本・諏訪(長野)、中海(鳥取・島根)、岡山県南、徳島、東予(愛媛)、大分、日向・延岡(宮崎)、不知火有明大牟田(熊本・福岡・佐賀)
  3. 工業整備特別地域(建設大臣が指定)
    *鹿島(茨城)、東駿河(静岡)、東三河(愛知)、播磨(兵庫)、備後(広島)、周南(山口)
  4. 人口10万人以上の市(建設大臣が指定)
  5. 上記に密接に関連する都市計画区域(建設大臣指定)

線引きが義務化されていた都市は三大都市圏(首都、近畿、中部)のうち既成市街地や近郊整備地帯等のエリア、それから昭和の経済成長を支えることになった新産業都市と工業整備特別地域のエリア、さらに、人口10万人以上の市となっていました。

つまり、上記に該当しない市町村は”とりあえず”「未線引き」であってもOKでした。

”とりあえず(当面の間)”ですので、線引き都市の市街地拡大や道路鉄道網の充実により非線引き地域にも住宅需要が増えてきている場合には、無秩序な市街地形成を防止するために線引き都市への再編を行うべきという考えであったようです。

首都圏では、線引き地域である東京圏の影響を受ける千葉の八街や東金、山武などは未線引きから非線引きとなり現在でも線引きを行っていない例として分かりやすく乱開発の典型例です。

現在の非線引き都市・線引き都市を調べる方法は?

現在、線引き都市・非線引きであるかどうかについては、こちらの記事でまとめております。

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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など