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容積率算定から除外可能な宅配ボックスとは?(国の技術的助言を踏まえ解説)

こんにちは!やまけんです。

建築や都市計画、不動産に関して仕事に役立つ情報を発信しているブロガーです。

今回、解説する内容は、2018(平成30)年9月25日に施行された宅配ボックスの設置部分についての容積率緩和に関する規定です。

基本的には延べ面積の100分の1を限度として容積率算定から除外することができますが、対象となる部分とならない部分が規定されているので、この記事で詳しく解説しています。

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宅配ボックスは容積率算定から除くことが可能

まずは法令から確認します。

法令は施行令第2条第1項第四号に規定されています。

容積率の算定から宅配ボックスを除くとされています。そして、具体的な算定方法は施行令第2条第3項第六号に規定されており、床面積の1/100までを容積率算定の延べ面積から除外することできます。

【建築基準法施行令第2条第1項・第3項(抜粋)】
次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
四 延べ面積 建築物の各階の床面積の合計による。ただし、法第52条第1項に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、次に掲げる建築物の部分の床面積を算入しない
へ 宅配ボックス(配達された物品(荷受人が不在その他の事由により受け取ることができないものに限る。)の一時保管のための荷受箱をいう。)を設ける部分第3項第6号及び第137条の8において「宅配ボックス設置部分」という。)

 第1項第四号ただし書の規定は、次の各号に掲げる建築物の部分の区分に応じ、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に当該各号に定める割合を乗じて得た面積を限度として適用するものとする。
 宅配ボックス設置部分 1/100

例えば、延べ面積が1,000㎡のマンションであれば、1,000㎡/100により10㎡までの部分を除外することができます。ですので、2,000㎡のマンションであれば20㎡までの部分を除外することができます。

では、どういった宅配ボックスが対象となるのか国の技術的助言をもとに詳しく説明していきます。

対象となる宅配ボックスの考え方

対象となる宅配ボックスは、配達された物品(荷受け人が不在その他の事由により受け取ることができないものに限る。)の一時保管のための荷受箱建築物に固定)です。

そのため、壁や床等に定着していないもの単なる物品の保管を目的に設置されたロッカートランクルーム等(管理人等が物品を預かった後、当該物品の一時保管を目的に設置されるものを含む。)は対象外となります。

なお、宅配ボックスには、配達された物品の一時保管機能に必要となる電子操作盤等のほか、構造上一体的に設けられた郵便物を受け取るための設備(いわゆる郵便受け)や当該宅配ボックスに付加的に設けられるAED保管庫等の設備を含んでいてもOKです。

*出典:『建築基準法の一部を改正する法律等の施行について(技術的助言)国住指第 2075 号 国住街第188号 平成30年9月21日』

対象となる宅配ボックスの部分

出典:『建築基準法の一部を改正する法律等の施行について(技術的助言)国住指第 2075 号 国住街第188号 平成30年9月21日』

上記の赤色ハッチングの部分が容積率算定から除くことができる部分です。

基本的な考え方として、宅配ボックスの利用エリアが壁で区画されている場合にはその区画、壁で区画されていない場合は、預け入れ及び取り出し面から1mまでの部分とされています。

宅配ボックスの利用のために設ける室その他これに類する区画(当該区画内に郵便受けを設けるものを 含む。)のほか、配達された物品の預け入れ又は取り出しの用に供する部分(当該部分の境界が壁その他これに類するものにより明確でない場合は、宅配ボックスの預け入れ又は取り出し面から前方に水平距離1mまでの部分とする。)を含むものとする。

『建築基準法の一部を改正する法律等の施行について(技術的助言)国住指第 2075 号 国住街第188号 平成30年9月21日』

一戸建て住宅でも使用可能?

制度上は一戸建て住宅でも利用可能です。例えば、玄関の軒先部分の固定式の宅配ボックスを設置する場合、その部分は屋内的用途に供すると判断されるため床面積算定となりますが、延べ面積からは除くことが可能です。

まとめ

最後にまとめると、床面積の100分の1を限度として容積率の算定の面積から除くことができるのが宅配ボックスです。

例えばですが、マンションでは計画容積率を都市計画で定められた指定容積率いっぱいに使うことがよくあります。この場合で、宅配ボックス分だけでも容積率算定から除けるのは効率的に床を確保することができることになります。

床をギリギリいっぱいまで使うことが多い大都市での建築あれば活用しがいがあると思います。

また、今回の改正(平成30年)により、宅配ボックスが普及すれば、宅急便が来る時間に家にいる必要は無くなりますので、時間を有効に活用しやすくなります。

宅配業者としても再配達が減るためメリットは高いはずです。都市全体として生産性が上がることも考えられるので、積極的に増加して欲しいと願っています。できれば冷凍・冷蔵宅配ボックスが普及してくれと嬉しいです。

ということで以上となります。参考となれば幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など