*2025年4月1日からは新三号特例となります。
この記事では、建築士が設計する場合の建築確認申請の際の特例(建築確認において審査されない法令)について簡単かつ分かりやすく解説しています。
建築士以外の方が建築確認申請を行う場合には、省略できない法令に関して審査側がチェックできるよう図面等を作成する必要があります。
*建築士以外の方が確認申請手続きを行う場合や、完了検査を申請する場合には業務量が増大するためかなり大変かと思います。
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目次
法律における確認申請の特例に関する規定は?
一定規模以下の建築物や国から型式認定を受けた建築物については、建築士が設計したものであれば、審査が省略できるもので、法令では建築基準法第6条の4に規定されています。
法第6条の4に規定されています。
一般的に建築確認の特例において対象となるのが、第1項第三号の建築基準法第6条第1項第四号建築物(小規模建築物)となります。
(建築物の建築に関する確認の特例)
建築基準法第6条の4
第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替又は第三号に掲げる建築物の建築に対する第6条及び第6条の二の規定の適用については、第6条第1項中「政令で定めるものをいう。以下同じ」とあるのは、「政令で定めるものをいい、建築基準法令の規定のうち政令で定める規定を除く。以下この条及び次条において同じ」とする。
一 第68条の10第1項の認定を受けた型式(次号において「認定型式」という。)に適合する建築材料を用いる建築物
二 認定型式に適合する建築物の部分を有する建築物
三 第6条第1項第四号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの
2 前項の規定により読み替えて適用される第6条第1項に規定する政令のうち建築基準法令の規定を定めるものにおいては、建築士の技術水準、建築物の敷地、構造及び用途その他の事情を勘案して、建築士及び建築物の区分に応じ、建築主事の審査を要しないこととしても建築物の安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められる規定を定めるものとする。
審査を要しない法令等は、施行令(令第10条第三号及び四号)に規定されていますので、次の項にまとめました。
確認申請でチェックされない規定
ここでは、分かりやすくするため、施行令第10条第三号及び四号を表にまとめました。
なお、表は、施行令第10条第一号及び二号の型式を取っている建築物(ハウスメーカーの住宅は型式を取得しているケースが大半です)に係る特例の条項は記載していませんのでご注意ください。あくまでも四号建築物のみです。
令和7年4月以降は四号建築物から新三号建築物となります。
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基本的には、集団規定(用途地域や斜線制限、接道など)を除く単体規定の大半(構造、採光、換気、排煙など)を省略することが可能です。
3号と4号とでは、法第35条(防火・避難規定)が適用に違いがあるので注意が必要です。
条項 | 対象建築物 (法第6条第1項第四号建築物で、なおかつ以下の建築物) | 確認を要しない規定 |
---|---|---|
三号 | 一戸建て住宅 ただし、防火・準防火地域以外、住宅以外の床面積が延べ面積の1/2以上又は50㎡超えを除く | ・法第20条(第1項第四号イのみ) ・法第21条から法第25条まで ・法第27条 ・法第28条 ・法第29条 ・法第31条第1項 ・法第32条 ・法第33条 ・法第35条から法第35条の3まで ・法第37条の規定 ・施行令第2章(第1節の3、令第32条及び第35条を除く。) ・施行令第3章(第8節を除き、施行令第80条の2は、昭和58年建設省告示第1320号第1から第12、平成13年国土交通省告示第1026号第1から第8、平成13年国土交通省告示第1540号第1から第8、平成14年国土交通省告示第410号第1から第8のみ)*平成19年国土交通省告示第1119号 ・施行令第4章から第5章の2まで ・施行令第5章の4(第2節を除く。) ・施行令第144条の3の規定 ・法第39条から法第41条までの規定に基づく条例の規定のうち特定行政庁が法第6条の4第2項の規定の趣旨により規則で定める規定 |
四号 | 上記以外の四号建築物(小規模な事務所や倉庫、防火・準防火地域など) | ・法第20条(第1項第四号イのみ) ・法第21条 ・法第28条第1項及び第2項 (例)採光・換気計算で2室1室を適用している場合は審査対象 ・法第29条 ・法第30条 ・法第31条第1項 ・法第32条 ・法第33条 ・法第37条 ・施行令第2章 (令第20条の3、第1節の3、令第32条、令第35条を除く) ・施行令第3章 (第8節を除き、施行令第80条の2は、昭和58年建設省告示第1320号第1から第12、平成13年国土交通省告示第1026号第1から第8、平成13年国土交通省告示第1540号第1から第8、平成14年国土交通省告示第410号第1から第8のみ)*平成19年国土交通省告示第1119号・施行令第119条 ・施行令第5章の4 (令第129条の2の5第1項第六号及び七号、第2節を除く) ・施行令第144条の3 ・法第39条から法第41条までの規定に基づく条例の規定のうち特定行政庁が法第6条の4第2項の規定の趣旨により規則で定める規定 |
そのほか、よくある質問としては、4号(住宅でも準防火地域内や小規模事務所など)の場合は、1/20の採光無窓・1/50の排煙無窓解除検討の確認申請図書への記載は必要?というのがあります。
答えとしては、4号の場合には必要となります。なお、3号は法第35条が適用されないので図書へ記載する必要はないです。
つまり、何が特例になるの?
法令をずらりと並べても分かりずらいと思うので、完結にいうと、大きくメリットがあるのは、法第20条(第1項第四号イ)の規定(構造関係)かと思われます。
この規定があるかないかで、基礎や構造仕様の規定に適合しているかどうかの審査時間に大幅に違いが生じると思われます。
特例により、確認申請において添付する必要が無い図書等は?
省令第1条の3第5項表2に規定されています。
まとめると以下のとおりです。
基本的に、付近見取り図、配置図、各階平面図でいいとしているのです。
実態は、集団規定の適用をチェックするために立面図の敷地断面図等の図書を添付しています。
これ以外の構造図などの添付は不要です。
(だからと言って、図面自体を作成しなくても良いと言うことではありませんのでご注意ください。審査機関によっては審査のために提出が必要となることがあります。)
対象建築物 (法第6条第1項第四号建築物で、なおかつ以下の建築物) | 建築確認申請において添付する必要がない図書 | 建築確認申請における図書において明示する必要がない事項 |
---|---|---|
一戸建て住宅 ただし、防火・準防火地域以外、住宅以外の床面積が延べ面積の1/2以上又は50㎡超えを除く |
○規則第1条の3第1項表1のうち、付近見取図、配置図及び各階平面図以外の図書
○令第10条第三号イ、ロ、ハに係る図書
|
図書名:各階平面図
明示不要事項 筋かいの位置及び種類、通し柱の位置並びに延焼のおそれのある部分の外壁の構造 |
上記以外の建築物 |
○規則第1条の3第1項表1のうち、付近見取図、配置図及び各階平面図以外の図書 |
図書名:各階平面図 |
補足:審査可能な図書について
審査特例建築物の場合、省略することができるのは、施行令第10条第3号と4号を照らし合わせたうえで省令を確認してどの図書を外すことができるかチェックする必要があります。
とはいえですが、審査経験上から言えることとして例えば、3号適合であっても法第22条や第23条チェック(屋根材料(かつ認定番号)や延焼の恐れのある範囲)などを行っているのが実態かと思います。
それぞれの審査機関によるところが大きいのでどこまで図書を省略できるのかは不明というのが実情です。
仮にですが法律上は省略できたしてもです…
その省略した部分について審査機関から『審査に必要だから…』や『気になったから…』という理由により審査しているのが実情のように思います。また、建築士としても指摘数を少なくするために配置図や平面図、立面図に可能な限りの情報を記載しているはずです。
ならはじめから一般的な審査に必要な事項は書いてしまおうというのが現在の確認申請(4号建築物)となっているのでは?と思います。
ちなみに、延べ面積200平米超の住宅で施行令第10条第3号に適合している限りは、法第35条が審査対象外のため1/50の無窓解除検討図書の提出は不要ですし、また、採光計算(1/7)も不要ですが、実態は、延べ面積が200平米超・3階建て以上の住宅は、1/20(1/7で計算)の採光、1/20の換気、1/50の排煙検討書を提出しているのが実態かと思います。
まとめ
基本的には、特例のメリットがあるのは構造規定(法第20条第1項第四号イ)に係る部分です。
なお、建築主事によっては、特例の部分であっても図書の提出や図書への明示を指示する場合があるので一概に法令とおりとはいえない場合もあるのでご注意ください。
参考となれば幸いです。
その他:4号特例廃止
2025年4月1日以降については、4号特例が廃止され新3号特例(平屋200㎡以下)となり、木造2階建ての住宅は特例から除外されます。
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