【停電時の非常灯】非常用照明の設置が必要となる建築物を解説

この記事では、「非常用照明装置」について、どういった用途・規模の建築物に設置しなければならないのか解説しています。

非常用照明とは、停電時においても建築物から屋外へ安全に避難するための装置でして、建築物の最低限のルールが定められている建築基準法において設置を義務づけている建築物の規模や用途が決められています




非常用照明の設置が必要となる建築物

非常用照明の規定は、建築基準法第35条→施行令第126条の4に規定されており、非常用照明が必要となる建築物と居室が明記されています。

はじめにポイントをお伝えすると、非常用照明装置の設置が必要となる場所は、居室と避難経路(特に避難経路が重要)です。

(設置)
法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室階数が3以上で延べ面積が500㎡を超える建築物の居室第116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が1,000㎡を超える建築物の居室及びこれらの居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路(採光上有効に直接外気に開放された通路を除く。)並びにこれらに類する建築物の部分で照明装置の設置を通常要する部分には、非常用の照明装置を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
 一戸建の住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸
 病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室その他これらに類する居室
 学校等
 避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものとして国土交通大臣が定めるもの

建築基準法施行令第126条の4

非常用照明は、みなさんがご存知のように火災時において停電した場合などにおいて、避難する際の灯となるのもので、命を守るための重要な設備です。

ですので、はじめにお伝えしたいのは、普段から維持管理はしっかりやりましょう!!

特に、あたり前ですが、バッテリー切れとなると、停電時に照明はつきませんので注意が必要となります。(昔、役人だったころ、風俗営業系施設の査察で検査した建築物は、ほぼ9割以上がバッテリー切れだったことを記憶しています。それだけ、設置だけして維持管理していない管理者が多いと言うことです。)

で、肝心の設置箇所ですが、以下のとおりとなります。

非常用照明の設置が必要な居室の詳細

非常用照明の設置が必要となる居室は、次の①から④と⑤です。

  1. 法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室(1項から4項は、劇場、映画館、ホテル、学校、店舗・飲食等)
  2. 3階以上かつ延べ面積が500㎡を超える建築物の居室
  3. 採光上の無窓の居室(令第116条の2第1項第一号に該当しない居室)
  4. 延べ面積が1,000㎡を超える建築物の居室
  5. 上記①〜④の居室から、地上に通ずる廊下、階段、その他の通路(採光・外気が確保された通路を除く)

上記に書いてあるとおり、すべて”居室”と、”居室からの避難経路の部分”に設置要求があります。ただし、次の項で説明する居室は設置が不要となります。

店舗や飲食店については、床面積に関係なく居室に非常用照明装置の設置が必要です。さらに、居室からの避難経路(廊下・階段)についても設置が必要となります。

>>>大規模倉庫/工場の非常用照明についてはこちらの記事をご覧ください。

適用除外(適用除外は、建築物又は建築物の部分)

  • 一号:一戸建ての住宅、長屋、共同住宅の住戸
  • 二号:病院の病室、下宿の宿泊室、寄宿舎の寝室等
  • 三号:学校等(*等:体育館、 ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツ練習場)
  • 四号:避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないもの(平成12年建設省告示第1411号に適合)

適用除外となるのは居室等の部分です。

ここで注意が必要なのは、原則として居室から地上に通ずる避難経路の部分は適用除外にはならないということです。

例えば、共同住宅の住戸部分には設置不要となりますが、住戸から屋外の出口までの避難経路(採光上有効に直接外気に開放された通路を除く。)には非常用照明の設置が必要となり、適用除外とすることが出来ません。

なお、一号から三号は、用途名称が書いてあるので分かりやすいと思いますが、第四号については告示(H12建設省告示第1411号)を確認する必要がありますので、次の項で説明します。

適用除外(第四号)*平成30年改正

(従来の緩和基準)採光(令第116条の2第1項第一号に適合する居室)OKで以下①又は②に適合している居室については、適用が緩和されます。

  • 避難階:居室から屋外への出口に至る歩行距離が30m以下
  • 避難階の直下・直上階:避難階への屋外の出口に至る距離又は屋外避難階段までの歩行距離20m以下

(新たに追加になった緩和:平成30年3月29日公布・施行)

つぎのいずれかに該当する場合は、その居室は非常用照明装置の設置が不要となります。

  • 床面積30㎡以下の居室、かつ地上への出口を有するもの
  • 床面積30㎡以下の居室、かつ地上までの通ずる部分が①非常用照明装置が設けられたもの、②採光上有効に直接外気の外気に開放されたもの。

*出典:国土交通省資料(非常用の照明装置の設置基準の合理化)

非常用照明の構造

構造基準は、令第126条の5に規定されています。一号又は二号のいずれかに定める構造としなければならない。

  • 一号

イ:直接照明で、床面において1lx以上の照度を確保
ロ:火災時において温度が上昇した場合に光度が低下しない(昭和45年建設省告示第1830号)
ハ:予備電源を設ける
二:昭和45年建設省告示第1830号に規定する構造方法

  • 二号

国土交通大臣認定品

補足:Amazonからも購入可能

非常用照明ですが、現代ではAmazonからも購入することができるようになっています。めっちゃ便利とはいえ電気工事士の方が作業しないといけないのは注意が必要です。

まとめ

今回は、ここまでとなります。

法律だけ読めば「非常用照明」については理解しやすいですが、告示緩和については、ちょっと読みづらいかもしれません。非常用照明の理解を早めるためには他の参考書などを参考にすると良いと思います。

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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など