ChatBot Switch Widget
ChatBot ON/OFF

【高度利用地区とは?】高度利用地区を分かりやすく解説

この記事では、都市計画法における「高度利用地区」を分かりやすく解説しています。
建築基準法との関係なども解説しています。

こんにちは。やまけん(@yama_architect)です^ ^
YamakenBlogでは、建築や都市計画、不動産取引に関して業務に役立つ豆知識を発信しています♪

建築基準法や都市計画法といった都市づくりに欠かせない法律は、複雑かつ難解なので理解に苦しみますよね。そのような方のために、法律を上手に活用してビジネスや生活に活用してもらいたいと思いつくったブログです。

良かったらブックマーク登録して毎日、遊びに来てくれるとブログ運営の励みになります♪




都市計画法上の定義

法令の紹介と建築基準法との関係性について見ていきたいと考えています。

普段、あまり馴染みはないかもしれないですが、「このビル、他の地域にあるところよりもはるかに大きいな〜」って思ったら、この「高度利用地区」を都市計画決定している可能性が高いです。

多分、この記事を読むのは、学生や役所関係の人だけかも・・・しれませんが、高度地区との違いについても記述していますので、宅建士を受験される方の参考にして頂いてもOKです。

ではでは、早速、高度利用地区について解説していきたいと思います。

はじめは法律上の用語から見ましょう。

高度利用地区は、「地域地区」の一つになっていて、都市計画法第8条第1項第三号に規定されています。と言っても、当該号には「名称」しか記載されておりません。

「高度利用地区とは?」で記載されている条文は、都市計画法第9条第19条になります。

[都市計画法第9条第19項]
高度利用地区は、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区とする。
High-level usage districts are districts in which maximum and minimum limits on the ratio of the total floor area of buildings to the site area, maximum floor-area ratio, minimum building coverage ratio, minimum building area of buildings, and restrictions on the location of walls are stipulated in order to promote reasonable and sound high-level land use and to improve urban functions in use districts.

都市計画法第9条第19項

重要なポイントは、①土地の合理的かつ健全な高度利用②都市機能の更新 を図るために定めるという部分です。

基本的には、「市街地再開発事業」にセットで指定されるものです。
※都市再開発法第3条又は第3条の2の規定により、市街地再開発事業の施行区域には、「市街地再開発促進区域」や「高度利用地区」などの区域であることが求められます。

そして、定める内容としては、
①容積率の最高限度及び最低限度
②建蔽率の最高限度
③建築面積の最低限度
④壁面の位置の制限      となっています。

これだけの説明だと「ん〜、結局なんの都市計画?」となると思うので、「都市計画運用指針」に書かれている”趣旨”が、この都市計画を理解するのに参考になります。

[都市計画運用指針 7.高度利用地区]の抜粋
高度利用地区は、建築物の敷地等の統合を促進し、小規模建築物の建築を抑制するとともに建築物の敷地内に有効な空地を確保することにより、用途地域内の土地の高度利用と都市機能の更新とを図ることを目指した地域地区である。

”下線”の部分をご覧になると、「高度利用地区」の趣旨が理解できるかなと思われます。

では、どのような地区に指定されるというと、「都市計画運用指針」において例示されているので紹介します。

高度利用地区が指定される地区は?

都市計画運用指針上では、次のように例示されていますが、指定するかどうかは自治体が決めることなので、一民間企業が「事業をやるかもしれません」程度では計画決定されるものではないですね。

指定されるパターンとしては、高度利用を図る必然性があり、土地利用の確実性があるような場合(市街地再開発事業など)に指定することができると考えていいと思われます。

[都市計画運用指針 7.高度利用地区]の抜粋
○枢要(最も重要なという意味)な商業用地、業務用地又は住宅用地として土地の高度利用を図るべき区域で あって、現存する建築物の相当部分の容積率が都市計画で指定されている容積率より著しく低い区域

○土地利用が細分化されていること、公共施設の整備が不十分なこと等により土地の利用状況が著しく不健全な地区であって、都市環境の改善上又は災害の防止上土地の高度利用を図るべき区域

○都市基盤施設が高い水準で整備されており、かつ、高次の都市機能が集積しているものの、建築物の老朽化又は陳腐化が進行しつつある区域であって、建築物の建替えを通じて都市機能の更新を誘導する区域

○大部分が第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域内に存し、かつ、大部分が建築物その他の工作物の敷地として利用されていない区域で、その全部又は一部を中高層の住宅用地として整備する区域

○高齢社会の進展等に対応して、高齢者を初めとする不特定多数の者が円滑に利用できるような病院、老人福祉センター等の建築物を整備すべき区域であって、建築物の建替え等を通じた土地の高度利用により都市機能の更新・充実を誘導する区域

指定することができる者は市町村?都道府県?

市町村が都市計画決定することになります。

なお、市街地再開発事業の場合には高度利用地区とセットになると説明しましたが、市街地開発事業については施行区域の面積が3haを超える場合には、都道府県が決定権者になります。(3ha以下の場合には、市町村が決定)

指定状況

平成29年3月31日現在で全国で274都市が指定しています。
※平成29年都市計画現況調査[国土交通省]

高度利用地区と聞くと、ペンシル型の超高層ビル群を思い浮かべますが、全ての地区がそのような超高層に対応した容積率にしているわけではなく、400%とか600%など、既存の商業地域における指定容積率とほぼ変わらないケースがほとんどです。

とはいえ、高度利用ですが、どの程度の容積率で指定しているか気になるでしょうから、いつくか事例をピックアップして見たいと思います。

○仙台市:中央一丁目第二地区
用途地域:商業地域
指定容積率が800%のところに最大で1000%を指定しています。

○中央区:日本橋・東京駅前地区(東京駅の東側)
用途地域:商業地域
指定容積率が900%のところに最大で1200%を指定しています。
※2019.7月以降は1,300%になるようです。

○広島市:大手町四丁目1番第二地区
用途地域:商業地域
指定容積率が800%のところに1000%を指定しています。

ひとまず、3都市事例を挙げてみましたが、
この記事では全国の都市全てを紹介できないので、気になる方は国土交通省のホームページをご覧ください。
▶︎都市計画現況調査のページ(外部リンク)

では、ここで高度地区との違いについて触れておきます。

高度地区と高度利用地区の違いは


*写真:Jo WiggijoによるPixabayからの画像

宅建士の試験でも違いの問題は出題されるのかなと思いますので、参考までに。
大きな違いは、「趣旨」と「制限される内容」です。

理解としては、容積率と高さの違いくらいで十分かもです。

 高度利用地区高度地区
趣旨

建築物の敷地等の統合を促進し、小規模建築物の建築を抑制するとともに建築物の敷地内に有効な空地を確保することにより、用途地域内の土地の高度利用と都市機能の更新とを図ることを目指

都市の合理的土地利用計画に基づき、将来の適正な人口密度、交通量その他都市機能に適応した土地の高度利用及び居住環境の整備を図ることを目的

定める制限の内容建築物の容積率の最高限度又は最低限度
建築物の建蔽率の最高限度
建築物の建築面積の最低限度
壁面の位置に制限
建築物の高さの最高限度又は最低限度
特徴低容積率で土地が細分化された市街地の土地の統合を促進して、都市機能更新(市街地再開発)などの場合建築密度が過大になる恐れがある市街地で指定されるもので、居住環境保護を図る場合や、景観・眺望に配慮して建築物の高さを揃える必要がある場合

高度利用地区と建築基準法の関係

高度利用地区が指定されると建築基準法第59条の規定により、都市計画において定められた制限の内容に適合させる必要があります。

[建築基準法第59条第1項]
高度利用地区内においては、建築物の容積率及び建蔽率並びに建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それぞれの建築面積)は、高度利用地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。
[建築基準法第59条第2項]
高度利用地区内においては、建築物の壁又はこれに代わる柱は、建築物の地盤面下の部分及び国土交通大臣が指定する歩廊の柱その他これに類するものを除き、高度利用地区に関する都市計画において定められた壁面の位置の制限に反して建築してはならない。ただし、前項各号の一に該当する建築物については、この限りでない。

ただし、上記については、小規模な建築物の場合には、適用されません。

[建築基準法法第59条第1項]
一 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であつて、階数が2以下で、かつ、地階を有しない建築物で、容易に移転し、又は除却することができるもの
二 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する建築物で、公益上必要なもの
三 学校、駅舎、卸売市場その他これらに類する公益上必要な建築物で、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したもの

終わりに

ということで、今回は都市計画の中から「高度利用地区」を解説しました。

制度の趣旨程度を理解するには、このくらいのボリューで問題ないと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。

その他関連記事






お役に立てたらシェアしていただけますと嬉しいです!
ABOUT US
アバター画像
YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など