【積雪荷重とは?】建築基準法施行令第86条の解説

この記事では、建築基準法施行令第86条の積雪荷重を解説しています。

こんにちは!やまけん(@yama_architect)といいます。
YamakenBlogでは、建築や都市計画、不動産に関して業務に役立つ豆知識を発信しています。ほぼ毎日更新しています。

”積雪荷重なんてあんまり知らんわ!”って方向けて書いているあるので、積雪荷重に対する理解が深まるはずです。




積雪荷重とは?

積雪荷重とは、雪が積もった歳に屋根(庇・バルコニーを含む)に掛かる荷重のことです。
構造計算が必要となる規模の建築物(法第6条第1項四号建築物を除く)については、積雪荷重に対する安全性を確認することが義務付けられています。

積雪荷重は、1㎡あたり20N(約2kg)と定められており、例えば、特定行政庁が垂直積雪量を30cmと指定していれば、1㎡あたり600N(約61kg重)となります。
これが多雪区域で垂直積雪量が400cm(長岡市山古志地方の数値、単位荷重は30N)だとすると1㎡あたり12,000N(約1,223kg重→約1t)となります。

雪ってめちゃくちゃ重いんです。
ですので、多雪区域では四号建築物でも注意が必要です。

また、構造計算上は、次のように規定されており、ルート1〜3(許容応力度・保有水平耐力)と限界耐力計算で積雪荷重の扱い方が異なります。

許容応力度計算の場合には、構造耐力上主要な部分の断面に生ずる長期・短期の応力度が、材料毎に定めた長期・短期に対する各許容応力度を超えないことを確認する必要があります。
一方で限界耐力計算の場合には、構造耐力上主要な部分の耐力を超えないことの確認を行う必要があります。

力の種類荷重・外力の状態多雪区域以外多雪区域
長期常時G+PG+P
長期積雪時G+PG+P+0.7S
短期積雪時G+P+SG+P+S
短期暴風時G+P+WG+P+W
短期暴風時G+P+WG+P+0.35S+W
短期地震時G+P+KG+P+0.35S+K
ルート1〜3(許容応力度計算・保有水平耐力計算)

G:固定荷重、P:積載荷重、S:積雪荷重、W:風圧力、K:地震力

荷重・外力の状態多雪区域以外多雪区域
積雪時G+P+1.4SG+P+1.4S
暴風時G+P+1.6WG+P+1.6W
暴風時G+P+1.6WG+P+0.35S+1.6W
限界耐力計算

*小規模な建築物で四号建築物については、構造計算が不要となることから積雪荷重に対する安全性の確認は不要(仕様規定により充足)となっていますが、冬期の間に多く雪が降る地域(多雪区域)については屋根勾配が緩いと荷重が大きく掛かりますから注意が必要と思いますので、柱径や横架材などに配慮することをおすすめします。
なお、積雪荷重を考慮しない簡単な方法としては、屋根勾配を60度超にして雪が落下するようにしておけば良いですが、周囲に落雪させるためのスペースが必要となります。

ではでは、法令の確認です。
積雪荷重は、建築基準法施行令第86条に規定されており、次のように定められています。

(積雪荷重)
第86条 積雪荷重は、積雪の単位荷重に屋根の水平投影面積及びその地方における垂直積雪量を乗じて計算しなければならない。
 前項に規定する積雪の単位荷重は、積雪量1cmごとに20N/㎡以上としなければならない。ただし、特定行政庁は、規則で、国土交通大臣が定める基準に基づいて多雪区域を指定し、その区域につきこれと異なる定めをすることができる。
 第1項に規定する垂直積雪量は、国土交通大臣が定める基準に基づいて特定行政庁が規則で定める数値としなければならない。
 屋根の積雪荷重は、屋根に雪止めがある場合を除き、そのこう配が60度以下の場合においては、そのこう配に応じて第1項の積雪荷重に次の式によつて計算した屋根形状係数(特定行政庁が屋根ふき材、雪の性状等を考慮して規則でこれと異なる数値を定めた場合においては、その定めた数値)を乗じた数値とし、そのこう配が60度を超える場合においては、0とすることができる。
μb=√cos(1.5β)
この式において、μb及びβは、それぞれ次の数値を表すものとする。
 μb 屋根形状係数
 β 屋根こう配(単位 度)
 屋根面における積雪量が不均等となるおそれのある場合においては、その影響を考慮して積雪荷重を計算しなければならない。
 雪下ろしを行う慣習のある地方においては、その地方における垂直積雪量が1mを超える場合においても、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することができる。
 前項の規定により垂直積雪量を減らして積雪荷重を計算した建築物については、その出入口、主要な居室又はその他の見やすい場所に、その軽減の実況その他必要な事項を表示しなければならない。

建築基準法施行令第86条第1項〜第7項

雪下ろし・融雪装置がある場合の低減

施行令第86条第6項・第7項の規定となりますが、雪下ろしを行う習慣がある場合や融雪装置を備えつけている場合には、垂直積雪量を1mまで減らすことができる規定となっています。

詳しくは、各特定行政庁が定めている『建築基準法施行細則』をご確認ください。

※積雪が設計積雪量を超えている場合には、必ず雪下ろしが必要となりますが、新雪のあとに時間が経過したり雨が降ったりすると想定以上の荷重が掛かる恐れがあるので、ホント注意が必要です。

なお、第6項を規定した場合には次のような看板を設置する必要があります。

大スパン建築物(多雪区域以外)の注意点

https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000699.html

2019年1月15日より積雪後に雨が降ることを考慮した積雪荷重の強化がなされることになり、多雪区域以外の区域について、大スパン、緩勾配、屋根が鉄骨・木造の場合には、積雪荷重に割増がなされることとなりました。

詳しくは、『保有水平耐力計算及び許容応力度等計算の方法を定める件の一部を改正する件(平成30年国土交通省告示第80号)』の告示に規定されておりますが、対象となる建築物は次の建築物となります。

  1. 多雪区域以外の区域(垂直積雪量15cm以上の区域)
  2. 大スパン(棟から軒まで10m以上)
  3. 緩勾配(屋根勾配15度以下)
  4. 屋根重量が軽い(RC・SRC造以外の重量が軽いSやW)

詳しく書かれているページがありますので、参考に掲載しておきます。

>>ビューローベリタスジャパン:https://www.bureauveritas.jp/magazine/190212/001
>>建築学生が学ぶ構造力学:http://kentiku-kouzou.jp/kouzoukeisan-kougonosekistu.html

まとめ

今回は、積雪荷重について簡単に解説を行いました。

積雪荷重については、多雪区域とそうではない区域で指定される単位荷重が異なること、また、垂直積雪量も地域によって異なることを説明しました。
さらに近年の改正として、多雪区域以外において、積雪後の降雨によって荷重が増加することを考慮した設計とすることが定められたことを説明しました。

近年は、これまでにない降雪が記録されていますから、積雪に対する建築物側の安全対策は必須です。

これまで構造計算が必要となる建築物については積雪量を考慮していましたが、構造計算が不要である四号建築物については構造計算が不要となるため、ある程度の経験と勘によるところが少なからずあったはず。今後は、過去の積雪量に囚われず、可能な限り安全側に設計することをおすすめしたいところです。

ということで以上です。参考となれば幸いです。






お役に立てたらシェアしてね!!