こんにちは!やまけん(@yama_architect)です。
YamakenBlogでは、建築基準法や都市計画法、宅建に関して業務に役立つ豆知識を発信しています♪
先日、知人から聞いた話です。
住宅ローンで大手のネット銀行に相談したら、住宅を建てようとする土地が都市計画区域外のため融資対象外ですと融資を断れた。どうすればいい?と言った話です。
それはそうでしょうねぐらいに思っていたのですが、Google先生で検索してみると、都市計画区域外や市街化調整区域では融資を断られるという記事をいくつも発見!!
読んでみると、都市計画に関してテキトーに解説している大手さんの記事をいくつも発見したので、”いや〜これはないわ〜”と思ったのでわたしのブログで丁寧に解説してみたいと思います。
都市計画区域外・市街化調整区域・非線引き都市計画区域内を融資対象としているネット専業銀行
大手のネット銀行さんを調べてみると、明確に記載しているところとそうではない銀行に分かれました。
下記の都市計画区域外や市街化調整区域を対象外としているネット銀行さんは、やまけんブログ調べとなります。*融資対象のみ太文字にしています。
銀行名 | 都市計画区域外 | 市街化調整区域内 | 非線引き都市計画区域内 |
---|---|---|---|
住信SBIネット銀行 | 記載なし | 融資対象 *一部物件について融資対象外 | 融資対象 *一部物件について融資対象外 |
auじぶん銀行 | 融資対象外 (注)準都市計画区域内も融資対象外 | 総合的に判断 | 融資対象 |
ソニー銀行 | 融資対象外 | 融資対象外 | 融資対象外 |
イオン銀行 | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
楽天銀行 | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
PayPay銀行 | 融資対象外 | 融資対象外 | 融資対象外 |
上記の他、ローソン銀行やセブン銀行も同様に記載がありませんでした。
以上の結果から、ほとんどのネット専業銀行では、「都市計画区域外、市街化調整区域、非線引き都市計画区域」は融資の対象外としています。
その中でも、住友SBIネット銀行やau自分銀行は一部で融資の対象としているようです。
その他のネット銀行は、不親切にも全く記載がありませんでした。
わたしが言うのもなんですが、不動産業と同じで購入予定者にリスク等となる情報をあらかじめ伝えるは、業としての大切なことだと思いますし、お互いに無駄な時間となるので、”融資対象かどうかの記載のない”銀行には融資申し込みはあまりおすすめできないと思います。
しっかりと、都市計画区域外や市街化調整区域、非線引き都市計画区域については、融資対象外となりますと記載している銀行の方が信頼がおけると思います。
では、なんで都市計画区域外や市街化調整区域、非線引き都市計画区域は融資対象外となるのか解説していきたいと思います。
融資対象とならない理由
銀行さんによって若干考え方が異なると思いますが、大きな理由は買い手需要がどの程度あるかどうかの違いです。
買い手が多い土地ということは、それだけ売却しやすいということです。
その理由を簡単にまとめました。
区域名等 | 理由 |
---|---|
都市計画区域外 | 人口が極端に少なく買い手が少ない |
市街化調整区域 | 原則として建築物の建築は不可 (農林漁業従事者にための住宅などは建築可) |
非線引き都市計画区域 | 人口が少なく買い手が少ない |
都市計画区域とは、数万人から数百万人程度の人口を有する市町村で構成される都市圏のことです。
この都市計画区域内では、市街化区域と市街化調整区域が設定される場合(区域区分)と市街化化区域と市街化調整区域が設定しない場合(→非線引き都市計画区域)があります。
なお、よくある勘違いとして用途地域が設定されている=市街化区域 と誤解するケースがあります。
どういうことかというと、用途地域については、非線引き都市計画区域でも指定することができるようになっています。そのため、インターネット等で自治体のホームページを検索し、用途地域が指定されているという理由のみで市街化区域であると勘違いしてしまうことです。
人口規模としては、非線引き都市計画>都市計画区域外>市街化調整区域 となります。
いずれの地域も市街化区域と異なり、人口密度が低く人口が少ない地域となります。
つまり、仮にあなたがローンを支払うことができなくなって、銀行が第三者に売却しようとしても、買い手が少ないため売却が困難、もしくは市街化区域内の住宅に比べて著しく低い価格とせざるを得なくなります。
ご自身が銀行側だったらどうでしょう?借主に十分に支払い能力があると考えられても、万が一を考慮すると貸するにはちょっと・・・となるのではないでしょうか。
ですので、多くのネット銀行では、融資対象として、売りやすい市街化区域としているということになります。
なお、市街化区域内の工業専用地域についても注意が必要です。工業専用地域については、基本的に住宅を建築することができません。
仮に建築することができている理由としては、工業専用地域に用途地域が指定または変更される以前から存在していた場合(既存不適格建築物)に限られます。
一定のリスクがあるので、もし不動産業者からこうした物件を紹介された場合には、建築できる理由等を確認するようにしてみてください。
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都市計画区域内や市街化調整区域外であることを確認する方法
いくつかの確認方法をお伝えします。
まず、建築したい土地の周辺に住宅が複数建築されていない場合には、下記のいずれかに該当すると考えてください。
多くの自治体で都市計画情報をインターネット上で公開されているので、簡単に検索することが可能です。
ですが、非線引き都市計画区域の場合には、市街化区域と市街化調整区域の区域区分を行なっている都市かどうかの判断をすることができない可能性があります。
そのため、「○○都市計画区域マスタープラン」を確認し、冊子冒頭の「区域区分」の有無を確認します。この区域区分が”無”であれば、非線引き都市計画区域となります。
区域名 | 調査方法❶ | 調査方法❷ |
---|---|---|
都市計画区域外 | 自治体の都市計画情報(インターネット検索)を確認する | 〇〇都市計画区域マスタープラン |
市街化調整区域 | 自治体の都市計画情報(インターネット検索)を確認する | 〇〇都市計画区域マスタープラン |
非線引き都市計画区域 | 自治体の都市計画情報(インターネット検索)を確認する *非線引きどうかの旨の記載が無い場合は、都市計画区域マスタープランにて区域区分の有無を確認 | ○○都市計画区域マスタープラン |
まとめ
まとめると、都市計画区域外や非線引き都市計画については、住宅建築における需要が低い(市街化調整区域については、更に低い)ことが多いためネット銀行としては将来の売却リスクを考慮して、融資対象物件から除外しているケースが多いようです。
なお、地域を地盤としている信用組合や地銀については融資対象としているケースがあるようです。
都市計画区域の有無については、自治体が公表している都市計画情報や都市計画図(どちらもネット上)などにより確認することが可能になっています。
ローン対象になるかどうかは、個々の物件によって事情は異なることが想定されますので、銀行さんに直接問い合わせるか、住まい選びに詳しく住宅ローンの専門家に相談してみるのも手段の一つです。
特にめんどくさいことが嫌い!という方は、専門家に相談一択です。
おすすめは、東証一部に上場しており日本最大級の不動産・住宅情報サイトを運営しているLIFULL HOME’S 住まいの窓口さんです。無料相談を受けているのと、不動産・住宅に関する情報量が豊富なので相談実績も多いです。