この記事では、地方都市(田舎)において、土地活用・空き地活用を考えている方向けに都市計画の制限や近年の国の都市政策の傾向を踏まえて、どのような立地場所の土地であればアパート・マンションの活用に向いているのか分かりやすく解説しています。
不動産営業マンと話す前に読んで頂ければ土地活用・空き地活用の不安が解消されると思います。
【この記事を読む前に】
過去記事では、次のような記事も書いていますので良かったら併せてお読みください。
こんにちは。やまけん(@yama_architect)です^ ^
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建築基準法や都市計画法といった都市づくりに欠かせない法律は、複雑かつ難解なので理解に苦しみますよね。そのような方のために、法律を上手に活用してビジネスや生活に活用してもらいたいと思いつくったブログです。
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目次
はじめに読んでください。
日本国内の土地については、都市計画法、建築基準法、農地法といった法律によって建築物や工作物の建設が管理(=コントロール)されています。
この管理・制限によって、自然環境の保護、田園地域の維持保全、市街地の発展に必要な事業などが行われています。
「なんで農地を宅地にできないんだよ!不公平!!」、「うちを勝手に市街化調整区域にしやがって!」と思う方が結構いるのですが、民主主義の国家である以上、個人が勝手に都市を破壊するような行為は出来ないような仕組みになっています。
そして、国内の都市の管理に必要な制限は主に都市計画法に基づく都市計画によってコントロールされています。
都市をコントロールする上で最も基盤的な都市計画区域ですが、国内の都市計画区域人口割合は95%、さらに市街地部分(=市街化区域)は国土面積は3%で、この3%に全人口の7割が居住しています。
つまり、人は市街地での暮らしに需要があるわけなのですから市街地の土地であれば問題なく活用OKとなります。ですが、それのみでは今後、住宅需要が低い地域でアパート建築が行うことでアパート経営に失敗する恐れがあります。その部分が最も大事なので後述します。
都市計画制限を確認
自分の所有している土地がどのよう制限を受けているのか調べる必要があります。
確認する方法は、インターネットで「〇〇市町村 都市計画情報」です。通常は、自治体のホームページにある都市計画情報検索ページから地番等を入力して都市計画情報を確認します。
都市計画情報検索ページが見つからない場合には、自治体の都市計画課(まちづくり担当部局)に直接電話して、「用途地域を教えてください」と伝えてください。
次のいずれかに該当しているはずです。
- 市街化区域(第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域)
- 非線引き都市計画区域(第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域)
*非線引き都市計画区域とは? - 非線引き都市計画区域(用途地域指定なし)
- 市街化調整区域
- 地区計画・特別用途地区等(*個別に制限を受ける)
- 都市計画区域外
このうち、市街化区域と非線引き都市計画(用途地域)がアパート・共同住宅の活用に向いていますので、後述するフローチャートで確認してみてください。
アパート・共同住宅経営で大事なポイントは世帯数の増減
現在、人口減少国となっている日本ですが、世帯数については一貫して増加傾向にあります。この世帯数の増加によって国内経済が支えられているといってもいいと思うくらいです。
2013年に社人研が発表した世帯数推計によると2020年の予測世帯数は531万世帯でしたが、実績値は558万世帯と予測を大きく超えています。
2015年と2020年とを比較すると約238万世帯増加していますので、全国で5年間で約238万戸に世帯が新たに居住したことになります。特に世帯数の増加が多いのは三大都市圏といって、東京近郊(中でも東京都23区)、愛知近郊、大阪近郊となります。
今回の本題である地方都市・田舎では、市町村ごと、更には市町村の中の地域ごとによって増加傾向が異なります。地域によって偏りがあるため世帯数が増加しているかどうかの確認が需要があるかどうかの判断となります。
年 | 世帯数 |
---|---|
2010 | 51,950千世帯 |
2015 | 53,449千世帯 *予測値:52,903千世帯 |
2020 | 55,830千世帯 *予測値:53,053千世帯 |
2025(予測) | 52,439千世帯 |
2030(予測) | 51,230千世帯 |
*将来予測:https://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2013/t-page.asp
人口は2015-2020年の5年間で95万人が減少していますが、世帯数は増加傾向を示しており、当初は2019年頃が世帯数のピークと考えられていたのが現在も増加している傾向にあるため、世帯数のピークは2025〜2030年の間になると想定しています。
ですので、2030年頃までは土地活用・空き地活用は比較的難易度が低い。
イメージして頂くと分かりますが、世帯数が増加すると、住宅、家具・家電、車など日常生活に必要なものが増えますよね。特に住宅に関しては世帯数の伸びと建設GDPが相関しますから、世帯数が増加している地域というのは今後も住宅(アパート、共同住宅)需要が見込めます。
一方で地方では、空き家も増加していますので、今後は古い建築物のリフォームも進むとは思いますが、リフォームは手間がかかるのと新築好きの日本では避けられがちです。また、法定の耐用年数を超えた木造建築物の建て替えも進むと考えられます。
なお、世帯数の全国推計値は国のホームページで検索することが可能となっていますが、それぞれの市町村別については、各市町村ごとの「人口ビジョン」を確認し、今後の世帯数の増加傾向を確認する必要があります。
ではここまでは前提条件です。
アパート・マンションの建築が推奨される土地
次のフローチャートで、最終的に左側欄の赤枠に該当しなければ土地活用としてアパートやマンション以外の用途(工場等)としての売却、市街化調整区域であれば農地として活用などが考えられます。
必ずしもアパート・マンションの建築が正解とは限りませんので、地域の専門事業者(建築士・不動産事業者)への相談がおすすめです。
積水ハウスや大和ハウス工業といった比較的安心な大手さんが良ければ、こちらのサイトで事業として活用方法に応じて見積書をもらうことができます。
活できる用途も複数選択が可能な上に複数社から見積書が届きますから、地元に知り合いの設計事務所・不動産事業者等がいなければ、自分で探すよりも手間が少なくて済みます。
土地を早く処分したい。遊ばせておくのは勿体無いと考えていて、適切な対処したい方はネットが便利かと思います。
補足:居住誘導区域・都市機能誘導区域
補足として、居住誘導区域と都市機能誘導区域ですが、都市再生特別措置法に基づき「立地適正化計画」を作成している自治体において指定されます(都市計画制度ではない。)。
この立地適正化計画ですが、今後の人口減少時代の到来を踏まえてコンパクトシティをつくろうとするものです。
人口が増えている都市であれば気にする必要はありませんが、人口が減少している都市では限られた税財政の投資先として誘導区域が選択されますので土地の将来性を考慮すると、アパート・マンション建築を検討する上では誘導区域外は将来性が低いと言わざるを得ないです。
あくまでも全体的な視点ですので、誘導区域外であっても個別具体によっては住宅建築の需要があるケースがあるので、コンサルティングが必要になります。
まとめ
まとめると次の条件に該当している土地であればアパートやマンション、商業施設等の建築を想定できますが、それ以外の土地については、工業系用途地域であれば工場用途や太陽光発電設備としての利用や建築物以外の活用(農林地など)の検討が無難です。
- 市街化区域又は非線引き都市計画用途地域
*準工業地域、工業地域、工業専用地域を除く - 居住誘導区域又は都市機能誘導区域
土地が余っていて、なんとかして活用したい!と考えている方は地域の不動産事業者や建築士に相談することをおすすめしたいですが、そういった信頼できる方がいなければ法務の知識がありコンプライアンスもしっかりしている大手ハウスメーカーがおすすめです。