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中大規模木造の耐火性能(法第21条第1項・第2項)=高さ16m以下・3階以下は木造がやりやすい!!

この記事では、4階建て・高さ16m超等の木造建築物の耐火等の要求が生じる建築基準法第21条を分かりやすく解説しています。

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建築基準法や都市計画法といった都市づくりに欠かせない法律は、複雑かつ難解なので理解するのに苦しみますよね(私自身が苦しみました。)。そのような方のために、法律を上手に活用してビジネスや生活に活用してもらいたいと思いつくったブログです。

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21条は、法第27条・法第61条に続く耐火要求の条項!

建築基準法第21条は、中・大規模の木造建築物が倒壊した場合に隣家等に延焼するのを防止するために設けられているルールの一つとなっています。

どのような建築物が対象になるかといいますと、主要構造部を木造やプラスチックなどの可燃材料とし、かつ、地上4階建てや高さ16m超などの建築物です。

一般的に可燃材料の材質としては木造しかないので、基本的には木造建築物が対象となる法令となります。

建築確認申請書第四面のところのこちら(↓↓↓)の部分が建築基準法第21条のとこです。
*施行令第109条の5第1号に掲げる基準というのが法第21条第1項の技術的な基準となります。

それではまず、法第21条の適用を受ける建築物の解説です。

第1項と第2項に分けられています。

また、”ただし書き”により、そもそも法第21条の適用をクリアすることが可能となっているので、これについても解説していきます。

第1項の建築物

次の各号のいずれかに該当する建築物その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、その主要構造部を通常火災終了時間(建築物の構造、建築設備及び用途に応じて通常の火災が消火の措置により終了するまでに通常要する時間をいう。)が経過するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、その周囲に延焼防止上有効な空地で政令で定める技術的基準に適合するものを有する建築物については、この限りでない。

 地階を除く階数が4以上である建築物
 高さが16mを超える建築
 別表第1(い)欄(5)項又は(6)項に掲げる用途に供する特殊建築物で、高さが13mを超えるもの

建築基準法第21条第1項

まず、対象となる建築物は、床、屋根及び階段を除く主要構造部を木材、プラスチックなどの可燃材料としたもので、かつ、地上4階建て以上、高さ16m超又は倉庫や車庫等の特殊建築物で高さ16m超とした建築物が対象となります。

※主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。

建築基準法第21条第1項をまとめると次のようになります。

法第21条第1項が適用される建築物 ❶+❷〜❹
  1. 主要構造部(壁、柱、梁)を木造としたもの
  2. 地上4階建て以上
  3. 高さ16m超
  4. 倉庫、車庫又は自動車修理工場等の特殊建築物で高さ13m超

どのような構造にしなければならないのか

では、次に建築基準法第21条が適用となる建築物はどのような構造としなければならないのかです。法律では次のように規定されます。

主要構造部を通常火災終了時間(建築物の構造、建築設備及び用途に応じて通常の火災が消火の措置により終了するまでに通常要する時間をいう。)が経過するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

主要構造部が政令(建築基準法施行令第109条の5)に適合し、かつ国土交通大臣が定めた構造方法(令和元年国交省告示第193号)又は大臣認定としなければならないとされます。

なお、この施行令第109条の5では、第一号が主要構造部に対して通常火災終了時間まで構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることが求められ、続いて、第二号は、耐火構造と耐火性能検証法による構造とされています。

法第21条第1項に該当する建築物は、この第一号または第二号の構造とすることが求められます。

この国土交通大臣が定めた構造方法(令和元年国交省告示第193号)は構造規定が複雑すぎるので、令和元年193号に適合させるよりも単純に耐火構造にした方がいいのでは…と思ってしまうくらいです。

一昔と異なり木造でも1〜2時間耐火構造としやすいので、準耐火構造+α(防火・避難・消防等の設備の設置)にして火災時の倒壊を防止するよりも、耐火構造の方が設計はやりやすそうです。

なお、火災時倒壊防止構造を簡単にまとめますと次のとおりです。

令和元年国交省告示第193号の概要
  1. 火災時倒壊防止構造
    *床面積100㎡以内ごとに区画、特別避難階段等の設置、自動火災報知設備の設置、道に接していない外壁の周囲に幅3m以上の通路を確保、白地地域ではスプリンクラー設備等の設置など
  2. 75分準耐火構造(4階以下の建築物のみ適用)
    *倉庫・車庫等は適用不可、200㎡以内ごとに区画、特別避難階段等の設置、自動火災報知設備の設置、廊下等に排煙設備の設置、用途地域が定められている土地以外は適用不可など
  3. 60分準耐火構造(3階以下の建築物のみ適用)
    *倉庫・車庫等は適用不可、道に接していない建物周囲に3m以上の通路を確保(200㎡以内区画などで通路確保は解除)など
  4. 30分相当の防火措置(2階以下の建築物のみ適用)
    *倉庫・車庫等は適用不可、壁(床面高さ1.2m以下を除く)・天井仕上げを難燃材料、スプリンクラー設備等の設置、排煙設備の設置

ちなみにですが、75分間でも準耐火構造の”準耐火”なのは、60分耐火構造のように火災時終了後において自立することができない(=倒壊する)ためです。そのため、通常火災終了時間である75分の間、建築物が倒壊しないように抑制されるに過ぎない点には留意が必要です。(ですので、個人的には21条に該当するのであれば耐火構造とするのが最良かなと思うところ・・・)

令和元年193号の詳細は、法令集の「告示編」に書かれていますでのリンクを貼っておきます。

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ただし書きで適用除外(延焼防止上有効な空地)

延焼防止上有効な空地を設けることで建築基準法第21条第1項の適用を除外することが可能です。

簡単に説明しますと、建築物の周囲に建築物の高さ以上の空地を設ければ良いですよ〜ってことです。広大の敷地の確保が困難な市街地で適用させるのは難しいですが、市街地でも郊外部で広い空地が確保できるようなところでは適用させることが可能と考えられます。

この点を見ても、法第21条の趣旨が隣地への延焼抑制であることが分かると思います。

次の各号のいずれかに該当する建築物その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、その主要構造部を通常火災終了時間(建築物の構造、建築設備及び用途に応じて通常の火災が消火の措置により終了するまでに通常要する時間をいう。)が経過するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、その周囲に延焼防止上有効な空地で政令で定める技術的基準に適合するものを有する建築物については、この限りでない。
※政令→第109条の6技術的基準
当該建築物の各部分から当該空地の反対側の境界線までの水平距離が、当該各部分の高さに相当する距離以上であることとする。

建築基準法第21条第1項(抜粋)

第2項:延べ面積3,000㎡超の木造建築物

延べ面積の3,000㎡を超える木造建築物は、耐火構造とするか平成27年国交省告示第250号に適合(または国交省大臣認定)させる必要があります。

 延べ面積が3,000㎡を超える建築物(その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の前項の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、次の各号のいずれかに適合するものとしなければならない。

 第2条第9号の2イに掲げる基準に適合するものであること。
 壁、柱、床その他の建築物の部分又は防火戸その他の政令で定める防火設備のうち、通常の火災による延焼を防止するために当該壁等に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものによつて有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ3,000㎡以内としたものであること。

木造建築物で3,000㎡を超えるというのは相当規模が大きく公共建築が中心とはなるので設計に出会う機会がそもそもないと思います(私も建築確認審査では大規模木造の経験がほぼないです。)

なお、2号適用の建築物の事例としては茨城県大子町の庁舎があります。
以前、見学させてもらったのでその際の記事リンクをおいておきます。

まとめ

まとめますと、木造4階以上、高さ16m超等の木造建築物は建築基準法第21条第1項の規定により、令和元年国交告示第193号に適用する準耐火構造とするか、耐火構造または耐火性能検証法による建築物耐とするかのいずれかの対応が求められます。

また、階数に応じて準耐火構造の耐火性能(75分、60分、30分)が異なるので注意が必要です。

法第21条第1項が適用される建築物 ❶+❷〜❹
  1. 主要構造部(壁、柱、梁)を木造としたもの
  2. 地上4階建て以上
  3. 高さ16m超
  4. 倉庫、車庫又は自動車修理工場等の特殊建築物で高さ13m超

    また、法第21条第2項の大規模木造建築物(延べ面積が3,000㎡超)は、耐火構造等とすることが求められます。

    なお、木造建築に関する設計者のための参考技術情報として、国交省と林野庁が運営している「中大規模木造ポータルサイト」に様々な事例や設計技術情報などが掲載されているので、まだご覧になったことがない方は是非ご覧になることをお勧めします。

    >>>中大規模木造建築ポータルサイトへの外部リンク

    補足:木造でも非耐火で建築可能な規模

    前項までは建築基準法第21条の解説でしたが、じゃあ木造でも耐火構造としなくても良い規模は?と疑問に思う方もいると思うため、下記にまとめてみました。

    つまり、非特殊建築物、高さ16m以下、3階以下、延べ面積1,000㎡以下、防火地域及び準防火以外であれば、耐火要求がないため、壁や柱、梁、床などについて防火上の被覆を行う必要がなく通常の木造表しによる設計が可能となっています。

    とはいえですが、3階建ての場合には、京アニ火災・大阪北区火災放火事件のような頭のおかしい人がいつ発生してもおかしくはないので階段部分の防火区画と避難階以外の階での2方向避難を設ける検討は行った方が良いように思われます。

    なお、補足情報としまして、現在高さ13m超では許容応力度等計算(ルート2)が必要となりますが、令和4年建築基準法の改正により高さ16m超に緩和される予定です(2025年4月改正予定)。
    つまり、上図のような建築物の場合(3階・16m以下)には、許容応力度計算(ルート1)でOKとなります。加えて、建築士法も改正となり、現在は上図のような建物でも2級建築士の設計が可能となる予定です。


    それでは以上となります。こちらの記事が業務の参考となりましたら幸いです。






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