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【用途制限】集会場と地区集会所の建築基準法上の違い

この記事では、結婚式場や葬祭場、第会議室、宴会場等に該当する集会場と地区集会所・地区公民館の違い建築基準法の観点から解説しています。

集会場と地区集会所では適用される建築基準法の基準が大きく異なり、そのため集会場に該当するかどうかが基本計画作成時や設計時に悩むポイントだと思います。

こちらの記事を読むことで読んだあとは集会場と集会所の違いを理解できているはずです。

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大切な二つのポイント(特建・用途制限)

集会場に該当するかどうかの判断として大事なことは次の2つのポイントです。

特殊建築物に該当するか
・建築基準法第48条の用途地域制限上の集会場に該当するか

特殊建築物に該当すると規模等によっては耐火建築物等にしなければならなかったり、避難上有効な階段や廊下などに適合させる必要があります。

加えて、自治体ごとの条例に適合させる必要があり、不特定多数が利用する施設であることから、通常の建築物よりも制限が厳しく設定されています。

一方で、用途地域上は、まちづくりの観点から不特定多数の往来があり騒音等により影響がる集会場は、例えば第一種低層住居専用地域などでは建築できないような用途制限となっています。

ですので、集会場に該当する建物を計画する際には、
❶特殊建築物に該当するのか
❷用途規制上はどういった建物用途に該当するのか
が確認する大切なポイントとなります。

そもそも集会場とは?

集会場とは、その名のとおり『不特定多数の者が集会等に利用する建築物、又はその部分、若しくは居室』をいいます。

集会場の代表例としては、文化センターや文化会館、市民ホールなどの大規模に人を集客する施設や、結婚式場、葬祭場などがあります。

また、大会議室やホテル・旅館の宴会場もこの集会場に該当します。
上記の考え方は、『建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例 2022年度版(編集:日本建築行政会議、発行:一般財団法人建築行政情報センター)』に記載されています。

大規模な市民ホールや多目的ホールなどであれば集会場に該当するものとして扱うと一般常識的に判断することが可能です。

例えば、大会議室・貸会議室で、不特定多数が集まってセミナーなどを開催する場合はどのように取り扱うかというと、1室の床面積が200㎡以上(可動式間仕切りで仕切られている場合は全体として1室で判断)であれば、集会場として判断されるのが一般的な考え方となります。

さらに宗教施設(教会、寺院、礼拝堂など)は、信者のみが利用するため不特定多数の者が利用しないことから集会場には該当しませんが、結婚式を開催したり催事のイベントなど、不特定多数の利用が想定される用途の場合には集会場に該当することも考えられます。

自治体によっては、独自に集会場として扱う基準を公表しているところもあるので、一概には判断することができませんが、一般的には次のような考え方にまとめることが可能です。

なお、集会場に該当するかどうかグレーな判断になりそうな建築計画の際には、設計の手戻りを防ぐために事前に役所(建築指導)に相談し集会場の該当の可否の判断をしてもらうことをお勧めします。

集会場に該当する用途等
  • 文化会館、市民ホール、多目的ホール、公民館などの集客施設
  • 結婚式場や葬祭場、セレモニーホール
  • 会議室や宴会室(室の床面積が200㎡以上(or超))
  • 宗教施設(信者以外の不特定多数の利用が見込まれる場合)

特に貸オフィス会議室だったり飲食店で結婚式場も開催可能な場合には、単に事務所や飲食店として取り扱わずに、室の床面積(200㎡以上・200㎡超)や使い方次第で集会場に該当する可能性が高いです。

オフィスの場合ですと事務所は非特殊建築物ですが、集会場となれば特殊建築物となり単位規定・集団規定ともに適用される項目が異なり設計を前提からやり直す必要がありますので、注意が必要です。

地区集会所・地区公民館との違い

地区集会所や地区公民館については、国から昭和53年に用途規制の上の判断が示されており『近隣住民を対象とした集会所・公民館は町内会等一定の地区の住民を対象とし、当該地区住民の社会教育的な活動あるいは自治活動の目的の用に供するために設ける建築物であることから「学校(大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校を除く。)、図書館その他これらに類するもの」に該当する』とされています。

このため、近隣住民のみの利用される地区集会所・地区公民館は、集会場と異なり、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種中高層住居専用地域で建築することが可能となります。

あくまでも近隣住民が対象ですので、地区外の利用が想定されたり、イベントなどでの不特定多数の利用、車の集散が想定される場合には集会場となります。

地区集会所・地区公民館
  • 近隣住民を対象とした公民館、集会所は『学校等』に該当
    (注)用途制限上のみ。単体規定上の学校等ではないため注意。

ただし、あくまでも建築基準法第48条の用途制限の上の話ですので、単体規定上は集会場として扱うことが原則ですので注意が必要です。

自治体によっては、地区集会所は単体規定上も集会場には該当させない(=事務所?)とする考えもあるようですので、最終確認は最寄りの自治体にご相談をお願いします。

こうしたルールが設けられている理由は、低層住宅地の居住者が会合等を行う集会所も同様に集会場として規制すると、地域住民が会合等を行う場所を確保することができないため国が緩和の方針を示したことによるものです。

なお、集会場は床面積が1万㎡を超えなければ上記の低層住宅地以外であればどこで立地させることが可能です。

まとめと補足

集会場と集会所との違いについて解説しました。

改めて説明しますと、ポイントは単体規定上の特殊建築物に該当するのかどうか、用途制限上は集会場に該当するかどうかで建築基準法で適用される制限が異なります。

集会場に該当する用途等としては、次のとおりです。

  • 文化会館、市民ホール、多目的ホール、公民館などの集客施設
  • 結婚式場や葬祭場、セレモニーホール
  • 会議室や宴会室(室の床面積が200㎡以上(or超))
  • 宗教施設(信者以外の不特定多数の利用が見込まれる場合)

一方で、地区集会所として用途制限上の学校等として取り扱われるのは、「近隣住民を対象とした公民館・集会所」となります。

なお、この地区集会所が立地している敷地内に倉庫を増築する場合には、主要用途が地区集会所ですので附属建築物として第一種低層住居専用地域内でも建築することが可能です。

ただし、単体規定上は、集会場として取り扱いのが原則ですが、自治体によっては特殊建築物として取り扱わないとするところもありますので確認が必要です。

ということで以上となります。こちらの記事が参考となりましたら幸いです。

単体規定上の集会場は内開き戸が禁止されています。

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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】一級建築士、一級建築基準適合判定資格者(建築主事)、宅建士など 【実績・現在】元国と地方自治の役人:建築行政・都市計画行政・公共交通行政・まちづくりなどを10年以上経験 / 現在は、地元でまちづくり会社を運営し、都市に関わるコンサルタントや住宅設計、執筆活動を行っています。